第243・244回西山記念技術講座
「基礎から振り返る先端鉄鋼材料学」(事前申込締切:2022年4月21日)

講座の視点

鉄鋼に関する学問は、いまだ絶え間ない進歩を続けている。その進歩はより細分化され、複雑化しており、専門性がより重要となっている。しかしながら、鉄鋼材料学の基礎を十分に会得せずに専門性を高めることはできない。また、鉄鋼の技術者にとって基礎学問から最新研究を一貫して学び直すことは、技術革新のきっかけにも繫がり、本技術講座の趣旨にも沿うものと考える。
そこで、中堅以上の技術者を対象に、鉄鋼材料における基礎学問から最新理論への展開を理解するための講座を企画する。熱力学の基礎から、最新組織制御の今後の展開まで、鉄鋼材料学全般について新進気鋭の研究者がわかりやすく解説する。
本講座を通じ、鉄鋼材料技術者のさらなるレベルアップとともに、革新的材料開発のさらなる発展を期待する。
協賛(50音順)
(公社)応用物理学会、(公社)化学工学会、(公社)計測自動制御学会、(一社)資源・素材学会、(一社)電気学会、(一社)特殊鋼倶楽部、(公社)土木学会、(一社)日本機械学会、(公社)日本技術士会、(公社)日本金属学会、(一社)日本建築学会、(公社)日本材料学会、(一社)日本塑性加工学会、日本中性子科学会、(一社)日本熱処理技術協会、(公社)日本分析化学会、(一社)表面技術協会、(公社)腐食防食学会、物質・材料研究機構、(一社)溶接学会
1.日時・場所
第243回:2022年5月20日(金)9:00~17:10(受付時間:8:40~15:50)
【対面開催】早稲田大学西早稲田キャンパス 63号館2階会議室(東京都新宿区大久保3-4-1)
第244回:2022年6月3日(金)9:00~17:10
【オンライン開催】(Cisco Webex Meetingsを使用)
*今後の感染状況によっては、6月3日のオンライン開催のみとなる場合がございます。
 あらかじめ、ご了承下さい。その場合、5月20日の参加申込は自動的に6月3日に振替となります。
 ご了解の上、お申込み下さい。
2.内容および講演者、司会者
  • ※講演の概要はタイトルをクリックすると見ることができます。
  • こちらからダウンロード出来ます。
1) 9:00~10:20
熱力学の基礎と最近の展開

東北大学 金属材料研究所 金属組織制御学研究部門 准教授 宮本 吾郎

2) 10:30~11:50
相変態の基礎と最近の理解

東京工業大学 物質理工学院 材料系 教授 中田 伸生

3) 12:50~14:10
力学特性の基礎(転位運動と加工硬化)

九州大学 大学院工学研究院 材料工学部門 教授 田中 將己

4) 14:20~15:40
組織制御の基礎と複合組織鋼の理解

九州大学 大学院工学研究院 材料工学部門 教授 土山 聡宏

5) 15:50~17:10
高度な組織制御技術と今後の展開

豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 機械工学系 教授 戸髙 義一

<司会者>

第243回 午前:金子 真次郎 JFEスチール(株) スチール研究所 薄板研究部長
午後:重里 元一 日本製鉄(株) 技術開発本部 鉄鋼研究所 高靭性鋼材研究部長

第244回 午前:村上 俊夫 (株)神戸製鋼所 技術開発本部 材料研究所 材質制御研究室長
午後:村上 善明 JFEスチール(株) 技術企画部 企画グループリーダー

