第75回白石記念講座「データ駆動型材料開発の最前線とその適用例」
(事前申込締切:2024年10月24日)

【講座の視点】

 大量のデータの収集・分析を始点として研究を行うデータ駆動型の研究開発は、コンピュータなどのハード面、情報科学技術などのソフト面の発達により、近年目覚ましい発展を遂げてきた。本手法の適用により、今後材料開発の分野においてもますますの加速や高度化が予想される。
 本講座では、データ駆動型材料開発における最新技術動向を紹介した上で、データセットの構造を理解するための強力なツールであるトポロジカルデータ解析や画像解析に焦点を当てて、その基礎から適用例までを学ぶことを目的とする。

【協賛(50音順)】

(公社)応用物理学会、(公社)化学工学会、(公社)計測自動制御学会、(一社)資源・素材学会、(一社)電気学会、(一社)特殊鋼倶楽部、(公社)土木学会、(一社)日本機械学会、(公社)日本技術士会、(公社)日本金属学会、(一社)日本建築学会、(公社)日本材料学会、(一社)日本塑性加工学会、日本中性子科学会、(一社)日本熱処理技術協会、(公社)日本分析化学会、(一社)表面技術協会、(公社)腐食防食学会、物質・材料研究機構、(一社)溶接学会

日時・場所:

2024年11月21日(木)9:20~16:55 受付時間:9:00~15:55
【ハイブリッド開催】鉄鋼会館 会議室
(東京都中央区日本橋茅場町3-2-10)→会場案内
※Cisco Webex Meetingsを使用

※今後の状況によっては、オンライン開催へ変更する場合がございます。変更する際は本会Webサイトにてお知らせいたします。

プログラム:

→講演題目及び講演者、司会者

→講演内容

参加申込み:
【9月初旬開始予定】
[申込方法]
本会Webサイトからの事前申込のみとします。当日参加受付は行いません。
※定員になり次第、締切とします。

[支払い方法]
①クレジットカードのオンライン決済 または、②郵便振替 のいずれかの方法で、事前の入金をお願いします。
※請求書の発行は致しません。
[締め切り]
申込、入金ともに10月24日(木)までに完了するようお願いします。
  • ※入金の確認後、開催約1週間前にテキストと領収証を送付します。
  • ※ご入金後の返金はいたしません。また、当日不参加の場合も返金はいたしませんのでご了承下さい。
  • ※オンライン受講については、開催約1週間前に、申込者にメールにてご案内致します。
参加費
(税込み、テキスト付):

会員8,000円、一般15,000円、学生会員1,000円、学生一般2,000円

注)会員割引は個人の会員のみ有効です。協賛団体の個人会員、学生会員も含みます。

*非会員でご参加の方で希望される方には、下記の通り会員資格を会費なしで付与いたします。(入会方法は別途ご案内いたします。)
・一般(15,000円)で参加 ⇒ 2025年12月までの準会員資格
・学生一般(2,000円)で参加 ⇒ 2025年12月までの学生会員資格

★テキストは、講座終了後残部がある場合、鉄鋼協会会員価格、一般価格で販売いたします。
テキスト購入のお申込みは、出版図書案内 をご覧下さい。

問合せ先:
(一社)日本鉄鋼協会 育成グループ E-mail:educact@isij.or.jp

講演題目及び講演者、司会者

司会者:井上 純哉(東京大学)
9:20-10:30 【基調講演】「データ駆動型材料設計に関する産総研の取り組み」
産業技術総合研究所 執行役員 材料・化学領域長 濱川 聡
10:30-11:30 「量子アニーリングを用いたブラックボックス最適化手法と材料科学への応用」
物質・材料研究機構 マテリアル基盤研究センター チームリーダー 田村 亮
司会者:濱川 聡(産業技術総合研究所)
12:30-13:40 【基調講演】「データ駆動科学と冶金学の融合に向けて」
東京大学 生産技術研究所 教授 井上 純哉
13:40-14:40 「トポロジカルデータ解析を用いてミクロ構造とマクロ物性をつなぐ」
東北大学 材料科学高等研究所 准教授 赤木 和人
司会者:赤木 和人(東北大学)
14:55-15:55 「深層ニューラルネットワークによる材料パターン情報学の試み」
一橋大学 大学院 ソーシャル・データサイエンス研究科 准教授 本武 陽一
15:55-16:55 「金属の破断面解析と機械学習の融合研究の紹介」
労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 機械システム安全研究グループ 部長代理 山際 謙太

講演内容

1)【基調講演】データ駆動型材料設計に関する産総研の取り組み
濱川 聡

 産業技術総合研究所(産総研)は、統合イノベーション戦略推進会議において決定された「マテリアル革新力強化戦略」の実現に向けて、データ駆動型材料開発・マテリアルDXを組織的に推進している。本講演では、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)研究、プロセス・インフォマティクス(PI)研究、及びその実施拠点として整備したマテリアル・プロセスイノベーションプラットフォーム、並びにデータプラットフォームとして構築したAIST Materials Gate DPF(DPF)について紹介する。

