第74回白石記念講座
「新たなものづくり:3D積層造形(Additive Manufacturing)の技術開発動向」

講座の視点

3D積層造形(Additive Manufacturing(AM))技術は、切削や鋳造などの従来の成形加工法では難しい3次元複雑形状品の成形加工が可能な技術である。当初は樹脂材料から開発が始まったが、その後金属材料にもその対象を広げてきた。金属AMの市場規模は年々拡大し、2030年には航空宇宙や金型、医療など各分野で合わせて2兆円規模にまで増加するとの予測もでている。本講座ではこうしたAM技術、特に金属AM技術について、世界市場の動向、これまでの発展状況や今後の展開、普及に向けた国としての取り組みなどについて解説いただくとともに、装置開発や原料となる金属粉末等の開発、金型や自動車用途といった応用例について、材料メーカー、装置メーカー、ユーザーなどさまざまな立場から紹介いただく。今後「ものづくり」においてますます重要になっていくであろう金属AM技術について、全体像から個々の事例までを合わせて理解を深めるとともに、技術展開の将来像を考える一助として頂ければ幸いである。
協賛(50音順)
(公社)応用物理学会、(公社)化学工学会、(公社)計測自動制御学会、(一社)資源・素材学会、(一社)電気学会、(一社)特殊鋼倶楽部、(公社)土木学会、(一社)日本AM協会、(一社)日本機械学会、(公社)日本技術士会、(公社)日本金属学会、(一社)日本建築学会、(公社)日本材料学会、(一社)日本塑性加工学会、日本中性子科学会、(一社)日本熱処理技術協会、(公社)日本分析化学会、(一社)表面技術協会、(公社)腐食防食学会、物質・材料研究機構、(一社)溶接学会
1.日時
2023年10月17日(火)9:30~17:00(受付時間:9:00~16:00)
2.場所
【ハイブリッド開催】鉄鋼会館 会議室(東京都中央区日本橋茅場町3-2-10)※Cisco Webex Meetingsを使用
*今後の状況によっては、オンライン開催へ変更する場合がございます。変更する際は本会Webサイトにてお知らせいたします。
3.講演題目及び講演者、司会者

司会者:柳谷 彰彦(兵庫県立大学)

1) 9:30~10:30
【基調講演】日本におけるAM研究開発の現状と今後の展開

大阪大学 大学院工学研究科 教授 中野 貴由

2) 10:30~11:30
【基調講演】Additive Manufacturingを活用した新しいものづくりに向けて

経済産業省 近畿経済産業局 地域経済部次世代産業・情報政策課 課長補佐 砂川 由佳

(一社)日本AM協会 専務理事 澤越 俊幸

司会者:中野 貴由(大阪大学)

