第33回鉄鋼工学アドバンストセミナー 受講者募集案内
(鉄鋼工学中堅技術者育成セミナー)
(申込締切日:2025年6月13日)
本セミナーは10~15年の実務経験を持つ中堅技術者を対象とし、次代の鉄鋼業の担い手を育成することを目的としています。各コースとも、他社の技術者とのディスカッションを主体に、既得の知識を存分に活用しながら各自の技術思想の整理・再構築を図ることに主眼を置いた、実践的コースで構成されております。
- (1)少人数で討論主体:
- 受講者は予め提示された宿題に対する解答を用意し、本セミナーで相互にこれを発表した後、問題点を抽出して徹底的な討論を行う。尚、宿題、討議のいずれにおいても受講者所属組織の秘密情報の供出は強要しない。
- (2)次代に向けたテーマ:
- 次代の鉄鋼業に向けた課題をテーマとして選択する。答えを出すことが目的ではない。
- (3)最高の講師陣:
- テーマに対する最高の専門家を講師として迎え、これら講師が関連する講義を担当しWG委員とともに討論の指導を行う。また、将来に続く緊密な産学連携を意識し、大学若手研究者が講師として参加する。
第33回を下記のとおり開催いたしますので、奮って受講下さるようご案内いたします。
日時: | 2025年10月20日(月)~22日(水) 集合日時:10月20日(月)8:30 |
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会場: | セミナーハウス クロス・ウェーブ船橋 (〒273-0005 千葉県船橋市本町 2-9-3 TEL.047-436-0111) |
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募集コースおよび内容: (プログラムの講義、討論の時間配分は変動することがあります) |
コース共通:基調講演 ※募集人員は、各コース約10名、全コース合わせて30名程度です。 |
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参加資格: |
以下の条件をすべて満たしている方。
※但し、上記以外については、応募状況も踏まえ、鉄鋼工学アドバンストセミナーWGによる承認が得られた場合、参加可能。 ※本セミナーは知識を吸収する場ではなく、各々の知識を以て討論する場です。 |
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費用(税込): |
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申込締切日: | 2025年6月13日(金)期日厳守 | ||||||
申込方法: |
下記申込フォームに入力し、送信して下さい。 |
(一社)日本鉄鋼協会 育成グループ
E-mail:educact@isij.or.jp
●育成委員会鉄鋼工学アドバンストセミナーWG●
WG主査: | 笹井 勝浩(日本製鉄(株) 顧問) |
WG委員: | 柏原 佑介(JFEスチール(株) スチール研究所 製銑研究部 グループリーダー) 中井 由枝(JFEスチール(株) スチール研究所 製銑研究部 グループリーダー) 中村 洋二(日本製鉄(株) 技術開発本部 プロセス研究所 圧延研究部 部長) |
内容
- 1. コース
(1)製銑コース
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テーマ「カーボンニュートラルを目指した製銑プロセスの展望」
2050年カーボンニュートラル実現に向けた検討が国内各社でそれぞれ進められており、水素を活用した直接還元法だけではなく、現行の高炉・転炉ルートによる製鉄法も含めて複線的に取り組まれている。そこでカーボンニュートラル達成に向けては直接還元法などの新プロセス開発だけではなく、既存の高炉法を活用したCO2削減削減についても継続的に検討していく必要がある。本セミナーではカーボンニュートラル実現に向けた製銑工程(焼結、コークス、高炉)トータルでのCO2削減の方向性をターゲットに、新技術の適用および制約条件等を考慮し、将来の目指すべき製銑工程の姿、方向性について議論する。
- 講師
- 村上 太一(東北大学 大学院環境科学研究科 先端環境創成学専攻 教授)
昆 竜矢(九州大学 大学院工学研究院 材料工学部門 助教)
柏原 佑介(JFEスチール(株) スチール研究所 製銑研究部 グループリーダー)
講義-1「カーボンニュートラルに向けた製銑技術」(柏原講師)
講義-2「カーボンニュートラルな酸化鉄還元プロセスの構築」(昆講師)
講義-3「真のカーボンニュートラルを実現する炭素循環製鉄」(村上講師)- 宿題
- カーボンニュートラルに向けた将来の目指すべき製銑工程の姿について述べて下さい。そしてプロセス設計をするために必要とされる要素技術や、全体構成を議論するために必要となる課題や解決策を提示し、そのプロセス技術確立に向けてのアプローチ案を示して下さい。
[キーワード]カーボンニュートラル、高炉、焼結、コークス、サーキュラーエコノミー、CCUS※セミナー当日の宿題発表はパワーポイントで行い、宿題レポートの要点を明確に発表出来るよう構成すること。
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(2)製鋼コース
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テーマ「地球環境問題を見据えた高級鋼製造における製鋼プロセスの将来像」
