2021年春季(第181回)
第181回討論会テーマ
1.創形創質工学分野「熱延ROT冷却モデル研究の進展」 提案者:永井二郎(福井大)、芹澤良洋(日本製鉄) 熱間圧延の組織材質制御のための手段として、ROTにおける冷却制御技術は重要な役割を持っている。本討論会では、2020年3月に終了した熱延ROT冷却モデル構築Ⅱ研究会の成果を含めて、ROT冷却モデリングと組織材質制御の高度化等について、幅広く議論する。 2.創形創質工学「輸送機器等に求められる偏肉管のニーズおよび製造・加工技術」 提案者:桑原利彦(東京農工大)、吉村英徳(香川大) 自動車等の輸送機器の更なる軽量化手法として、板のテーラードブランク同様に、鋼管部材においても不要な部分を減肉化した偏肉管が要望されている。また、管の2次加工で減肉する部分を厚くした管、管の接手部をあらかじめ補強した管など、輸送機器以外でも偏肉管の適用可能性は高い。 本討論会では、偏肉管のニーズおよび造管技術、成形技術に関する講演を行う。 3.材料の組織と特性分野「塑性を起源とする損傷発達の理解とその克服・利活用」 提案者:小山元道(東北大) 多くの鉄鋼材料では、大きな塑性変形の後に破壊が起こる。この塑性変形と破壊をつなぐ現象は微小損傷の発生と成長である。しかし、塑性由来の損傷発達には組織依存性や、試験片形状依存性、負荷方法依存性など様々あり、材料工学と機械工学にまたがる複雑な現象として認知されている。また、変形の微視的不均一性は損傷発達を理解する鍵である。微視的不均一変形の強度や加工硬化を向上させる正の面と損傷を誘起する負の両面をよく理解して材料を設計することが今後の先進高強度鋼を創製する上で最重要である。 本討論会では、疲労や水素脆化などを含め、塑性由来の損傷発達・破壊現象を基礎から討論しなおすとともに、その損傷発達を克服・利活用した例についても討議し、鉄鋼材料の明るい未来を共有することを目的とする。 |