鉄鋼プレゼンス委員会 歴史を変える転換技術研究フォーラム「第41回 歴史を変える転換技術研究会」開催のお知らせ
第38回,第40回で議論しました制御に関する技術転換について,第41回研究会でも引き続き議論を行います。多数の方々にご参加頂き活発な討論をお願い申し上げます。 テーマ:第3回:圧延の制御(「ハード面と計側制御システム面の両面から見た革新」) 1.日時: 2018年1月22日(月)13:00~17:00 2.場所:(一社)日本鉄鋼協会 会議室:鉄鋼会館 (中央区日本橋茅場町 3-2-10) 3.講演スケジュール: 13:00-13:15 趣旨説明および講師紹介 座長 13:15-14:45 「20世紀における薄鋼板の革新的圧延技術 鑓田 征雄 氏(元千葉工大) 14:45-15:00 休憩 15:00-16:30 「熱間圧延の組織材質予測制御」 瀬沼 武秀 氏(岡山大・特任教授) 16:30-17:00 全体討論 4.内容: 鑓田 征雄氏: 鉄鋼薄板圧延の最も革新的技術は20世紀初頭におけるARMCOの John B. Tytusによる連続圧延機の発明であり、現在の原型となったColumbia steel Butler工場でのホットストリップミルやタンデムコールドミルの実用化であろう。この背景にあったのがT型フォードを始めとする普及・拡大する自動車産業からの広幅鋼板の大量供給の要請であった。圧延の基本である剛性の高い4段圧延機、圧延速度制御や高速化のための直流モーターおよび安定通板のため平坦度を乱さないロールクラウンの最適化が示されている。 20世紀の半ばになるとBISRA-AGC、ロールベンダーによる平坦度制御、油圧圧下ミル、プロセスコンピューターの導入が始まり大量生産に加え、高速化や品質の向上と安定化が図られてきた。1971年にはNKK福山において初の完全連続TCMが実用化され生産性が大幅に向上、製品欠陥の減少、板厚不良部の減少が図られた。TCM連続化の成功は冷延工程では酸洗‐TCM、TCM‐CAL、酸洗‐TCM‐CALの連続化へと発展し、さらにHSM仕上連続圧延への大きな動機となった。 一方では、省エネルギーの観点からCC‐HOTの同期化技術が検討された。スラブ幅の数を減少し、CCの生産性を向上させるとともにシートバーのクロップ形状を改善し、歩留りを大きく向上させる効果をもたらすサイジングプレスの実用化があり、同期化技術の本流となっている。 連続化や同期化はスケジュールフリー圧延技術の開発へと繋がり、厚み制御の高精度化にさらに高度なプロフィル・平坦度制御技術の開発へと導いた。強力なクラウン・平坦度制御ミルとしてHCミルが開発され実用に供された。さらにクラウン制御を強力にしたペアクロスミル、CVCミルがホットストリップ圧延に、冷延でのエッジドロップ制御を目的としたテーパ付ワークロールシフトミルやUCミルが実用に供され現在でも広く使われている。 近年では高応答のAC可変速の主機ドライブモーター、油圧圧下装置が開発され、スタンド間の厚み計やプロフィルメータなどの電気・計測技術の進歩もあり、板厚制御は非常に高精度になった。 本報告では20世紀の薄鋼板圧延技術の本流となった連続圧延やプロフィル・平坦度制御の発展を中心にまとめる。 瀬沼 武秀氏: 圧延関係の制御には寸法・形状を作り出す圧延制御と材質をつくり込む材質制御がある。講演では後者の材質制御の開発経緯と現状について報告する。1970年代までの熱延技術は、新型圧延機の開発と共に形状を精度よくつくり込むための圧延形状制御の開発が中心で、材質のつくり込み技術は熟練技術者による匠の技に託されていた。そして、熱延での組織変化はブラックボックスで何が起きているのかは分からなかった。しかし、組織の微細化により優れた特性が得られることが制御圧延の開発により明らかになり、組織制御の重要性が認識され始めた。 矢田らはコンピュータの著しい発展に注目して、熱延時の組織変化を見える化し、鋼の成分と圧延条件を入力することで組織と材質が出力されるコンピュータシステムを構築することを構想した。彼の優れたリーダシップにより1984年にはホットストリップ圧延ならびに厚板圧延の組織材質予測システムが当時の新日鉄で世界に先駆けて開発された。成分系は限られたものの比較的高精度の予測が実現した。また、圧延時の組織変化を予測できたことで、変形抵抗の予測の高精度化が成され、板厚精度の向上にもつながった。また、変態に伴う発熱を予測したことでCT制御の向上も果たすことができた。 しかし、この組織予測材質制御の実用化はわが国では一部にとどまり今日に至っている。一方、欧米ではその後実用的なシステムが開発され、品質保証の一部を受け持ったり、中国でのミルの受注では付属のソフトウエアとして組織予測材質制御モデルが提供され、受注の一助になったと聞いている。 本講演では組織材質予測制御技術の概要を説明すると共に、当時完全実用化が進まなかった問題点についても紹介する。また、日本が目指す高級鋼の製造に関する高度な組織制御技術の開発における苦労話についても紹介したい。 5.参加費: 1,000円 6.参加申込み: 参加希望の方は、E-mailまたはFaxにて、氏名、所属、連絡先(電話、Fax、E-mail)を明記の上、下記宛お申込み下さい。当日参加も受け付けます。
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