第50回鉄鋼工学セミナー受講者募集案内
本協会では、「我が国の企業人材育成活動」の一つとして、大学卒業後数年程度の技術者を対象にして、鉄鋼製造の基礎理論と現場の諸問題を結びつけた集中的な学習会「鉄鋼工学セミナー」を1975年から開催しております。
本セミナーの特徴は、専門分野ごとのコースに分かれ、6日間にわたって講師と受講者が一堂に集い、学び、交歓を深めることにあり、体系的講義とその現場への結びつきとしてのケーススタディ、受講者の発題によるグループ討論など有意義なカリキュラムを組んでおります。
本年夏は下記のとおり開催いたしますので、奮って受講下さい。なお、受講生の宿泊は、2~6名の相部屋となります旨、ご承知おき下さい。
期日: | 2024年7月7日(日)~7月12日(金) |
---|---|
会場: | リゾートホテル ラフォーレ那須 〒325-0301栃木県那須郡那須町湯本206-959 (東北新幹線・JR東北本線「那須塩原」駅下車バス40分 TEL.0287-76-1811) |
実施コース・募集定員: | 製銑コース(コークス専科) 25名、製鋼コース 48名、材料・圧延加工コース 120名 (注)定員オーバーの場合や参加資格を満たさない場合はお断りすることがあります。特に連絡がなければ受講可とお考え下さい。 |
プログラム: |
|
参加資格: |
国内に鉄鋼生産設備を有し、生産割合分担金等の維持会費を納めている法人に属する日本鉄鋼協会個人正会員 ※但し、上記以外については、応募状況も踏まえ、鉄鋼工学セミナーWGによる承認が得られた場合、参加可能。 ※準会員、非会員、外国会員は参加出来ません。 |
費用(税込): |
◎請求書は開催終了後に送付します。開催1ヵ月前の2024年6月7日(金)以降に申込の取り消しをされた場合も、同様に請求(全額)致します。 |
申込締切日: | 2024年4月12日(金)期日厳守 |
申込方法: |
申込みは終了いたしました。
※申込みいただいたデータは、鉄鋼工学セミナーに関する業務以外の用途には使用いたしません。 |
その他: | セミナー講義は、テキスト内容を前提に行われますので、予習実施の上、ご参加下さい。 討論が遅くまで行われる場合がありますので、研修前・研修中の体調管理には留意して下さい。 |
(一社)日本鉄鋼協会 育成グループ
Tel. 03-3669-5933 E-mail:educact@isij.or.jp
鉄鋼工学セミナーWG
主査 | 宇都宮 裕(大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻教授) |
---|---|
(製銑コース) | |
リーダー | 埜上 洋(東北大学多元物質科学研究所プロセスシステム工学研究部門環境適合素材プロセス研究分野教授) |
幹事 | 宮川 一也((株)神戸製鋼所鉄鋼アルミ事業部門技術開発センター製銑開発部製銑開発室主任研究員) |
コークス専科幹事 | 安楽 太介(三菱ケミカル(株)サプライチェーン所管オペレーション本部香川事業所コークス部検査グループ長 |
コークス専科幹事 | 高次 哲生(日本コークス工業(株)コークス事業部北九州事業所化成部化成課課長) |
コークス専科次期幹事 | 松井 貴(JFEスチール(株)スチール研究所製銑研究部主任研究員) |
(製鋼コース) | |
リーダー | 小林 能直(東京工業大学科学技術創成研究院教授) |
幹事 | 中須賀貴光((株)神戸製鋼所鉄鋼アルミ事業部門技術開発センター製鋼開発部精錬開発室室長) |
幹事 | 中井 由枝(JFEスチール(株)スチール研究所製鋼研究部主任研究員) |
(材料・圧延加工コース) | |
リーダー | 宇都宮 裕(大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻教授) |
幹事 | 常陰 典正(山陽特殊製鋼(株)研究・開発センター新商品開発室長) |
幹事 | 柚賀 正雄(JFEスチール(株)スチール研究所鋼材研究部主任研究員) |
幹事 | 河西 大輔(日本製鉄(株)技術開発本部プロセス研究所圧延研究部板圧延研究室研究第二課長) |
基本プログラム
◎イブニングセミナー
7月8日(月)18:30~20:00
◎実施コース、内容
(Ⅰ)製銑コース(コークス専科)
講義・講師一覧
