第251・252回西山記念技術講座
「今後激変することが予想される鉄源の確保に向けて」
(申込締切:2024年4月26日)
【講座の視点】
ゼロカーボンスチール実現に向け、水素製鉄や大型電気炉の導入などの検討がなされている。電気炉の導入には良質なスクラップの確保が重要であるが、国内の供給量には限りがある。そのため、シャフト炉による直接還元により得られる直接還元鉄(DRI)の利用の検討も必要となる。本講座では、将来の鉄源確保に向け、製鉄プロセスの現状と将来について触れ、さらに現在使われている鉄源および今後利用できる可能性のある鉄源について理解を深めることを目的としている。一貫製鉄所だけでなく、電気炉メーカーの方にも聴講していただきたいと考えている。
【協賛(50音順)】
(一社)エネルギー・資源学会、(公社)応用物理学会、(一財)カーボンフロンティア機構、(公社)化学工学会、 (一財)金属系材料研究開発センター、(公社)計測自動制御学会、(一社)資源・素材学会、(一社)スマートプロセス学会、(一社)製銑科学技術コンソーシアム、耐火物技術協会、(一社)電気学会、(一社)特殊鋼倶楽部、(公社)土木学会、(一社)日本エネルギー学会、(一社)日本機械学会、(公社)日本技術士会、(公社)日本金属学会、(一社)日本建築学会、(一社)日本材料科学会、(公社)日本材料学会、(一社)日本塑性加工学会、日本中性子科学会、(一社)日本鉄リサイクル工業会、(一社)日本熱処理技術協会、(公社)日本分析化学会、(一社)表面技術協会、(公社)腐食防食学会、普通鋼電炉工業会、物質・材料研究機構、(一社)粉体工学会、(一社)溶接学会
日時・場所: |
第251回(大阪):2024年5月24日(金)9:30~16:20 受付時間:9:00~15:20 第252回(東京):2024年5月31日(金)9:30~16:20 受付時間:9:00~15:20 ※今後の状況によっては、5月31日をオンライン開催とし、5月31日のみとなる場合がございます。あらかじめ、ご了承下さい。その場合、5月24日の参加申込は自動的に5月31日に振替となります。 |
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プログラム: | |
参加申込み: |
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参加費 (税込み、テキスト付): |
会員8,000円、一般15,000円、学生会員1,000円、学生一般2,000円 注)会員割引は個人の会員のみ有効です。協賛団体の個人会員、学生会員も含みます。 *非会員でご参加の方で希望される方には、下記の通り会員資格を会費なしで付与いたします。(入会方法は別途ご案内いたします。) ★テキストは、講座終了後残部がある場合、鉄鋼協会会員価格、一般価格で販売いたします。 |
(一社)日本鉄鋼協会 育成グループ
Tel. 03-3669-5933 E-mail:educact@isij.or.jp
講演題目及び講演者、司会者
9:30-9:40 | 趣旨説明 |
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司会者:葛西 栄輝(東北大学) | |
9:40-10:40 | 「世界の製鉄プロセスの分布とその鉄源」 日鉄テクノロジー(株) 執行役員 ビジネスソリューション事業部副事業部長 兼 グローバル鉄鋼情報部長 吉川 幸宏 |
10:40-11:30 | 「鉄スクラップ品質の現状と今後の展望」 東京大学 先端科学技術研究センター 准教授 醍醐 市朗 |
12:50-13:40 | 「製銑プロセスにおけるCO2排出量削減に向けた焼結プロセスの取り組み」 JFEスチール(株) スチール研究所 製銑研究部 主任研究員 岩見 友司 |
司会者:村上 太一(東北大学) | |
13:40-14:30 | 「ペレタイジングプロセスの開発経緯と今後の展望」 (株)神戸製鋼所 鉄鋼アルミ事業部門 技術開発センター 製銑開発部 部長 坂本 充 |
14:30-15:20 | 「シャフト炉直接還元製鉄法の進化と脱炭素製鉄への展望」 (株)神戸製鋼所 エンジニアリング事業部 新鉄源センター技術室 主任部員 畠山 泰二 |
15:20-16-20 | 「今後の鉄鉱石資源変化と低炭素製鉄技術開発の動向」 東北大学 名誉教授 葛西 栄輝 |
講演内容
カーボンニュートラルの実現に向けて製鉄プロセスは大きく変わっていこうとしている。日本国内では高炉・転炉法と電炉法で製鉄量のほとんどを占めるが、本講では世界で増加しつつある直接還元製鉄も含めた世界での各製鉄プロセスの分布状況を示す。また、各々の製鉄プロセスに必要な鉄源(鉄鉱石・スクラップ)について、各種機関等が出している鉄鋼需要・鉄鋼生産量などを勘案したマクロバランスの現状と予測を述べる。