3.講演内容
1)熱力学の基礎と最近の展開
宮本 吾郎
高い機能を持つ鉄鋼材料を開発するため、元素添加や相変態等を利用して複雑な微細組織が作りこまれており、熱力学に基づく材料・プロセス設計が不可欠となっている。現状、ThermoCalcなどの商用ソフトが広く普及し、多元系における平衡計算が手軽に行える状況ではあるが、計算結果を理解し有効に活用するためには熱力学の基本的な理解が必須である。そこで、本講座では,エンタルピー、エントロピー、自由エネルギー、相平衡、状態図といった熱力学の基本について解説する。さらに,最近の展開として,明確な相ではないものの特性に大きく影響する溶質クラスターや欠陥への溶質元素偏析の熱力学についても紹介する。
2)相変態の基礎と最近の理解
中田 伸生
鉄鋼材料の優れた力学特性は、相変態によって形成する変態組織の多様性に由来する。本講座では、鉄鋼材料における相変態の本質を理解することを目的に、拡散型相変態ならびに無拡散型相変態に大別し、それぞれの特徴について従来の理解を踏まえた概説を行う。さらに、侵入型元素と置換型元素の拡散速度の違い、異相界面移動におけるエネルギー散逸などが変態速度に与える影響、また、変態ひずみの緩和による階層的下部組織の形成など、最近の話題も紹介する。そして、高強度鋼の強度-延性バランス改善に有効な加工誘起変態についてもオーステナイト安定性の観点から紹介する。
3)力学特性の基礎(転位運動と加工硬化)
田中 將己
塑性変形挙動は主に転位の運動によって進行する。フェライト鋼のようにパイエルス応力の高い結晶においては、らせん転位のキンク対形成機構によって塑性変形が律速されている。一方、近年の解析技術・計算技術の発展は著しく、従来の弾性論を基盤とした転位論では説明できなかったマクロな加工硬化挙動や、転位と溶質原子との相互作用などが徐々に明らかとなってきている。本講座では、まずらせん転位の運動挙動について説明し、従来の弾性論の範囲外であった転位芯と溶質原子との相互作用について紹介する。そして更に、中性子回折など最新の解析技術を通して明らかとなってきた、応力分配に基づく複合材料の加工硬化挙動についても解説を行う。
4)組織制御の基礎と複合組織鋼の理解
土山 聡宏
強度と延性の両立が望まれる高強度鋼の多くは、フェライト、マルテンサイト、残留オーステナイトなどの複数の組織から構成される複合組織を有している。複合組織鋼の特性を理解し、さらなる特性改善を図る組織制御を行っていくには、各構成組織の特性を支配する強化因子を理解し、さらにそれらを一つの鋼種内で同時に制御、評価する技術を要する。本講座では、各単一組織における組織制御指針の基礎を概説し、さらにそれらを組み合わせ、次世代の高強度鋼として注目されている中Mn鋼やQ&P(Quenching and Partitioning)鋼など、最近の自動車用高強度鋼板の分野で研究が進められている組織制御の現状について紹介する。
5)高度な組織制御技術と今後の展開
戸髙 義一
合金元素の添加によらず鉄鋼材料を高強度化する手法として結晶粒・組織の微細化が最も優れており、同時にリサイクル性も向上できることから、継続した研究が進められている。結晶粒径を1μm以下にするための試みとして、強ひずみ加工に関する研究が行なわれている。強ひずみ加工により形成する超微細粒組織と類似の組織は、機械加工した部材表層や使用したレール表層等においても観察される。本講座では、強ひずみ加工により形成する超微細粒組織の特徴や形成メカニズムについて説明した後、その力学特性について紹介する。これまでは均一組織を中心に研究されてきたが、近年では不均一組織(ヘテロ組織)も注目されており、それらの組織制御技術を紹介する。また、超微細粒組織を活用した熱処理技術の高度化についても紹介する。
4.参加申込み
[申込方法]
事前申込みは終了いたしました。
本会ホームページからの事前申込のみとします。当日参加受付は行いません。
第243回(5月20日):会場の収容人数の関係上、定員になり次第、締切とします。
第244回(6月3日)  :オンライン開催のため、人数制限は行いません。
*今後の感染状況によっては、6月3日のオンライン開催のみとなる場合がございます。
 その場合、5月20日の参加申込は自動的に6月3日に振替となります。ご了解の上、お申込み下さい。
[支払い方法]
①クレジットカードのオンライン決済 または、②郵便振替のいずれかの方法で、事前の入金をお願いします。
[締め切り]
申込、入金ともに4月21日(木)までに完了するようお願いします。
  • ※入金の確認後、開催約1週間前にテキストと領収証を送付します。
  • ※ご入金後の返金はいたしません。また、当日不参加の場合も返金はいたしませんのでご了承下さい。
  • ※オンライン受講についての詳細は本会ホームページに掲載します。
5.参加費(税込み、テキスト付)
会員8,000円、一般15,000円、学生会員1,000円、学生一般2,000円
注)会員割引は個人の会員のみ有効です。協賛団体の個人会員、学生会員も含みます。
*非会員でご参加の方で希望される方には、下記会員資格を進呈します。(入会方法は別途ご案内いたします。)
・一般(15,000円)で参加 ⇒ 2022年12月までの準会員資格
・学生一般(2,000円)で参加 ⇒ 2022年12月までの学生会員資格
6.オンライン開催(6月3日)について受講の注意点

1)受講方法

  • 本講座は、Web会議システムCisco Webex Meetingsを使用して行います。
  • Webex Meeting使用に関する利用環境は受講される方に整えて頂くことを前提にしておりますので、受講申し込みの前に使用可能かご確認をお願いいたします。
  • 事前接続テストは開催日の1週間前に予定しています。
  • 企業内LAN から接続する場合、セキュリティ設定の影響で、Web 会議に入れない等の事象が発生しています。事前接続テストで、事前にWeb 会議に入れることを確認してください。上記の場合、企業内LANの担当者にご相談下さい。

●受講マニュアル
聴講者マニュアル
Webex Meetingでの表示名変更方法

2)受講の注意点

  • 受信画像や発表資料の撮影・録画(画面キャプチャを含む)、録音、保存、再配布は禁止します。
  • 受講に必要なID、パスワード、接続先URL等は、参加申込された方のみ有効です。
    不特定多数を含む第三者に公開することはお止め下さい。不適切な接続が判明した場合、主催者側で切断する等の対応を取らせていただきます。
  • 参加申込されていない方の聴講は固くお断りします。一つの画面を複数人で聴講する場合も聴講する全員が参加申込して下さい。
  • 参加申込している人に聴講させた参加申込者がいることが判明した場合、当会の規定等に即した対応を検討する場合があります。
  • オンライン受講に際して万が一トラブル等が生じた場合、日本鉄鋼協会は参加費の返却その他の責任を負いません。

★テキストは、講座終了後残部がある場合、「出版図書検索・購入」システムにて、鉄鋼協会会員価格、一般価格で販売いたします。

問合せ先:(一社)日本鉄鋼協会 育成グループ
TEL: 03-3669-5933 E-mail: educact@isij.or.jp

会場案内

東京会場の地図

早稲田大学西早稲田キャンパス 63号館2階会議室
(東京都新宿区大久保3-4-1)
JR線:高田馬場駅より徒歩15分
西武線:高田馬場駅より徒歩15分
地下鉄:副都心線西早稲田駅直結、東西線早稲田駅より徒歩22分
https://www.waseda.jp/top/access/nishiwaseda-campus