鉄鋼プレゼンス研究調査委員会 歴史を変える転換技術研究フォーラム 「第46回 歴史を変える転換技術研究会」開催のお知らせ
第46回研究会では亜鉛ダストの処理技術の変遷を歴史と経済性の観点から議論します。多数の方々にご参加頂き活発な討論をお願い申し上げます。 テーマ:亜鉛ダストの処理技術と経済性 1.日時:2019年10月24日(木) 13:00~17:00 2.場所:(一社)日本鉄鋼協会 第1会議室 (中央区日本橋茅場町 3-2-10 鉄鋼会館5階) 3.講演スケジュール: 13:00~13:10 趣旨説明および講師紹介 座長 13:10~14:10「Znを含むダストのリサイクル技術(仮題)」 小松 周作氏(エコイノベーション(株)) 14:15~15:15「日本における電気炉ダストからの亜鉛回収技術」笹本 博彦氏(元愛知製鋼) 15:15~15:30 休憩15:30~16:30「亜鉛製錬の歴史と技術変遷について」 山中 義則氏(DOWAメタルマイン(株)) 16:30~17:00 全体討論4.内容: 小松氏: 亜鉛は、鉄鋼製品の防錆メッキ剤として必要不可欠の金属である。 しかしながら、亜鉛は低融点、低沸点であるが故、高炉の炉内では、蒸発と凝縮を繰り返して濃縮し、炉壁近傍の低温部に凝縮して付着物となり、高炉の安定操業を阻害する問題を発生させる。そのため、「溶銑トン当たりの装入亜鉛量」という指標で管理されるようになった。装入亜鉛量を低減するため、1970年代には主要製鉄所に脱亜鉛リサイクル設備としてロータリーキルンが設置された。 その後、多くの製鉄所では、経済性や操業トラブルの問題から撤退せざるを得なかった。 そして、2000年代になると、RHF(回転炉床炉)が開発され普及していった。最近の脱亜鉛リサイクル技術について、設備特性と用途面から特徴と問題点を整理した。 また、ロータリーキルンの歴史と発展についても述べる。 笹本氏: 日本における電気炉ダストの発生量は約50万トン/年であり、これに含まれる亜鉛は24%,12万トン/年(亜鉛の内需の16%)である。亜鉛回収の主流は、ウエルツキルン法+ISP法である。電気炉ダストから回収される金属亜鉛の量は5万トン/年(内需の7%)である。ダストからの亜鉛回収は処理業者に委託しているが、問題点は、電気炉会社が、電気炉ダスト処理に15000~25000円/t,75~125億円/年処理費を要していることである。 国内における電気炉のダイオキシン対策の主流は排ガスを急速冷却することでガス中のダイオキシンをダストに凝縮させる方法であるが、結果として電気炉ダストには濃度が高いダイオキシンが含まれるので、新たなダスト処理プロセスを考える時に十分に検討を要する。 筆者らは、1997~2002年に電気炉ダストの発生メカニズムを追究した結果、電気炉排ガスの温度と酸素ポテンシャルを制御し、オンサイトで鉄、亜鉛の分離回収することの可能性を確認した。電気炉の排ガスから金属粗亜鉛が回収できればダスト処理費用は大いに軽減できるので、2003~2005年に実用化実験をNEDOの予算で行った。この実験の結果は失敗したが、その問題点について述べる。電気炉ダストを廃棄物から有価物にする技術開発は、電気炉製鋼技術者の夢である。 次世代の皆様の情熱かつ慎重な挑戦を期待する。 山中氏: 亜鉛の用途は紀元前後のローマ時代に貨幣として使われた真鍮から始まったが、低融点・低沸点の特徴から金属亜鉛での回収は当時では難しく、亜鉛製錬の工業化は選鉱技術の確立と合わせ19世紀後半からとなった。 わが国での本格的な亜鉛製錬の工業化は、神岡鉱山付属大牟田亜鉛製煉所(現:三井金属グループ三池製錬所㈱)にて、蒸留亜鉛が1912年の水平蒸留炉の建設から、電気亜鉛が1936年の電気製煉工場の建設から始まった。 現在は鉱石をベース原料とする亜鉛製煉所は5拠点となり、最盛期(1980年代)の供給体制から3割程度(年間700千トン程度の生産)減少したが、各製錬所ではコスト削減や生産の効率化を図りながら操業を継続している。 本講演では亜鉛製錬の歴史と技術の変遷について簡単に紹介したい。 6.参加申込み:参加希望の方は、E-mailまたはFaxにて、氏名、所属、連絡先(電話、Fax、E-mail)を明記の上、下記宛お申込み下さい。当日参加も受け付けます。
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