叢書 鉄鋼技術の流れ 第一シリーズ

(監修:日本鉄鋼協会 責任監修:増子 昇)

本会に蓄積された知的財を歴史的に展望し、技術開発の流れを的確に記述した技術叢書。
本会育成委員会知的財分科会で企画・編集した全10巻の技術叢書を地人書館において1995年から順次刊行してまいりましたが1999年2月に全巻が揃いました。これは、鉄鋼協会が保有する知的財を歴史的に展望し、講義ノート的に各分野の権威者が個人執筆するもので、技術開発の流れが的確に記述されています。自主技術の開発を目指す諸氏にとっては、このような研究の流れから新たな発想が生まれるものであり、きわめて貴重な叢書です。

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刊行スケジュール
タイトル 執筆者 発刊日
1 高炉製銑法 羽田野道春(元住金) 既刊(1999年2月)
2 取鍋精錬法 梶岡博幸(新日鐵) 既刊(1997年1月)
3 製銑・製鋼用耐火物 杉田 清(新日鐵) 既刊(1995年5月)
4 制御圧延・制御冷却 小指軍夫(NKK) 既刊(1997年2月)
5 薄板連続圧延 鎌田正誠(NKK) 既刊(1997年3月)
6 形鋼圧延技術 中島浩衛(元新日鐵) 既刊(1999年2月)
7 低合金耐食鋼 松島 巌(元NKK) 既刊(1995年3月)
8 フェライト系耐熱鋼 太田定雄(神鋼) 既刊(1998年4月)
9 構造用鋼の溶接 上田修三(元川鉄) 既刊(1997年6月)
10 鉄鋼の迅速分析 佐伯正夫(元新日鐵) 既刊(1998年12月)

高炉製銑法

第1巻「高炉製銑法 -高炉のたゆまざる発展の系譜-」

羽田野 道春 著(元住友金属工業)

1999年2月発行 A5判144頁、定価2,619円(会員価格2,410円)(税込)
本書は、戦後における高炉操業形態の変遷と、それに関連する高炉内諸反応についての研究史を、「鉄と鋼」および学振54委への提出論文を中心に総括し、その反省の中から現在および将来の検討課題が抽出されている。
特に、高炉内反応を操業(装入、送風)条件と関連づけてまとめることにより、現実の高炉操業に対し、一つの指針を提供された。また、いくつかのエピソードの挿入が理解を助けている。

《目次》
第1章 高炉の基礎的機能
第2章 高炉の通気性
第3章 高炉プロセス理論の変遷と現況
第4章 レースウェイ -認識の変遷と現況-
第5章 Si移行反応理論の変遷
第6章 中心流操業思想の歴史と現況
第7章 わが国における製銑技術の歴史と今後の課題

取鍋精錬法

第2巻 「取鍋精錬法 -多品種・高品質鋼量産化への挑戦-」

梶岡 博幸 著(新日本製鐵)

1997年1月発行 A5判256頁、定価4,532円(会員価格4,078円)(税込)
二次精錬法の進展により溶鋼の化学組成制御による鋼の量産方式が確立され、多種多様な鋼材が簡略化された同一工程により高い歩留で生産されるようになった。現在ほとんどの製鋼工場が転炉(又は電炉)-二次精錬-連続鋳造法の3工程より構成されている。
本書は、製鋼法のさらなる発展への参考に、二次精錬法が考案された背景、精錬法の進展、精錬技術の向上及び製造工程における技術上の意義についてまとめられている。

《目次》
第1章 取鍋精錬法(二次精錬法)の意義-製鋼プロセスにおける取鍋精錬法の位置づけ-
第2章 取鍋精錬法の発展-多品質・高品質鋼量産化への挑戦-
第3章 取鍋精錬技術の発展

製銑・製鋼用耐火物

第3巻「製銑・製鋼用耐火物 -高温への挑戦の記録-」

杉田 清 著(新日本製鐵)

1995年5月発行 A5判432頁、定価7,014円(会員価格6,312円)(税込)
本書は、戦後の半世紀を中心に、耐火物技術の歴史を、耐火原料から操業まで、高炉から連続鋳造まで、多面的に追跡してその変遷の背景を分析し、歴史の中から今後の展望を試みた「耐火物技術史」である。
耐火物工学の骨格をなす各種の指導原理や重要データの説明など、教科書的体系化を配慮しつつ「文献目録」としても活用できる。また、耐火物・溶鋼の相互反応など、境界領域の課題をも重視し、古代からの耐火物の歩みが楽しく読める。