我が国の鉄鋼業が、持続的に事業を発展させていくためには、カーボンニュートラルへの挑戦とともに高付加価値商品を製造する高級鋼製造プロセスの確立と生産性の向上が必要である。そこで本セミナーでは、次世代(10~20年後)の製鋼プロセスのあるべき姿について、原理原則を踏まえて多様な視点から検討し、高級鋼製造の実現に必要な技術について議論することを目的とする。
- 講師
- 小野 英樹(富山大学 都市デザイン学部 材料デザイン工学科 教授)
川西 咲子(京都大学 エネルギー科学研究科 エネルギー応用科学専攻 准教授)
中須賀貴光((株)神戸製鋼所 鉄鋼アルミ事業部門 技術開発センター 製鋼開発部 精錬開発室 室長)
講義-1「多様な鉄源を用いた高級鋼製造プロセスの将来像」(小野講師)
講義-2「その場観察で探る凝固過程の二次介在物形成メカニズム」(川西講師)
講義-3「高級鋼製造に向けた精錬プロセスの高効率化技術」(中須賀講師)- 宿題
- 最近の地球環境問題や我が国の鉄鋼業を取り巻く環境、昨今のアメリカによる関税引き上げやパリ協定脱退の状況等を踏まえ、製鋼プロセスにおける10~20年先の将来像を設定し、実現のための課題と対応策を述べて下さい。下記の2項目(①、②)に対して、キーワードを参考に、現状の課題と革新的高級鋼製造を可能とする製鋼プロセス・技術を提案してください。関連資料のレビュー、バウチャーを明らかにし、レポートに記載してください。
①高生産性と高品質化を両立する技術
[キーワード]高清浄鋼製造技術、高級鋼・高品質鋼の一貫製造技術、高級鋼製造の生産性向上技術、プロセス制御、データ活用、数値シミュレーション②地球環境と調和する製鋼プロセス
[キーワード]脱炭素、エミッションフリー、スクラップ、高炉―転炉法、電気炉法、水素還元、電気溶融炉(メルター)法、トランプエレメント無害化、難鋳造のエコプロダクトの鋳造技術また①、②とは別に、産学連携の活性化を実現するための学側への要望、企業から学側への働き掛け、交流の方法について、意見・提案を述べてください。
※セミナー当日の宿題発表はパワーポイントで行い、宿題レポートの要点を明確に発表出来るよう構成すること。
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(3)圧延コース
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テーマ「冷間圧延における次世代プロセス技術」
薄板は自動車や建材、ステンレス、電磁鋼板などの幅広い用途に用いられる素材である。量的比率の高い薄板での競争力確保は鉄鋼各社にとって重要な課題であり、その中核プロセスである冷延工程の技術革新、改善に向けられた期待は大きい。一方で、中国をはじめとしたアジア諸国での薄板製造設備の新設、増強が進んでおり、国際競争はますます激化すると見込まれている。そのため、既存商品において従来以上の品質を維持しつつ、高精度、高能率、省エネ化等により製造コスト低減を図ると共に、新たな高付加価値商品の製造にも対応していかねばならない。そのような現状を踏まえ、調質圧延や矯正も含めた冷延プロセス全般を基本に立ち返って見直し、将来あるべき姿を考え、今後求められる次世代の技術について議論する。
- 講師
- 柳田 明(東京電機大学 工学部 先端機械工学科 教授)
藤田 昇輝(JFEスチール(株) スチール研究所 サイバーフィジカルシステム研究開発部 主査研究員)
手塚 知幸((株)TMEIC 産業・エネルギーシステム第二事業部 プロセス制御研究開発センター プロセス制御開発課 課長)
講義-1「冷間圧延理論の基礎」(柳田講師)
講義-2「冷延技術の近年の課題と技術動向」(藤田講師)
講義-3「冷間圧延設備・制御における課題と近年の技術動向」(手塚講師)- 宿題
- 薄鋼板の冷延・調圧・矯正プロセスにおいて、将来にわたりグローバル競争を勝ち抜くための高付加価値商品(強度、材質特性、表面性状、寸法精度など)の製造、または抜本的なコスト低減(高生産性、省合金、省エネルギーほか)に向けて、
- ①既存装置・技術で製造ネックとなる要因や課題を分析、整理してください。
- ②①の課題を解決する要素技術について、国内外の文献等を参考に対応策を考察してください。
- ③更に、競争力のある次世代の薄板冷延プロセスおよびそれらの要素技術について、既成概念に捉われない自由なアイディアを提案すると共に、それらプロセスにより生産される製品群がどのような新しい付加価値を生み出すかについて発想してください。
[キーワード]圧延、材料設計、高生産性(稼働率、作業率)、寸法制御、設備技術、プロセス制御技術、センサー利用技術、数値シミュレーション、データ活用、カーボンニュートラル、省エネ
※セミナー当日の宿題発表はパワーポイントで行い、宿題レポートの要点を明確に発表出来るよう構成すること。
- 2. 基調講演
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題目「カーボンニュートラル実現のための鉄スクラップ活用拡大について」
日本の鉄鋼業は、国内のCO2排出総量の約14%を占めるとされており、カーボンニュートラル(CN)の実現において極めて重要な役割を担っています。CN達成に向けた多岐にわたる施策が精力的に進められている中、最も現実的かつ早期に成果を期待できる手段として、鉄スクラップの活用が挙げられます。本講演では、日本の鉄スクラップ業界の全体像を概観し、カーボンニュートラルに向けた鉄スクラップ活用拡大のための課題や取り組み案などを提示致します。
- 講師
- 米田 寛(産業振興(株) 代表取締役社長)