鉄鋼プレゼンス研究調査委員会 歴史を変える転換技術研究フォーラム 「第47回 歴史を変える転換技術研究会」開催のお知らせ
第47回研究会では、スクラップ蓄積量の増加と銅問題に関する技術転換について議論を行います。多数の方々にご参加いただき活発な討論をお願い申し上げます。 テーマ:スクラップ蓄積量の増加と銅問題 1.日 時:2020年1月28日(火)13:00~17:00 2.場 所:(一社)日本鉄鋼協会 第1+2会議室 (中央区日本橋茅場町 3-2-10 鉄鋼会館5階) 3.講演スケジュール: 13:00~13:10趣旨説明および講師紹介 座長 13:10~13:45「新製鋼プロセスフォーラム」 松岡滋樹氏(元大同特殊鋼(株)) 13:45~14:45討論 14:45~15:00休憩 15:00~16:00「鉄スクラップ使用の現状と展望」 林誠一氏((株)鉄リサイクリング・リサーチ代表取締役) 16:00~17:00全体討論 4.内容:松岡滋樹氏: 1991年から1998年にかけて「新製鋼プロセスフォーラム」と称する大型研究開発がNEDOの支援を受けて、JRCM ㈶金属系材料研究開発センターに基盤を置いて実施された。国の支援合計約100億円を受けたこのプロジェクトには国内鉄鋼会社11社とフランスのIRSIDが参加した国際プロジェクトであった。研究は①スクラップの実態調査、②鉄スクラップ中の異種金属の分離破砕技術、③識別技術、④予熱・溶解技術、溶鋼からの銅、錫分離技術など各面で実施された。なぜ、このような大型研究が企画されたかというと30年前の国内のスクラップ事情があった。戦後の経済成長で蓄積された鉄鋼材料から供給される老廃スクラップ量が増え、日本はスクラップ輸入国から輸出国に転じようとしていた。零細なスクラップ業者が多く、港近くのスクラップ集積場などのインフラが整っていない状況では大量のスクラップ輸出は困難と思われたため、使い道が無いスクラップがあふれ、繰り返し混入する銅によりスクラップ中の銅は2010年には約1.5倍になると想定された。しかし、これだけの費用と労力をかけた研究であったが、急膨張した中国鉄鋼業の旺盛なスクラップ需要により、危惧した低級スクラップが輸出に回されることで、前提となったスクラップの過剰や不純物の蓄積は解除され、新製鋼の研究成果は顧みられることがなくなった。昨今、中国における鉄鋼蓄積量は過大となり、早晩、中国から多量のスクラップが東南アジア市場に放出されようとしており、日本からの輸出先は限定される。さらに30年前と比べ2~3倍に増加した国内鉄鋼蓄積量は需要を大きく上回ると考えられ、まさに「新製鋼プロセスフォーラム」の研究が必要とされた当時の状況が再現されかけている。当時の研究においてカーシュレッダーの後に4~5人の作業員を並べ、非鉄が混合しているとみられるスクラップを徹底的に排除すると、銅の濃度が通常シュレッダースクラップの半分程度になるとの結論がある。いくつかの識別技術も確認されたが、現在カメラやセンサー技術は当時と比べ格段に進歩しており、異材排除はかなり容易であると思われる。また、LPGなどの低温排熱の利用を考慮したスクラップの低温破砕試験では小型モーターなどが細かく破砕され、上記排除スクラップの銅鉄分離が容易であることが確認されている。CO2問題でLPG,LNGの輸入は増えており、このような技術も活用できると思われるので、当研究の成果をレヴューする時期に来ている。 林誠一氏: 鉄のもつ易選別性と易溶解性の2大特性により、鉄鋼循環は古くから成されて来た。その様態は左周りの陸上競技トラックに現される。循環にあたって鉄スクラップが重要な媒体となっているが、近年では使用についていくつかの課題が起き上がってきた。まず世界全体を俯瞰すると、粗鋼を生産するにあたって、鉄スクラップは銑鉄に次いで主要な鉄源となっており、世界全体では18億840万tの粗鋼生産に6億3,900万tの鉄スクラップが使用され、使用率は30%を超える。推計した1870年を起点とする世界全体の鉄鋼蓄積量は324億tに及んでいるが、中国のウエイトが高まっており、世界の鉄鋼循環の鍵を握る。また、発生と使用には地域差があり、約1億tが世界を流通しており、需給や価格変動要因の背景となっている。次ぎにスクラップ需給に関係する主要6ヵ国(アメリカ、トルコ、中国、韓国、ベトナム、インド)について個別に分析した。なかでも粗鋼生産の約50%を占める中国の動向が注目される。日本では、鉄スクラップ需給の現状を整理すると共に、2050年のスクラップの長期発生予測と需給を考察した。供給量は加工屑発生減を老廃屑増が補い、堅めのケースでは、ほぼ現状横ばいで推移すると推計される。しかし品位面では薄物や付帯不純物の多い老廃スクラップが主体となることから、中間処理の今以上の高度化が求められる。一方、需要面では主体の電炉内需は人口減の影響をうけて減産の方向が免れず、外需では輸出先の韓国や中国はやがて輸出国へ転進することが予想される。50年の炭酸ガス80%削減を見据えると、国内で発生する鉄源としていかに有効に使用していくかが鉄鋼業の大きな課題となる。 5.参加費:1,000円(資料代込み) 6.参加登録:参加希望の方は、E-mailまたはFaxにて、氏名、所属、連絡先(電話、Fax、E-mail)を 明記の上、下記宛お申込み下さい。当日参加も受け付けます。
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