講義-1 | 「移動速度論学」 東北大学大学院環境科学研究科先端環境創成学専攻教授 村上 太一 |
---|---|
講義-2 | 「石炭事情の現状と今後」 日本製鉄(株)本社原料事業企画部資源調査室長 柏瀬 陽一 |
講義-3 | 「石炭配合とコークス品質評価」 三菱ケミカル(株)サプライチェーン所管オペレーション本部香川事業所コークス部検査グループ長 安楽 太介 |
講義-4 | 「コークス乾留現象とモデル化」 東北大学大学院工学研究科化学工学専攻教授 青木 秀之 |
講義-5 | 「新コークス技術」 JFEスチール(株)スチール研究所製銑研究部主任研究員 松井 貴 |
講義-6 | 「新製鉄プロセス」 (株)神戸製鋼所鉄鋼アルミ事業部門技術開発センター製銑開発部主任研究員 宮川 一也 |
講義-7 | 「石炭の構造解析と低品位炭利用への応用」 産業技術総合研究所臨海副都心センター所長代理 鷹觜 利公 |
講義-8 | 「石炭事前処理と操業管理」 日本製鉄(株)技術開発本部プロセス研究所製銑研究部石炭・コークス研究室長 窪田 征弘 |
講義-9 | 「コークス炉副産物処理技術」 日本コークス工業(株)コークス事業部北九州事業所化成部化成課課長 高次 哲生 |
講義-10 | 「反応速度論と石炭反応モデル化」 京都大学大学院工学研究科化学工学専攻講師 蘆田 隆一 |
講義-11 | 「コークス炉設備」 関西熱化学(株)研究開発センターコークス開発グループグループリーダー 北尾 政人 |
講義-12 | 「コークスの高炉内挙動」 東北大学多元物質科学研究所プロセスシステム工学研究部門環境適合素材プロセス研究分野教授 埜上 洋 |
グループ討論について
テーマ:「日本産業部門CO2排出量48%を占める製鉄業のCO2削減に向け、私達が取り組むべき課題とその解決策」
日本の鉄鋼は、人口減少に伴う需要減が見込まれており、製鉄所の閉鎖や縮小が続いている。一方、2050年のカーボンニュートラルの流れを受け、高炉から電炉への転換が進むと予想されている。その中でも、コークス製造に関わる立場として、2050年を想定した足元からの取り組みと2030年頃からの取り組みを設定して日本の製鉄業のあるべき姿を想像し、世界における日本の製鉄業のプレゼンスをさらに上げていくために必要な課題を挙げて、その実施に向けた内容の整理並びに解決策を討議する。
【宿題】取り組むべき課題とその解決策を考えて、適宜、資料に纏めて第1日目にグループメンバーへ報告する。
【討論】上記テーマについて、セミナー期間中グループメンバーで議論する。第5日目にグループで議論した内容を他グループと共有する。発表にはパワーポイントを使用するが、他事業所の技術者との議論に重きを置くため、発表資料の体裁は特に問わない。
[グループ討論参加への注意事項]
セミナー期間中はグループ討論の時間を確保するため、必要と思われる資料は事前に準備の上、持参すること。また、プレゼンテーション用ソフトが入ったパソコン(電子メールを含めた、データを相互やり取りができるタイプ)を各自持参すること。
製銑コース(コークス専科)聴講についての留意事項
講義毎に宿題が出されていますので、解答は講義毎に名前を明記したPDFファイルとして「必ず」6月28日(金)までに幹事へメール送信願います。それ以降は未提出と見なし、所属企業へ提出の催促を行うことがあります。
プログラム
(II)製鋼コース
講義・講師一覧
講義-1 | 「熱力学」 京都大学大学院エネルギー科学研究科エネルギー応用科学専攻プロセス熱化学分野准教授 長谷川将克 |
---|---|
講義-2 | 「移動速度論、介在物」 JFEスチール(株)スチール研究所製鋼研究部 古米 孝平 |
講義-3 | 「凝固基礎、偏析」 秋田大学大学院理工学研究科物質科学専攻材料理工学コース准教授 棗 千修 |
講義-4 | 「反応速度論」 日本工業大学基幹工学部応用化学科教授 内田 祐一 |
講義-5 | 「溶銑予備処理、転炉、2次精錬」 (株)神戸製鋼所鉄鋼アルミ事業部門技術開発センター製鋼開発部精練開発室室長 中須賀貴光 |
講義-6 | 「連続鋳造」 日本製鉄(株)技術開発本部プロセス研究所製鋼研究部鋳造一貫研究室研究第二課課長 峰田 暁 |
講義-7 | 「電気炉、特殊鋼精錬」 山陽特殊製鋼(株)研究・開発センタープロセス開発室製鋼グループグループ長 吉岡 孝宜 |
