第253・254回西山記念技術講座
「最新シミュレーション技術の進歩と鉄鋼業への展開」
(申込締切:2024年9月18日)
【講座の視点】
コンピュータ技術の発展とともに、近年のシミュレーション技術は大きく進歩している。大規模計算が可能となることでより精緻かつ迅速な解が得られるようになり、あらゆる産業・業界で活用が拡がっている。また、精度・計算速度の向上を目指したデータサイエンス手法との融合も進み、現実の現象とシミュレーションとの対応が向上している。このような環境の中、現在のシミュレーション技術の最先端と、その適用・応用の現状と指針を学ぶことは、鉄鋼エンジニアの成長と業界の発展にとって極めて重要である。
そこで、本講座ではシミュレーション技術の最先端と、また、それらの鉄鋼業界への適用の可能性を新進気鋭の研究者に解説いただき、今後の鉄鋼技術の進歩発展に結び付けることを目的とする。
【協賛(50音順)】
(公社)応用物理学会、(公社)化学工学会、(公社)計測自動制御学会、(一社)資源・素材学会、(一社)電気学会、(一社)特殊鋼倶楽部、(公社)土木学会、(一社)日本機械学会、(公社)日本技術士会、(公社)日本金属学会、(一社)日本計算工学会、(一社)日本建築学会、(公社)日本材料学会、(一社)日本塑性加工学会、日本中性子科学会、(一社)日本熱処理技術協会、(一社)日本非破壊検査協会、(公社)日本分析化学会、(一社)表面技術協会、(公社)腐食防食学会、物質・材料研究機構、(一社)溶接学会
日時・場所: |
第253回(大阪):2024年10月16日(水)9:15~17:00 受付時間:8:45~16:00 第254回(東京):2024年10月30日(水)9:15~17:00 受付時間:8:45~16:00 ※今後の状況によっては、10月30日をオンライン開催とし、10月30日のみとなる場合がございます。その場合、10月16日の参加申込は自動的に10月30日に振替となります。ご了解の上、お申込み下さい。 |
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プログラム: | |
参加申込み: |
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参加費 (税込み、テキスト付): |
会員8,000円、一般15,000円、学生会員1,000円、学生一般2,000円 注)会員割引は個人の会員のみ有効です。協賛団体の個人会員、学生会員も含みます。 *非会員でご参加の方で希望される方には、下記の通り会員資格を会費なしで付与いたします。(入会方法は別途ご案内いたします。) ★テキストは、講座終了後残部がある場合、鉄鋼協会会員価格、一般価格で販売いたします。 |
(一社)日本鉄鋼協会 育成グループ
Tel. 03-3669-5933 E-mail:educact@isij.or.jp
講演題目及び講演者、司会者
司会者:西岡 浩樹(日本製鉄(株)) | |
9:15-10:30 | 【基調講演】「GPUスパコンによる混相流シミュレーションと流体構造連成解析」 東京工業大学 教授 青木 尊之 |
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10:30-11:30 | 「製銑プロセスへの粒子・流体解析の応用と情報抽出」 東北大学 多元物質科学研究所 教授 埜上 洋 |
司会者:飯塚 幸理(JFEスチール(株)) | |
12:30-13:45 | 【基調講演】「塑性加工におけるシミュレーションの活用と今後への期待」 物質・材料研究機構 構造材料研究センター 異方性材料グループ グループリーダー 井上 忠信 |
13:45-14:45 | 「原子シミュレーションによる格子欠陥ダイナミクス解析」 金沢大学 理工研究域 機械工学系 教授 下川 智嗣 |
司会者:田中 克廣((株)神戸製鋼所) | |
15:00-16:00 | 「結晶塑性有限要素法による不均一変形の数値解析」 熊本大学 大学院先端科学研究部 教授 眞山 剛 |
16:00-17:00 | 「データ科学と融合した材料の組織と変形挙動の数値シミュレーション技術」 東京農工大学 大学院工学研究院 先端機械システム部門 教授 山中 晃徳 |
講演内容
1)【基調講演】GPUスパコンによる混相流シミュレーションと流体構造連成解析
青木 尊之
