44回研究会では、第42回、第43回研究会に引き続き特殊鋼に関する議論を行います。多数の方々にご参加頂き活発な討論をお願い申し上げます。
テーマ:ステンレス鋼に関する技術転換 1.日 時:2019年1月28日(月)13:00-17:00 2.場 所:(一社)日本鉄鋼協会 第1+第2会議室(鉄鋼会館5階:中央区日本橋茅場町 3-2-10) 3.講演スケジュール: 13:00~13:15 趣旨説明および講師紹介 座長 13:15~14:45 「Cr系ステンレス鋼に特化した川鉄の転炉溶製法」: 野崎 努 氏(元川崎製鉄) 14:45~15:00 休憩 15:00~16:30 「ステンレス鋼の発展の歴史と今後の展望-主として商品開発の観点からー」 :菊池 正夫 氏(元九州大学鉄鋼リサーチセンター) 16:30~17:00 全体討論
4.内容: 野崎 努氏: 1977年1月に本邦初で導入した川崎製鉄の底吹き転炉(欧州ではOBM、USAではQ-BOPと命名された)はその撹拌力が従来のLD転炉に比較して格段に優れた点が魅力の一つであった。均一混合時間で表現するとLD転炉は100秒に対し、Q-BOPは10秒であり、撹拌力は10倍であることが理論と実験から証明された。 また、Cの選択酸化指数(ISCO値)から、底吹きガスの種類と混合比率により、鋼中Cを酸素と結合させる酸化反応のみならず、還元雰囲気の反応炉としての役割もできることから、還元反応炉としての使用も可能であることが分かった。 従来、川鉄は西宮工場でステンレス鋼を電気炉溶解、VODでの二次処理後造塊もしくは圧力によるpressure casting法でスラブを製造していたが、1970年初頭千葉製鉄所にステンレス鋼を溶製する方針で、電気炉を設置した。1981年溶銑を利用したK-BOP溶解法でオーステナイト系及びフェライト系ステンレス鋼を製造した。 上記Q-BOPの導入で、従来原料として使用していた高炭素FeCrやNi原料の値段が急変し、不安定な価格となることから、Ni原料を使用するオーステナイト系ステンレス鋼は専用メーカーに任せ、1986年川鉄は還元炉の特徴を生かすべくCr鉱石やクロム・サンドを直接使用するフェライト系ステンレス鋼の溶製に特化することに決め、5トン試験転炉での溶製条件を詰め、先ずQ-BOPでの本格製造に入った。 その後、ステンレス専用の製鋼工場として1994年第4製鋼工場を立ち上げ、以後、現在も続いている。第4製鋼工場はSR-KCB―DC-KCB―VOD―連続鋳造からなる。VODに強力撹拌機能を付与したSS-VODとして、Ti代替として30Cr2Moまでの高Cr鋼を製造している。 転炉でフェライト系ステンレス鋼を溶製する際にはCr酸化物を含有するステンレスダストが発生するため、2段式コークス充填層であるSTAR炉を1994年に開発し、有価金属の回収も達成した。 以上、川崎製鉄のCr系ステンレス鋼の転炉による溶製法に関して述べる。
菊池 正夫氏: ステンレス鋼が発明,実用化されてから100年が経過している。 ステンレス鋼は耐食性ばかりでなく、強度、高温特性、低温特性、加工性、溶接性、非磁性など、様々な優れた特性を有している。 これらの優れた特性を生かして、石油・化学工業などの各種プラントにおける装置用材料を中心とする産業機器分野、流し台に代表される家庭用・業務用機器分野、さらには建材を中心とした建築・土木分野、輸送機器分野、電気機器分野で需要を拡大してきた。また、地球環境問題を背景とした自動車排気系分野への適用などで、着実にその需要を増し、現在に至っている。 今後,安全・安心な社会の構築、エネルギー問題や地球環境問題の解決などのための材料に求められる機能・特性はますます過酷化する傾向にある。それらの要求に応えられる材料として、ステンレス鋼は不可欠であり、ステンレス鋼に対する期待は、さらに大きくなるものと思われる。
本講演では、下記の内容について紹介する予定である。
1. はじめに 2. ステンレス鋼とは(ステンレス鋼の定義,種類および特性) 3. ステンレス鋼発達の歴史 4. ステンレス鋼の生産量の推移と需要動向の変遷 5. ステンレス鋼の用途 6. ステンレス鋼の最近の動向と今後の展望 7. おわりに
5.参加費:1,000円(資料代込み) 6.参加申込み:参加希望の方は、E-mailまたはFaxにて、氏名、所属、連絡先(電話、Fax、E-mail)を明記の上、下記宛お申込み下さい。当日参加も受け付けます。
申込み・問合せ先: 〒525-8577 滋賀県草津市野路東 1-1-1 立命館大学理工学部機械工学科 山末 英嗣 Tel. 077-561-4693 E-mail: ml-yamasue-lab@ml.ritsumei.ac.jp |
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