講義-8 | 「状態図」 東北大学多元物質科学研究所教授 植田 滋 |
講義-9 | 「物性」 九州大学大学院工学研究院材料工学部門准教授 齊藤 敬高 |
講義-10 | 「耐火物」 黒崎播磨(株)技術研究所共通基盤研究センターセンター長 合田 広治 |
グループ討論について
テーマ「10年後を見据えた日本の製鋼プロセスの提案」
昨今の鉄鋼業を取り巻く環境を鑑みると、中国を中心とした新興国における生産能力の急拡大、世界的な景気変動に伴う需給バランス激変など、日本の鉄鋼業は厳しい国際競争の荒波にもまれている。また一方、カーボンニュートラルを目指したCO2排出削減、ゼロエミッション化など環境への取り組みも最重要課題として注力する必要がある。
このような状況の中で、熾烈な競争に勝ち抜き、持続的に事業を発展していくには付加価値の高い高級鋼の造り込み、及び製造コストの低減と生産性の維持向上を両立させることが必要である。
これらの視点に立って、現状の製鋼プロセスに対し、10年後やそれ以降の未来において生産性2倍、あるいはコストおよびエミッション半分という高き目標を掲げ、それを達成するために既存プロセスに固執しない製鋼プロセスのあり方について、新しい提案、アイデアをグループごとに議論する。
なお、事前に通知されるグループ分けをもとに受講者相互で連絡を取り合い、具体的な討議案を事前にグループ内で決めておくこと(現地での討論時間は合計10時間程度で、一から議論すると不足します)。研修中は文献やインターネット情報等の入手が困難であることを前提に各自で必要と思われる資料は事前に入手、準備の上持参すること。また、グループ内で相互にデータをやりとりするため、メール送受信が可能(あるいは汎用USB等でのデータ授受が可能)で、プレゼンテーション用ソフトおよび計算ソフト(Microsoft Excel等)が入ったノートパソコンを各自持参すること。
グループ編成の参考とするため、下記の区分から現在担当している分野を選択して、申込書の所定欄にご記入下さい。
【区分】(1)精錬、(2)鋳造
製鋼コース聴講についての留意事項
講義によっては宿題があります(オリエンテーション時に提出)。テキストをご確認下さい。
プログラム
(III)材料・圧延加工コース
講義・講師一覧
講義-1,2 | 「鉄鋼の組織概論1、2」 東北大学金属材料研究所金属組織制御学研究部門准教授 宮本 吾郎 |
---|---|
講義-3 | 「塑性変形概論」 九州大学大学院工学研究院材料工学部門教授 田中 將己 |
講義-4 | 「鉄鋼の強度学概論」 (前掲)田中 將己 |
講義-5 | 「材料熱力学概論」 物質・材料研究機構構造材料研究拠点上席研究員 大沼 郁雄 |
講義-6 | 「組織予測制御学」 (前掲)大沼 郁雄 |
講義-7 | 「組織解析概論」 東北大学金属材料研究所不定比化合物材料学研究部門教授 今野 豊彦 |
講義-8 | 「AIと組織解析」 名古屋大学大学院工学研究科材料デザイン工学専攻計算材料設計講座教授 足立 吉隆 |
講義-9 | 「板圧延の基礎理論」 (株)神戸製鋼所技術開発本部材料研究所加工技術研究室室長 藤井 康之 |
講義-10 | 「板圧延の三次元変形と応用」 日本製鉄(株)技術開発本部プロセス研究所圧延研究部板圧延研究室研究第二課長 河西 大輔 |
講義-11 | 「厚板・溶接」 JFEスチール(株)スチール研究所鋼材研究部主任研究員 柚賀 正雄 |
講義-12 | 「表面処理・防食」 日本製鉄(株)技術開発本部鉄鋼研究所表面処理研究部高機能処理研究室長 高橋 武寛 |
講義-13,14 | 「脆性破壊と疲労破壊1、2」 JFEスチール(株)スチール研究所主席研究員 田川 哲哉 |
講義-15 | 「圧延機」 Primetals Technologies Japan(株)プロジェクト統括部冷延プロジェクト部技術士(機械部門) 中山 徹 |
講義-16 | 「圧延における計測制御」 JFEスチール(株)スチール研究所主席研究員 飯塚 幸理 |
講義-17 | 「容器用薄鋼板概論」 JFEスチール(株)スチール研究所表面処理研究部主任研究員 山中洋一郎 |
講義-18 | 「自動車用薄鋼板の金属学」 JFEスチール(株)スチール研究所薄板研究部主任研究員 中垣内達也 |