2)量子アニーリングを用いたブラックボックス最適化手法と材料科学への応用
田村 亮

 データ駆動型材料開発の大きな目的の1つとして、「機械学習の予測を利用することで、少ない実験回数でより良い材料特性を持つ材料を見つける」ことが挙げられる。これを実現する手法としてベイズ最適化をはじめとするブラックボックス最適化手法が活用されており、材料開発で多くの成功例が生み出されている。しかし、材料の組成、構造、プロセスの多様性により候補材料数が増大してしまうと、ブラックボックス最適化に要する計算時間が現実的ではなくなるという問題があった。そこで、量子アニーリングや類似手法をハードウェアに実装したイジングマシンといった次世代計算技術を利用することで、候補材料数が激増した場合でも、高速にブラックボックス最適化を実施できる手法を開発した。本講演では、開発手法を材料科学研究へ適用した実例を紹介する。

3)【基調講演】データ駆動科学と冶金学の融合に向けて
井上 純哉

 構造材料の特性は、結晶構造や分子構造だけでなく、結晶粒や析出物のサイズや形状など、様々なスケールの組織因子によって左右される。また、これらの組織因子は、製造・加工プロセス中に生じる様々な非平衡現象が複合的/競合的に生じることで複雑に変化する。そのため、構造材料の開発では、材料の本質的な理解が重要となるだけでなく、過去のデータや経験則も活用しながらの試行錯誤も不可欠となっており、膨大な労力と時間が不可欠となってきた。この様な状況を打破すべく、近年機械学習の力を借りて所望の特性を持った材料の設計をする試みがされている。本講演では、その様な試みの一つとして深層学習モデルと物理モデルの融合による材料組織推定のための枠組みに関する研究を紹介したいと思う。

4)トポロジカルデータ解析を用いてミクロ構造とマクロ物性をつなぐ
赤木 和人

 物質材料のミクロ構造には組成やプロセス条件を反映した情報が含まれており、適当な物理モデルを介して種々のマクロ物性と結び付いているものと考えられる。パーシステント・ホモロジーと呼ばれる数学の枠組みを活用したトポロジカルデータ解析(TDA)を用いると、複雑なピクセル画像や原子配置といった離散点データを n次元の「穴」の形や大きさに基づいて定量化できるようになり、実材料へのデータ科学的アプローチに顕微画像データなどを用いる道が拓ける。本講座では、金属組織の走査電子顕微鏡(SEM)画像や大規模なシミュレーションデータにTDAを適用して記述子を生成し、機械学習と組み合わせてミクロな構造的特徴とマクロ物性をつなぐ回帰モデルを構成できることを、具体例を交えて紹介する。

5)深層ニューラルネットワークによる材料パターン情報学の試み
本武 陽一

 驚異的な発展が続く、深層ニューラルネットワーク(DNN)を用いた画像認識・生成技術を、構造材料の組織構造のような材料パターン(画像)やそのダイナミクス(動画)を情報科学的にモデル化し理解・予測することに活用する研究が活発に行われている。本講演では、そのような「材料パターン情報学」とでも括ることができる研究領域についての最新の動向を紹介する。例えば、高分子破面から靱性を予測する我々の研究事例等を元に、最近の画像認識でよく用いられる、Transformer型のDNNモデル(言語モデルを起源としてChatGPT等の大規模言語モデルにも組み込まれる)について、従来の材料パターン分析でもよく使用されてきた畳み込み型DNNではなくTransformer型のDNNを材料科学データの分析に活用する意義について紹介する予定である。

6)金属の破断面解析と機械学習の融合研究の紹介
山際 謙太

 金属の破断面には破壊機構に関係した模様が残されている。この模様を調査することで機械構造物等の破壊の原因を知ることができ、これを破断面解析と呼ぶ。破断面解析では、肉眼で破断面を観察した後に、走査型電子顕微鏡(SEM)で拡大して観察し、そこで観察される模様を分類することで破壊機構を推定する。本講演では、10万枚を超える破面のSEM画像を学習用データとして取得し、多層型ニューラルネットワークに学習させ、破断面の模様の分類に成功した例について紹介する。

会場案内

東京会場 11/21(木)
東京会場の地図

鉄鋼会館 会議室
(東京都中央区日本橋茅場町3-2-10)
JR:「東京駅」八重洲口より徒歩約15分
地下鉄:東西線「茅場町駅」12番出口より徒歩約5分
    日比谷線「茅場町駅」1番出口より徒歩約5分、「八丁堀駅」A5番出口より徒歩約5分
https://www.tekko-kaikan.co.jp/publics/index/207/

※講座案内のチラシはこちらからダウンロード出来ます。