《目次》
第1章 耐火物のあらまし
第2章 技術史としての視点と概観
第3章 古代・中世・ルネサンス期
第4章 近代前期-産業革命前後-
第5章 近代後期-第二次大戦終結まで-
第6章 現代(1)-その基本的潮流-
第7章 現代(2)-用途別の主要な技術変遷-
第8章 現代(3)-特定技術課題-
第9章 総括と今後の展望

制御圧延・制御冷却

第4巻「制御圧延・制御冷却 -圧延による材質創製の流れ-」

小指 軍夫 著(NKK)

1997年2月発行 A5判211頁、定価3,454円(会員価格3,143円)(税込)
制御圧延・制御冷却(TMCP)は、現在、高張力鋼板の製造に最も普遍的に使われている。第2次大戦後、ヨーロッパで行われた初歩的な制御圧延、1950年代に導入されたNb鋼に関連する英国、米国における一連の研究、技術開発に続き、1960年代から1970年代にかけて、この技術がわが国において高度化し、1980年代には制御冷却が確立されて、最近ではその延長上にある直接焼き入れ(DQ)技術の進展もめざましいものがある。
本書は、TMCP、DQの最新の知識が説明されるとともに、これらの技術の展開、それに関連する基礎的研究の進歩が、大きな流れとして捉えられている。

《目次》
第1章 序章
第2章 制御圧延・制御冷却と直接焼入れ技術の基礎
第3章 制御圧延の原型-欧州における初期の制御圧延-
第4章 欧米における制御圧延の普及と研究の進展(1960年代)
第5章 日本における高張力鋼の開発と制御圧延技術の進展(戦後~1970年代初頭)
第6章 制御圧延技術の高度化と世界的な規模での進展(1975年~1985年)
第7章 制御冷却、直接焼入れ技術の実用化(1980年以降)
第8章 制御圧延・制御冷却に関する基礎的研究
第9章 終章

薄板連続圧延

第5巻 「薄板連続圧延 -世界一を目指した技術者達の記録-」

鎌田 正誠 著(NKK)

1997年3月発行 A5判305頁、定価4,856円(会員価格4,370円)(税込)
1920年代に、圧延機を直列に配置するタンデム圧延機が登場してから、タンデム圧延機を用いた連続圧延が薄鋼板製造の中心的役割を果たしてきた。特に1970年以後わが国で冷間圧延工程の完全連続化、連続鋳造と熱延工程の連続化、板圧、形状精度の向上など、薄板製造の革新的技術開発が行われた。本書は、これらの技術を技術史的視野から総合的に解説され、今後の技術開発の基礎となる考え方についてまとめられている。

《目次》
第1章 パススケジュール計算
第2章 連続圧延における静特性解析
第3章 連続圧延における動特性解析
第4章 連続圧延理論の応用(1)主として板厚制御に関する検討
第5章 連続圧延理論の応用(2)主としてクラウン・形状・エッジドロップに関する検討

形鋼圧延技術

第6巻「形鋼圧延技術 -技術導入、研究、そして自主技術開発-」

中島 浩衛 著(元新日本製鐵)

1999年2月発行 A5判256頁、定価4,400円(会員価格3,982円)(税込)
形材の圧延技術、設備の歴史的変遷、技術進歩をみると、1901年(明治34年)以来、特にドイツを中心とした海外からの圧延設備、孔型設計図の導入や圧延技術者の指導によって生産が開始されてから、大略、

  1. 欧米技術の導入による揺籃期(1901~1930)
  2. 欧米技術の消化、吸収による育成期(1930~1955)
  3. 技術の改良、改善技術による成長期(1955~1975)
  4. 自主技術開発研究による発展期(1975~現在)

の4つの時代を経過している。本書は、それぞれの時代の技術の変遷、流れが明らかにされていると同時に、圧延研究、現場との共同開発、新圧延工場の稼動などを引用し、圧延の理論と実際について解説されている。

《目次》
第1章 日本における圧延技術・研究の流れ
第2章 形鋼圧延技術の発展と歴史的変遷
第3章 高度成長時代以降の形鋼新圧延技術の開発(1)
-形鋼の新圧延プロセスの自主技術開発時代(1965年以降)-
第4章 高度成長時代以降の形鋼新圧延技術の開発(2)
-形鋼圧延の連続化、自動化および高品質化のための計算機制御時代の到来(1972年頃~現在)-
第5章 形鋼圧延の理論と実際