講義-19 | 「沸騰冷却の基礎」 佐賀大学海洋エネルギー研究所教授 光武 雄一 |
講義-20 | 「条鋼圧延技術」 (株)神戸製鋼所技術開発本部材料研究所(兼)プロセス技術センター専門部長 串田 仁 |
講義-21 | 「ステンレス鋼の最新の科学・技術」 山陽特殊製鋼(株)研究・開発センター基盤研究室予測研究グループグループ長 細田 孝 |
講義-22 | 「特殊鋼の熱処理」 愛知製鋼(株)開発本部部品開発部パワートレーン開発室室長 上西 健之 |
講義-23 | 「自動車用構造部材の加工技術」 日本製鉄(株)技術開発本部鉄鋼研究所材料ソリューション研究部ソリューション研究第四室研究第二課課長 大塚研一郎 |
講義-24 | 「圧延界面での現象」 大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻教授 宇都宮 裕 |
グループ討論について
現在、我が国の鉄鋼業は、1)新興国の台頭による国際競争激化の中でいかに製品や製造技術の優位性を維持していくか、2)自動車へのアルミニウム、炭素繊維強化プラスチックの適用といった他分野との競合の中で、素材としての鉄の優位性・可能性を高めていくにはどうすればよいか、さらに、3)カーボンニュートラルへの対応をはじめとする環境・エネルギー・資源問題や世界経済などの社会的状況変化の中で鉄鋼製造はどうあるべきか、などの多くの厳しい課題に直面しています。しかし、これまでの日本鉄鋼業の歩みを振り返ると、困難な状況の中でこそ先進的な製品や革新的な設備・製造プロセスを開発し、世界に冠たる技術を構築してきました。次代を担う受講生諸君には、現在の状況をばねに知恵を出し合い、我が国の鉄鋼業を変革し、飛躍させることを期待します。
このような視点に立って、材料開発や加工・製造プロセスに携わる技術者としての立場から、これからの鉄鋼製品や製造技術はどうあるべきかについて議論します。また、材料開発者側からのプロセス提案、プロセス・操業側からの商品提案も歓迎しますので、現在の職務にかかわらずテーマ区分の申請をお願いします。
討論の内容には、将来に向けての先端的課題や展望といった視点を含むこととし、以下のテーマ区分とします。具体的な討論内容は特に指定しませんが、各グループ内で議論を行い、合意した内容を選択してください。
(1)「高機能・高付加価値製品の提案」
- 鉄鋼の可能性、市場を拡大する、また、信頼性を向上させるための機能・付加価値をもった製品を考える。
- 例えば、現状の特性を飛躍的に高める、あるいは、これまでにない革新的な用途や機能等を見つけ出す。そのために必要な物性は何か?それを実現するためのメタラジー、設備、製造プロセスはどのようなものか?解決すべき課題は?等。
(2)「理想の鋼材製造プロセス」
- 製品特性、品質、生産性やコスト等を追求する上で理想とする圧延、熱処理、表面処理、精整などの製造プロセスや設備、さらには計測制御技術、革新的省プロセス技術などを考える。
- 例えば、現在のプロセスに替わる革新的な製造技術はどのようなものか?人員配置、品質管理体制、製造場所、輸送、エネルギーはどうあるべきか?中国、インド、ブラジルなどに建設される新しい設備の能力に負けない製造技術として何を考えれば良いか?等。
[事前準備]事前に通知されるグループ分けをもとに受講者相互で連絡を取り合い、具体的な討議案を事前にグループ内で決めておくこと(現地での討論時間は合計10時間程度で、一から議論すると不足気味になります)。また、プレゼンテーション用ソフトが入ったパソコンを各グループで1台以上持参すること。なお、グループ内で相互にデータをやりとりするため、可能な限り各人がメール送受信可能なパソコンを持参することが望ましい。また、研修中は文献やインターネット情報等の入手が困難であることを前提に、各自で必要と思われる資料は事前に入手、準備の上持参すること。
材料・圧延加工コース聴講についての留意事項
材料・圧延加工コースは同一時間に複数の講義が並列して行われる日があります。準備の都合上、受講を希望する講義科目を事前に各受講生から指定していただきます。6月上旬のテキスト配布時に、聴講希望の調査をしますので、配布されたテキストを参考にして希望受講科目を決定し、回答して下さい。
なお、材料・圧延加工コースは、講義に宿題はありません。