2025年春季(第189回)

第189回討論会テーマ

討論会の原稿枚数は、A4判4枚以内で作成願います。
ここにおける提案者は、講演大会において当該セッションの座長および副座長に指名されますので、ご了承ください。

1. 高温プロセス分野
「将来の製鉄プロセスを担う若手研究者セッション」
提案者:村上太一(東北大)、鳴海大翔(京大)
カーボンニュートラル、自然エネルギーの積極的利用、資源リサイクルといった持続可能な開発目標(SDGs)を意識した新しい高温プロセスの開発が期待されている。このような開発のためには、高温プロセスに関わる様々な分野でのイノベーションが必要であり、既存の枠にとらわれない新しい発想が必要である。そこで、高温プロセスを取り扱っている今後の活躍が期待されている若手研究者を招聘し、研究を紹介していただくとともに、今後の展望を語っていただく。
2. 高温プロセス分野
「溶融酸化物およびガラスの熱物性評価の進展」
提案者:助永壮平(東北大)、遠藤理恵(芝浦工大)
スラグやモールドフラックス等の熱物性値は、鉄鋼材料の製造プロセスにおける高精度化・省エネルギー化のため重要であるが、物性計測の高精度化には多数の課題が残されている。本討論会では酸化物融体やガラスの熱物性計測について、最新の知見を共有し、討論を行う。
3. 高温プロセス分野
「凝固過程の介在物生成・成長・変性機構」研究会 最終報告会
「凝固過程の介在物生成・成長・変性機構の解明を目指した最新研究の展開」
提案者:松浦宏行(東大)、吉川 健(阪大)
鋼材に含まれる非金属介在物は鋼材の機械的特性、耐腐食性など、種々の物理的性状を大きく左右する。2020-2023 年度に活動した「凝固過程の介在物生成・成長・変性機構」研究では、凝固過程で見られる介在物の生成・成長・変性などの幅広い現象の理解を深めたうえで積極的な制御につなげる、基礎から応用までの最新研究を進めてきた。本討論会ではその最終報告として研究成果を広く共有し、その学理と技術を幅広く討論する。
4. 計測・制御・システム工学分野
「不確実環境におけるシステムのシステミック最適化とその方法論」
提案者:諏訪晴彦(摂南大)、吉成有介(JFE)
製鉄所内のエネルギー需給バランシングは動的、相互作用的かつ相乗的な性質を持つため、システミックな問題解決が重要となる。本討論会では、そもそも「システミック最適化」とは何か?その概念と定義を、従前のレジリエンス研究の知見と、エネルギー需給の安定性ニーズの双方から議論するとともに、システミック最適化に適用可能なシステム技術を討論する。
5. 創形創質工学分野
「熱間圧延ロールの課題の克服とロール界面現象の見える化」
提案者:柳田 明(東京電機大)、上島伸文(東北大)
熱間圧延ロールの摩耗および表面損傷のメカニズムのみならず、圧延ロールバイト内のロール/被加工材現象を理解するためには、現象の見える化が必要である。「圧延ロール界面現象の見える化研究」では、直接的な計測のみならず、数値解析やモデル実験による物理シミュレーションを利用し研究を進めている。本討論会では当研究会の中間報告としてこれまでに得られた成果と今後の課題を議論する。
6. 創形創質工学分野
「圧延DX技術の現状と今後の展望」
提案者:瀬川明夫(金沢工大)、原 健一郎(神鋼)
近年の製造業におけるDX化の傾向は強く、大きな潮流となっている。コンピュータ処理能力の向上がこの傾向に拍車をかけており、AI技術の急激な拡大もこれからのものづくりには欠かせないものになるであろう。本討論会では、DX、IoT、知能化技術の圧延加工分野への適用事例を紹介するとともに、今後の進展について討論する。
7. 創形創質工学分野
「若手研究者による管の製造や成形に関する取り組み」
提案者:宮崎 忠(長野高専)、箱山智之(岐阜大)
低炭素社会実現をはじめとして、鋼管に関する産業界からの要求は大きい。鋼管技術のさらなる高度化のためには若手研究者の活性化が不可欠である。本討論会では、鉄鋼材料に限らず様々な材料を対象とし、管の製造や成形、管を活用した研究に取り組む若手研究者・エンジニアに焦点をあて、研究事例を紹介してもらう。今後の管の研究動向について議論する。
8. 材料の組織と特性分野
「マルテンサイト鋼における局所塑性と関連する変形・破壊強度」
提案者:小山元道(東北大)、北條智彦(東北学院大)
高強度鋼の代表であるマルテンサイト鋼の需要が高まる一方、微視的塑性変形・損傷発達挙動には不明な点が多い。マルテンサイト鋼をこれまでより有効利用するためには、その階層的組織構造に由来した複雑な微視的変形の解析や、その結果として現れる破壊現象の評価を精緻に行う必要がある。本討論会ではマルテンサイト鋼を対象とし、微視的変形解析や変形・破壊強度評価の最新成果を水素脆化も含んで討論することを目的とする。
9. 評価・分析・解析分野
「最先端技術と溶液化学との融合が切り開く新世代鉄鋼分析」
提案者:上原伸夫(宇都宮大)、稲川有徳(宇都宮大)
長年蓄積されてきた溶液化学知見と最新技術とが出会うことで、計測化学に新たな展開をもたらす。この討論会では、そのような事例の紹介と展望について鉄鋼分析の視点から討論する。