低合金耐食鋼

第7巻「低合金耐食鋼 -開発、発展、そして研究-」

松島 巌 著(元NKK)

1995年3月発行 A5判219頁、定価3,454円(会員価格3,107円)(税込)
本書は、耐候性鋼など、4種の低合金耐食鋼の技術の流れとその決め手となった研究成果について詳述され、同時にこれらが深くかかわった戦後50年の社会、経済の発展・変遷との関連が浮き彫りにされ、材料開発の考え方に様々の示唆が与えられている。また、耐海水鋼、耐硫酸露点腐食鋼、耐みぞ状腐食鋼についても解説され、専門技術者・研究者をはじめ、材料技術者全般に役立つ内容となっている。

《目次》
第1章 総論
第2章 耐候性鋼
第3章 耐海水鋼
第4章 耐硫酸露点腐食鋼
第5章 耐みぞ状腐食電縫鋼管

フェライト系耐熱鋼

第8巻「フェライト系耐熱鋼 -世界一へのたゆまざる研究と開発-」

太田 定雄 著(神戸製鋼所)

1998年4月発行、A5判290頁、定価4,400円(会員価格3,982円)(税込)
エネルギーの主流である火力発電用のプラント基材として、わが国で開発されたフェライト系耐熱鋼が、いまや世界的に脚光を浴びている。
本書は、戦後の復興期、高度成長、石油危機、環境問題など、時代の社会的変遷を踏まえて、わが国で耐熱鋼がどのように発展してきたかが概観され、ついで火力発電、原子力、化学工業、自動車などで重要な役割を担うフェライト系耐熱鋼の開発、発展、そしてそれらを支えた研究の流れを追い、その将来が展望されている。

《目次》
第1章 耐熱鋼、耐熱材料の歴史
第2章 わが国における耐熱鋼の研発開発の流れ
第3章 TAF鋼の開発
第4章 火力発電用材料の発展
第5章 化学工業の発展と圧力容器材料の開発
第6章 高速増殖炉用フェライト系耐熱鋼の開発
第7章 核融合炉用フェライト系耐熱鋼の開発
第8章 自動車排気系フェライト系耐熱鋼の発展
第9章 複合発電の発展とガスタービン用材料および蒸気ダービン用高低圧一体型ロータ材の開発
第10章 超々臨界圧発電用フェライト系耐熱鋼の開発

構造用鋼の溶接

第9巻「構造用鋼の溶接 -低合金鋼の諸性質とメタラジー-」

上田 修三 著(元川崎製鉄)

1997年6月発行 A5判422頁、定価7,370円(会員価格6,705円)(税込)
本書は、溶接構造用低合金鋼を中心とし、主に溶接熱影響部での硬化や軟化、靱性低下、そして遅れ割れ、高温割れ、ラメラテアなど、さらに亜鉛脆化、腐食割れをはじめ溶接性に係わる諸現象に注目し、それらの発生機構と対策に関連して、特に溶接メタラジーの視点から取り組まれた基礎的研究の進歩の過程が詳述されている。
また、高能率溶接法の発達、使用環境の過酷化、安全性評価の厳格化など、要求性能の高度化を背景に開発された溶接性改良鋼の進展にも触れている。

《目次》
第1章 総論
第2章 溶接構造用鋼の進歩と溶接部特性
第3章 溶接性関連の諸問題究明の試み
第4章 溶接部の安全性評価方法の発達
第5章 溶接方法の発展

鉄鋼の迅速分析

第10巻「鉄鋼の迅速分析 -速さ、精度、信頼性への挑戦-」

佐伯 正夫 著(元新日本製鐵)

1998年12月発行 A5判187頁 定価3,300円(会員価格2,933円)(税込)
鉄鋼技術の発展は、分析技術の発展を促し、また分析技術の進歩は鉄鋼技術の進歩を確かめ、次の発展への礎となってきた。現在の鉄鋼分析、特に迅速分析では、最新の機器を用い瞬時に多くの情報が提供される。
本書は、その迅速分析の経過に集約された技術の本質を明確にするため、発展の過程を、戦後50年間のわが国における鉄鋼技術の流れの中で整理体系化することにより明確にされ、次の飛躍の糧を提供している。

《目次》
第1章 日本の鉄鋼分析の現状
第2章 戦後50年間の鉄鋼分析技術の流れ
第3章 スパーク放電発光分光分析技術の流れ
第4章 スパーク放電以外の発光分光分析技術の流れ
第5章 今後の鉄鋼分析技術