2024年秋季(第188回)

第188回討論会テーマ

討論会の原稿枚数は、A4判4枚以内で作成願います。
ここにおける提案者は、講演大会において当該セッションの座長および副座長に指名されますので、ご了承ください。

1. 高温プロセス分野
「高品質焼結鉱の鉱物組織マルチスケール評価研究会」最終報告会
提案者:林 幸(東工大)、村尾玲子(日本製鉄)
製鉄におけるCO2排出量削減は重要かつ喫緊の課題であり、全世界でカーボンニュートラルに向けた製鉄プロセス開発が取り組まれている。高炉の主原料である焼結鉱の組織最適化による被還元性等の品質向上は、高炉工程における還元材比の削減、CO2排出量およびエネルギー消費量の削減につながる。そこで、2021年に「高品質焼結鉱の鉱物組織マルチスケール評価」研究会が設立され、焼結鉱の構成相の中でも特に高品質化を担う重要な鉱物相でありながら、その組成・結晶構造・形態について未解明な部分が多い多成分カルシウムフェライト(多成分CF)相に着目し、焼結鉱組織のマルチスケール計測手法の確立と、その手法を用いて多成分CF相の組成・結晶構造・形態の関係解明を行った。また、これらが被還元性に及ぼす影響を評価し、焼結鉱組成の状態図作成も行うことにより、高被還元性を有する焼結鉱の鉱物組織とは如何なるものか、また、その作りこみに関する研究を進めてきた。本討論会は、本研究会で得られた成果とそれに関連する成果について議論する。
2. 計測・制御・システム工学分野
「エネルギー利用効率向上に向けたシステム技術」
提案者:諏訪晴彦(摂南大)、吉成有介(JFE)
製鉄所内のエネルギー需給バランシングの問題では鉄鋼エネルギーチェーン全体の最適化が重要となる。本討論会では所内エネルギーの利用効率の向上・最大化に向けて、従来のシステマティック・システム技術を俯瞰するとともに、システミックアプローチによるシステム技術の適用可能性を探る。
3. 創形創質工学分野
「鉄鋼圧延におけるトライボロジー研究」
提案者:宇都宮 裕(阪大)、馬場 渉(JFE)
近年、高強度・薄手の鉄鋼材料の需要が増大しており、それに伴い圧延負荷が増大すると共に、圧延速度の向上が求められている。その中で、圧延現象に甚大な影響を与えるトライボロジーの研究の重要性が増している。本討論会では、鉄鋼圧延における圧延ロール、潤滑、スケールなどの研究事例の発表から、圧延トライボロジー研究に関する現状の課題を概観するとともに今後の研究開発の展開について議論する。
4. 創形創質工学分野
「水冷却技術の最前線」
提案者:永井二郎(福井大)、芹澤良洋(日本製鉄)
鉄鋼プロセスの水冷却技術は、昨今の鋼材材質の高度化により、ますます重要度を増してきている。昨今の水冷却研究の現状の把握と今後の課題への議論を広げていくために、まずは、これまでに「熱延ROT冷却モデル構築」研究会に参画いただいた先生方の最新研究について報告いただく。合わせて、企業及び大学関係者を問わず、様々な視点からの報告、課題提起をいただきたい。
5. 創形創質工学分野
「材料モデリング研究の最新動向」
提案者:桑原利彦(東京農工大)、早川邦夫(静岡大)
近年、鉄鋼材料の製造や加工はますます複雑化、高精度化している。そのニーズに応えるため、生成される内部組織や加工プロセスにおける材料の変形や破壊予測などの高精度化が求められている。本討論会では、産学の材料モデルの構築や解析に携わっている研究者・エンジニアに、材料モデリング研究の最新動向を紹介してもらい、今後の材料モデリング研究の動向について議論する。
6. 材料の組織と特性分野
「溶融めっき皮膜の複相構造と機能性」
提案者:高田尚記(名大)、上田光敏(東工大)、星野克弥(JFE)、石井康太郎(日本製鉄)、大友亮介(神鋼)
近年、合金化溶融亜鉛めっき(GA)や溶融亜鉛めっき(GI)は高強度鋼に適応されつつあり、複雑形状に加工するため、冷間加工だけでなく熱間加工プロセスも適用されており、溶融めっき皮膜に要求される機能も多様化している。本討論会では、溶融亜鉛及びアルミニウムめっきプロセスに伴う化学反応やそれに伴うめっき皮膜構造の形成機構、まためっき皮膜の多様な機能性に関する最新の知見を共有する。種々の機能性を支配する溶融めっき構造因子の理解を目指し、個々の研究成果を討論する。