「CALPHAD法による構造材料の粒界偏析計算と偏析エンジニアリングへの展開」
物質・材料研究機構(NIMS) 構造材料研究センター　大沼 郁雄 博士

講演者は、これまでに鉄鋼材料、アルミニウム合金、銅合金などの構造材料を対象に、熱力学データベースを利用して様々な状態図が計算できるCALPHAD法（CALculation of PHAse Diagrams）に、独自に開発した偏析計算プログラムを連携させて『構造材料の結晶粒界偏析計算システム』を構築した。この計算システムでは、多結晶組織における①結晶粒径、粒界性格等に起因する②結晶粒界のエネルギー、粒界に偏析する③溶質元素の拡散、④多元系溶質元素の相互作用効果などが熱力学に基づき定量的に考慮されており、⑤溶質元素の種類と濃度、⑥熱処理温度、⑦熱処理時間に大きく左右される多結晶構造材料における多元系の複雑な粒界偏析が高精度に予測できる。本講演では、上記条件を考慮した粒界偏析計算方法と各種構造材料への応用例、STEM-EDSを用いた粒界偏析濃度の測定と計算結果の検証、および偏析エンジニアリングへの展開に関する研究成果を紹介する。

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