世界的にスパコンは演算性能の高いGPUを用いる方向に向かっている。混相流や流体構造連成問題は気液界面や物体が時間的に変動するため解析が難しいとされてきた。近年、流体解析は計算効率が高く高精度計算が容易な直交格子を利用する計算が増えている。実用解析においては、計算領域の全域に均一な格子を割り当てることは計算負荷やメモリの観点で非常に困難なことが多い。そこで、気液界面や物体表面近傍に高解像度格子を動的に配置することが可能なAMR (Adaptive Mesh Refinement) 法が注目されている。さらに非圧縮性流体に対して陽解法の弱圧縮性計算手法を導入しGPU実装することで、大規模計算にスケールする高速、高精度、高効率なシミュレータを実現することができる。これらをさまざまな混相流および流体構造連成の実問題に適用、その有効性を示す。
2)製銑プロセスへの粒子・流体解析の応用と情報抽出
埜上 洋
鉄鋼製錬には粉粒体を取り扱うプロセスが数多く存在し、その内部の混相流動状態を把握するため、様々な手法でシミュレーションが実施されている。本講では連続体の数値流体力学的手法と粒子追跡法の連成による混相プロセス解析のモデル構成の基礎を概説し、粒子・流体シミュレーションの最新の応用例を紹介する。近年では、粒子・流体解析ツールがコモディティ化しており、粒子群や流体の全体的な挙動を手軽にシミュレーション可能になっているが、モデル構成に着目すれば、より多くの情報抽出が可能であり、その実施例についても紹介する。
3)【基調講演】塑性加工におけるシミュレーションの活用と今後への期待
井上 忠信
加工熱処理を通じて、鉄鋼材料などの微視組織を制御し、機械的特性を改善する試みにおいて、結果を事前に予測できるシミュレーションへの期待は極めて大きい。
本講座では、有限要素シミュレーションを活用し、小さなサンプルを対象にした組織微細化の基礎研究成果を実機プロセス(鍛造(対象:低炭素鋼)、棒圧延(対象:低炭素鋼・マグネシウム合金)、板圧延(低炭素Nb鋼))に展開した例や微細粒鋼の脆性破壊応力を得る手法について紹介するとともに、塑性加工によるシミュレーションの問題点や今後の期待について概説する。
4)原子シミュレーションによる格子欠陥ダイナミクス解析
下川 智嗣
鉄鋼材料の力学特性を理解するには、転位、変形双晶、相変態などの格子欠陥ダイナミクスやそれに及ぼす粒界、異相界面の影響を理解することが大切である。原子シミュレーションは個々の原子のダイナミクスを直接取り扱うため格子欠陥ダイナミクスを理解するための一つの有効な道具である。 本講座では、原子シミュレーションを用いた炭素クラスターと転位の相互作用、フェライト・セメンタイト異相界面を介した格子欠陥の発展、変形誘起マルテンサイト変態の核生成等の解析例を通じて、原子シミュレーションの役割を述べる。
結晶塑性構成式は、金属材料における塑性変形機構を、せん断面とせん断方向を陽に考慮して連続体力学の枠組みで表現する。特に結晶塑性構成式を用いた有限要素解析は、複雑な形状/任意の境界条件下の変形解析が可能であることから、材料の微視構造を含めた変形解析を実施する上で強力な手法である。本講座では、結晶塑性有限要素法を用いた解析例として、単結晶から多結晶までの変形解析について紹介する。また、商用有限要素法を用いて同様の解析を実施する手順についても概説する。
6)データ科学と融合した材料の組織と変形挙動の数値シミュレーション技術
山中 晃徳
フェーズフィールド法と有限要素法は、鉄鋼材料をはじめとする材料の組織と力学特性の解析と予測ための数値シミュレーション方法として発展してきた。しかしながら、どちらの数値シミュレーション方法も、材料物性値やパラメータを必要とし、その同定は容易でない場合も多い。最近では、データ科学や機械学習を用いて、実験データに基づき逆問題的に材料物性値やパラメータを推定し、数値シミュレーションの高精度化を目指す潮流が強い。本講座では、ベイズの定理に基づくデータ同化やベイズ最適化などを応用して、実験データに基づき数値シミュレーションに必要な物性値・パラメータの逆推定を可能とし、高精度な材料組織予測や材料加工性予測に資する技術の研究事例を紹介する。
会場案内
CIVI研修センター新大阪東 7階E705会議室
(大阪市東淀川区東中島1-19-4 LUCID SQUARE SHIN-OSAKA)
JR:「新大阪駅」駅下車 東口から50m
地下鉄:御堂筋線「新大阪駅」駅から徒歩5分
http://www.civi-c.co.jp/access.html
鉄鋼会館 会議室
(東京都中央区日本橋茅場町3-2-10)
JR:「東京駅」八重洲口より徒歩約15分
地下鉄:東西線「茅場町駅」12番出口より徒歩約5分
日比谷線「茅場町駅」1番出口より徒歩約5分、「八丁堀駅」A5番出口より徒歩約5分
https://www.tekko-kaikan.co.jp/publics/index/207/
※講座案内のチラシはこちらからダウンロード出来ます。