鉄鋼の老廃スクラップは、国内で年間約2,000万トンが流通しており、そのうち約8割を占めるヘビースクラップは、建設や機械由来が主な発生源である。物質フロー分析とフィールド調査から、トランプエレメントの挙動を明らかにしてきた。未だにトランプエレメントの混入源となる異物やその由来の特定には至っていないものの、近年発展の著しい深層学習を適用した画像解析により、鉄スクラップに混在する異物に関しての情報が収集されつつある。混入源が特性できれば、スクラップ発生時における対策が可能になる。また、鉄スクラップの検収基準が鋼材の厚みやサイズであることも課題である。画像解析の導入により、トランプエレメントの含有量を反映した検収基準が可能になり、トランプエレメントの低減につながることが期待される。
3)製銑プロセスにおけるCO2排出量削減に向けた焼結プロセスの取り組み
岩見 友司
高炉による溶銑製造は1857年に釜石の大橋高炉を皮切りとし、150年以上日本の鉄鋼製造の主流を務めてきた。近年、CO2排出量の削減が喫緊の課題となっており、国内の高炉メーカーは最終的なカーボンニュートラル化を目指して、段階的なCO2排出量の削減目標を掲げている。その段階的な削減目標を達成すべく、各高炉メーカーは最終的なカーボンニュートラルに至るまでの革新的な技術開発を進める一方で、既存高炉の活用しつつCO2排出量の削減を検討する必要がある。
本講座では、高炉用の主原料である焼結鉱の製造プロセスからのCO2排出量削減に向けたアプローチとしての基本的な考え方について述べ、効率改善に基づくバーナーガスや凝結材の原単位削減、あるいは焼結鉱品質の改善に基づく高炉還元材比の削減等によるCO2排出量削減に向けた検討事例を紹介する。
ペレタイジングプロセスはスウェーデンで1912年に研究が始まり、その後アメリカで低品位タコナイト鉱石を活用する目的で更なる研究が行われ1943年に確立された。高品位鉄鉱石資源が世界的に枯渇していく状況において鉱石品位を向上させて活用できること,また二酸化炭素排出量削減を目的に高炉および直接還元炉でのペレット使用の増加が見込まれることから,今後ますます重要な役割を担っていくと考えられる。
本講座ではペレタイジングプロセス開発の歴史、ペレット製造工程および3つの製造プロセス(ストレートグレート、グレートキルン、シャフト炉)の特徴について紹介する。また高炉操業成績の向上を目的としたペレットの品質改善や今後の展望についても紹介する。
5)シャフト炉直接還元製鉄法の進化と脱炭素製鉄への展望
畠山 泰二
シャフト炉にて天然ガスを用いて製造された直接還元鉄は、中東などのスクラップ発生量の少ない地域では電気炉の主原料として、米国などのスクラップを主に使用する電気炉においては、スクラップ中に含まれる銅などの不純物元素の希釈材として使用されてきた。CO2排出量が高炉-転炉法に比べ大幅に少ないことを特徴とし、且つ商業的に実証された同プロセスは、製鉄業におけるCO2排出量削減の観点から近年大きな期待が寄せられている。本講座では、シャフト炉におけるCO2削減、さらにはカーボンニュートラルに向けた取組として、天然ガスの水素置換やCCSとの組み合わせ事例について紹介する。また、今後直接還元鉄向け高品位原料の供給が不足してくる中で、シャフト炉法での原料多様化のニーズとシャフト炉の上工程・下工程も含めたプロセス開発の必要性についても紹介する。
6)今後の鉄鉱石資源変化と低炭素製鉄技術開発の動向
葛西 栄輝
温室効果ガス排出量の大幅削減を目的として、水素を主要還元材とする製鉄技術の研究開発が精力的に行われてきており、これまで多様なプロセスが提案され、一部、実用化に至っている。一方、高炉-転炉プロセスは、依然としてシェア約70%を占める粗鋼生産ルートであり、その脱炭素化には、化石燃料の使用量削減が必須である。ただし、高炉内においては、鉱石が還元され、軟化し、溶融するまで、炉内の通気性維持や浸炭のための炭材の存在が不可欠である。本講座では、今後の鉱石資源変化(特に、主要鉱物組成の変化、脈石増、微粉化など)を考慮しつつ、現在、研究・開発段階にある低炭素製鉄技術の概要を紹介し、今後の展望を述べる。
会場案内
CIVI研修センター新大阪東 7階E705会議室
(大阪市東淀川区東中島1-19-4 LUCID SQUARE SHIN-OSAKA)
JR線:「新大阪駅」駅下車 東口から50m
地下鉄:御堂筋線「新大阪駅」駅から徒歩5分
http://www.civi-c.co.jp/access.html
鉄鋼会館 会議室
(東京都中央区日本橋茅場町3-2-10)
JR線:「東京駅」八重洲口より徒歩約15分
地下鉄:東西線「茅場町駅」12番出口より徒歩約5分
日比谷線「茅場町駅」1番出口より徒歩約5分、「八丁堀駅」A5番出口より徒歩約5分
https://www.tekko-kaikan.co.jp/publics/index/4/
※講座案内のチラシはこちらからダウンロード出来ます。