3) 12:30~13:20
AMにおける金属粉末の製造、特性および適用例

兵庫県立大学 金属新素材研究センター 副センター長 特任教授 柳谷 彰彦

4) 13:20~14:10
金型用ダイス鋼系粉末開発による金属積層造形の用途拡大

大同特殊鋼(株) 機能製品事業部 次世代製品開発センター 新事業企画推進室 副主席部員 奥村 鉄平 ※講師変更※

5) 14:10~15:00
電動化が求めるパワートレイン生産技術

日産自動車(株) パワートレイン生産技術開発本部 エキスパートリーダー 塩飽 紀之

6) 15:20~16:10
金属AM装置の最新技術や国内外(特に海外)の活用事例について

三菱商事テクノス(株) 執行役員 ソリューション事業担当 杣田 圭二

7) 16:10~17:00
AM/SMハイブリッド機による先端的製造技術

DMG森精機(株) R&D執行役員 AM部 部長 廣野 陽子

4.講演内容
1)【基調講演】日本におけるAM研究開発の現状と今後の展開
中野 貴由
Additive Manufacturing(AM)は、デジタル時代における最先端プロセスとして、さらには経済安全保障とも深く関連した技術として、航空宇宙・医療・自動車・エネルギー関連などの社会基盤分野にてその応用が進められている。とりわけ金属AMは、金属材料を局所的に溶融・凝固することで複雑形状の付与のみならず、原子レベルでの結晶配向をも制御可能な手段として、造形物の高機能化を実現する。日本では、2014年から、内閣府・戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)、経産省・NEDOによる技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構(TRAFAM)などを中心とした大型国家プロジェクトにより、AMでの高付加価値モノづくりや国産AM装置作りが主導されるとともに、オールジャパンでのAMモノづくりを牽引する日本AM学会の設立が進められている。本講座では、本邦におけるAM研究開発の現状と今後の展開に寄せる期待について概説する。
2)【基調講演】Additive Manufacturingを活用した新しいものづくりに向けて
砂川 由佳、澤越 俊幸
グローバルで加速化するAdditive Manufacturing(AM)による量産化に対応するため、経済産業省近畿経済産業局は、2019年1月に「Kansai-3D実用化プロジェクト」を発足。本プロジェクトでは、産官学の広域ネットワークを構築し、AMを活用した新しいものづくりに挑戦する企業を対象に、装置導入やAMプロセス実証支援等の支援を展開してきた。2022年4月より本プロジェクトの運営を引き継いだ (一社)日本AM協会(2022年3月設立)とともに、本プロジェクト立ち上げの背景にある海外での活用状況や、本プロジェクトの取組概要等をご紹介する。
3)AMにおける金属粉末の製造、特性および適用例
柳谷 彰彦
近年、機運が高まりつつあるAdditive Manufacturing(AM)において、金属粉末、3Dプリンタ、ソフト、後処理技術など関連技術の進歩は著しい。そのなかでも使用される金属粉末と3Dプリンタの関係は料理にたとえると食材とレシピであり、食材に相当する金属粉末は非常に重要な役割を担っており、その種類も多くなってきている。本講座では、Fe系、Cu系をはじめとするAM用金属粉末および金属セラミックス複合粉末について、製造方法と特性および適用例、新規開発の事例を紹介するとともに、AMにおける今後の金属粉末について概説する。
4)金型用ダイス鋼系粉末開発による金属積層造形の用途拡大
奥村 鉄平 ※講師変更※
海外では航空宇宙・医療分野を中心に金属積層造形(金属AM)は拡大している。一方、国内ではこれらの市場規模が小さく、これらに代わる金属AMの用途が模索されている。その一例としてダイカスト金型への適用が試みられ、一部では実用化している。3D造形したダイカスト金型は型温調整のための水冷孔を自由に配置することができ、鋳造品の品質向上や金型寿命改善が図れる。金型の造形にはマルエージング鋼粉末が用いられるが、人体に有害なCoを含有すること、鋳造型の特性上重要な熱伝導率が低いこと、造形品の輸出手続きが煩雑なことなどが金型分野での金属AM拡大阻害の一因となっていた。本講座では金属AMの金型分野へのさらなる拡大を目的に、従来広く金型製造に用いられてきたSKD61をベースに金属AM用に成分設計したダイス系金属粉末の開発事例を紹介する。
5)電動化が求めるパワートレイン生産技術
塩飽 紀之
近年、自動車業界を取り巻く環境は、凄まじい勢いで変化している。環境要求から、CO2排出規制、燃費規制、ZEV Credit、PM規制、RDE規制また、車外騒音規制の制定、お客様の高いニーズにお応えするため、燃費向上はもとより、自動車としての走りの楽しさを追求した商品開発は、自動車メーカーとして、ますますその真価が問われている。自動車の主動力として、100年の歴史の主役であった、内燃機関が、電動化の大きな潮流の変化に差し掛かっている今、パワートレイン商品の構造が大きく変化する中でモノヅクリの方法も、大きく変化する時を迎えている。これからのパワートレイン生産技術の進化と展望について説明する。
6)金属AM装置の最新技術や国内外(特に海外)の活用事例について
杣田 圭二
従来工法の鋳造、鍛造、焼結、加工などでは実現できない部品設計、形状を実現できる金属3Dプリンターは、欧米では普及が進んでいるものの、日本では従来工法の設計制限からの解放、転換が進まず、普及が進んでいない。本講座では、欧米ではどのような設計の自由化ができているか、その普及のためにGEはどのような金属3Dプリンター(ハード)と活用コンサル(ソフト)を提供しているかを最新の事例を交えて紹介する。
7)AM/SMハイブリッド機による先端的製造技術
廣野 陽子
Directed Energy Deposition(以下、DED)方式は切削加工型の工作機械との融合により、1台で、計測、積層造形、修復、仕上げが可能である。このため、付加価値の高い医療や宇宙産業のみならず、各産業で実用化が進んでいる。これは、金属3DプリンタではなくAMという呼び方へ変化した事実に現れている。金属3Dプリンタは、時間をかけて複雑なものを製造する機械というイメージであったが、DED方式は、コーティング代用や焼入れ代用による工程集約、材料費削減、省エネ、カーボンニュートラルなど、いま製造業に求められる全てといっても過言ではないアイテムが含まれる機械というイメージが世界的に持たれるようになった。量産に必要な機能を有したAM機開発を続けるだけでなく、アプリケーション開発やお客様との工程設計などに取り組んだ結果として得られた知見を紹介する。
4.参加申込み
[申込方法]
事前申込みは終了いたしました。
[支払い方法]
①クレジットカードのオンライン決済 または、②郵便振替 のいずれかの方法で、事前の入金をお願いします。
※請求書の発行は致しません。
[締め切り]
申込、入金ともに9月19日(火)までに完了するようお願いします。
  • ※入金の確認後、開催約1週間前にテキストと領収証を送付します。
  • ※ご入金後の返金はいたしません。また、当日不参加の場合も返金はいたしませんのでご了承下さい。
6.参加費(税込、テキスト付)

会員8,000円、一般15,000円、学生会員1,000円、学生一般2,000円

注) 会員割引は個人の会員のみ有効です。協賛団体の個人会員、学生会員も含みます。
*非会員でご参加の方で希望される方には、下記会員資格を進呈します。(入会方法は別途ご案内いたします。)

  • 一般(15,000円)で参加 2024年12月までの準会員資格
  • 学生一般(2,000円)で参加 ⇒ 2024年12月までの学生会員資格

★テキストは、講座終了後残部がある場合、鉄鋼協会会員価格、一般価格で販売いたします。テキスト購入のお申込みは、本会Webサイト(出版図書案内)をご覧下さい。

問合せ先:(一社)日本鉄鋼協会 育成グループ
E-mail: educact@isij.or.jp
<会場案内>
東京会場の地図

鉄鋼会館 会議室
(東京都中央区日本橋茅場町3-2-10)
JR線:「東京駅」八重洲口より徒歩約15分
地下鉄:東西線「茅場町駅」12番出口より徒歩約5分
    日比谷線「茅場町駅」1番出口より徒歩約5分、「八丁堀駅」A5番出口より徒歩約5分
https://www.tekko-kaikan.co.jp/publics/index/4/

※講座案内のチラシは こちら からダウンロード出来ます。