2022年春季(第183回)
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第183回討論会テーマ
討論会の原稿枚数は、A4判4枚以内で作成願います。
ここにおける提案者は、講演大会において当該セッションの座長および副座長に指名されますので、ご了承ください。
- 1. 計測・制御・システム工学分野「攻めの操業を支えるシステムレジリエンスの最新動向」
- 提案者:藤井信忠(神戸大)、楢崎博司(神戸製鋼所)
- 製鉄業の複雑なサプライチェーンにおいて、余裕最小化と変動耐性最大化を両立する「攻めの操業」を実現するために、安定余裕評価、破綻リスク予測技術と、状況悪化時でもシステム全体動作の健全性を最大限維持するためのシステムレジリエンス操業技術を開発することが求められている。本討論会では、レジリエンスのシステムモデルを構築するとともに、自動化ではなく、安定逸脱過程における人間の介入判断を支援することを目的として発足した研究会の最新動向を共有すると共に、関連するトピックについて討論する。
- 2. 創形創質工学分野「鋼板成形の先進技術と課題」
- 提案者:桑原利彦(東京農工大)、早川邦夫(静岡大)
- 鋼板の成形技術の向上は日進月歩である。自動車車体の軽量化への要求に応えるべく高強度化した結果、スプリングバックや割れ予測の高精度化や金型の耐久性向上が喫緊の課題となっている。軟鋼板に対しては、車体形状の高意匠性が要求され、CAEによる高度な形状予測技術が求められている。本討論会では、鋼板の変形特性について最新データを概括するとともに、成形技術の最新動向と課題について討論し、今後の技術動向を展望する。
- 3.創形創質工学分野「輸送機器等に求められる偏肉管のニーズおよび製造・加工技術3」
- 提案者:桑原利彦(東京農工大)、古島剛(東大)
- 自動車等の輸送機器の更なる軽量化手法として、板のテーラードブランク同様に、鋼管部材においても不要な部分を減肉化した偏肉管が要望されている。また、管の2次加工で減肉する部分を厚くした管、管の接手部をあらかじめ補強した管など、輸送機器以外でも偏肉管の適用可能性は高い。本討論会では、偏肉管のニーズおよび造管技術、成形技術に関する講演を行う。
- 4. 材料の組織と特性分野「微生物腐食の解明と診断・抑止技術の構築」
- 提案者:宮野泰征(秋田大)
- 微生物腐食については,発生メカニズムおよび原因となる微生物・作用などについても未解明の部分が多く、我々が取り組まなくてはいけない課題が山積している。微生物腐食を抑止・対策するための技術を構築には、材料研究からの貢献が大きく期待されている。本討論会では、材料工学、微生物学、環境科学などの諸学術領域から、微生物腐食の実証解明、金属/微生物の相互作用解明に関わる研究をご紹介頂き、活発な討論を行いたい。
- 5. 材料の組織と特性分野「塑性由来の破壊を理解する重要性および要求される解析技術」
- 提案者:小山元道(東北大)
- 鉄鋼材料の塑性変形挙動は未解明な点が多く、特に複雑組織を有する先進鉄鋼材料のミクロ塑性変形は最先端の研究トピックの一つである。この局所塑性ひずみ発達が変形後期まで継続されると、損傷が誘起され、“塑性由来”の破壊現象が発現する。より具体的には、微視組織由来の塑性ひずみが発達することで、局所応力上昇や破壊の起点となる組織形成が起こり、き裂が発生する。き裂発生後も、十分な延性を有する材料ではすぐには破断へ至らず、き裂先端の変形や複数き裂の合体などが塑性変形を伴って起こり、破断に至る過程が進行する。最終的な破断を考える上では、マクロな試験片形状の変化やき裂先端力学場の影響、および臨界損傷サイズ・き裂長さを評価する必要があり、力学的理解が特に重要となる。これら塑性由来の破壊現象およびその過程の理解は、いわゆる典型的な延性破壊以外にも金属疲労、水素脆化、青熱脆性など多岐にわたって重要視されている。本討論会では、“塑性”と“破壊”の学理を結びつけることの需要、およびこれを達成するために必要とされている解析技術の最新研究状況を共有し、塑性由来の破壊を理解する道筋を鉄鋼研究分野の共有財産として形成したい。