第233・234回西山記念技術講座 「鉄鋼業における地球温暖化対策の未来」~LCAと他業界からそのヒントを探る~(事前申込締切日:2018年05月31日)
講座の視点
1. 日時・場所: 第233回 2018年 6月07日(木)10:00 ~ 17:30 受付時間:9:30 ~ 15:40 大阪:CIVI研修センター新大阪東7階 E705会議室(大阪市東淀川区東中島1-19-4 新大阪NLCビル) 第234回 2018年 6月21日(木)10:00 ~ 17:30 受付時間:9:30 ~ 15:40 東京:早稲田大学 西早稲田キャンパス 63号館2階会議室(東京都新宿区大久保3-4-1) 2. 内容および講演者、司会者 ※講演の概要はタイトルをクリックすると見ることができます。 ※こちらからダウンロード出来ます。
3. 講演内容 1)環境制約の中の鉄鋼業とLCA 醍醐 市朗 鉄鋼材の今後の需要を概観する。先進国で10トン/人程度の蓄積で飽和しており、今世紀中は鉄鉱石を還元しなければ、発展する国々の鉄鋼材需要を満たせない。これらの生産の低環境負荷化と、高機能化による製品等使用時の環境負荷削減も期待される。今後の企業活動に求められる制約も概観する。ESG投資やSDGsにみられるように、環境にとどまらず、社会やガバナンスまで配慮した企業活動が求められる。全ての取引においてトレーサビリティとその責任が求められると言い換えられる。このような制約の中、リサイクル性に優れた鉄鋼材は、その優位性をより主張しやすい環境になってきたとも言えよう。鉄鋼材リサイクルの実態を分析し紹介した上で、その主張において望まれる、ライフサイクル思考に基づいた評価について紹介する。 2)鉄鋼のLCA 礒原 豊司雄 環境への負荷を考えた素材の選択においては、使用時の環境負荷のみではなく製造時やリサイクルも考慮したライフサイクル全体で環境負荷を考えること(LCA)が必要である。種々の素材の中で、鉄鋼は品質を落とさずに何度でも何にでも蘇る「クローズドループリサイクル」が実現できている工業素材である。このような素材の場合、リサイクルの効果を反映したLCAが必要であるが、その方法論はworldsteelで確立されており、ISO化も進められている。これによれば、高炉法と電炉法は一体で鉄鋼循環を形成しており、その環境負荷は等価である。このような鉄鋼の特性をよく理解した上で素材の選択を行うことが重要である。 3)世界のCO2排出抑制への貢献を目指した日本鉄鋼業の在り方 秋元 圭吾、小田 潤一郎 パリ協定が発効し世界は協力してCO2排出削減に向けた取り組みを進める流れとなってきている。生産プロセスにおけるCO2排出削減を進めることは大切であるが、製品の利用段階での排出削減のポテンシャルは大変大きく、グローバル・バリューチェーンによる排出削減を進めることは、実効ある温暖化抑制のために極めて重要である。本講演では、日本鉄鋼業のエネルギー原単位の状況を示す。そして、世界エネルギー・温暖化対策モデルによって分析した将来の大幅なCO2排出削減の定量的なシナリオを示す。不適切な気候変動政策は産業リーケージそしてカーボンリーケージを生み、CO2排出削減の実効性を却って阻害し得ることを指摘する。その上で、世界全体を俯瞰し、また部門横断的な対策を進めていくことが重要であることを、定量的な分析を基に論じる。 4)パリ協定と鉄鋼業界の地球温暖化対策 手塚 宏之 パリ協定は世界各国が自主的に温室効果ガス排出削減目標を掲げ、地球規模で温暖化対策に取り組む仕組みとなっており、我が国も2030年に向け26%削減という野心的な目標を掲げている。そうした中で鉄鋼業界では、日本鉄鋼連盟として「低炭素社会実行計画」を掲げ、エコプロセス、エコプロダクツ、エコソリューションの「3つのエコと革新技術開発」を組み合わせた多面的な取り組みを進めている。本講座では、パリ協定における温暖化対策の鍵が技術にあることを解説した上で、日本の鉄鋼業界の取り組み、地球規模での温暖化対策への貢献について紹介する。 5)自動車軽量化の現状と鋼材への期待 千葉 晃司 近年、各国のCO2規制が強化され、さらに国によっては、2030~2040年にガソリン車、デイーゼル車の販売禁止、19年に販売台数の一定比率を電動車両にする規制を発表、実施しようとしている。そうした中で、CO2削減に効果な手段の一つである軽量化で、材料を適材適所に使用したマルチマテリアル化が進んできている。本講演では、その動向と考え方、その中での鋼板の適用事例、鋼板との接合技術、さらに今後増えてくる電車両のユニットすなわち、モーター、バッテリにおける鋼材の役割と期待について解説する。 6)クリーンコール分野における地球温暖化防止への取り組み 在間 信之 現在の日本の電力供給において、石炭火力発電は発電電力量の約4分の1を担っている。石炭は安価で安定的な資源である一方、その他の火力発電に比べてCO2排出量が大きく、CCSを含めたCO2排出量を抑えた石炭火力発電の開発が重要となっている。 NEDOは、石炭火力発電に関する革新的な技術開発を軸に、発電効率の大幅向上やCO2分離・回収後においても高効率を維持する等、CO2排出の削減に寄与する先端的なクリーン・コール・テクノロジー(CCT)に取り組んでいる。本講座では、METIが策定した次世代火力発電に係る技術ロードマップ、及びそれに対応するNEDOプロジェクトの概要を紹介する。 7)CO2削減長期目標を踏まえた鉄鋼プロセスの将来像 有山 達郎 我が国において鉄鋼業からのCO2排出量は国内総排出量の約15%を占める。鉄鋼プロセスの主流である高炉法では主たる還元材として炭素を用いるために、炭素の最終形態として不可避的にCO2を排出する。鉄鋼業のCO2削減は鉄鋼製造プロセスの本質と関わることになり、鉄鋼業の成長力を維持しつつ、その対策は容易ではないが、我が国を始め、主要鉄鋼生産国ではこの炭素制約の中で地球温暖化対策に向けて積極的に動きつつある。本講座で鉄鋼製造プロセスにおける低炭素、脱炭素技術の展開、現在の状況、将来展望と課題を総括する。同時に鉄鋼プロセスのCO2削減は世界の鉄鋼業共通の課題であり、各国の技術動向についても触れる。特に長期目標を踏まえ、CO2の利用を目指した至近のCCU技術(CO2 Capture and Utilization )、再生可能エネルギーとのリンクを目指した水素製鉄への動きについても述べる。 4. 参加申込み: ①事前申込は終了いたしました。 当日領収証をお渡しします。事前申し込みは5月31日(木)までです。 事前申込された方が当日不参加の場合、返金はいたしません。講座終了後、テキストをお送りします。 ②当日申込は従来通り現金のみの対応となります。 5. 参加費(税込み、テキスト付) 会員8,000円、一般15,000円、学生会員1,000円、学生一般2,000円 注)会員割引は個人の会員のみ有効です。協賛団体の個人会員、学生会員も含みます。 受付で本会あるいは協賛団体の会員証をご提示下さい。 ★テキストは、最終講座終了後残部がある場合、鉄鋼協会会員価格、一般価格で販売いたします。 テキスト購入のお申込みは、本会HPをご覧下さい。
(会場案内)
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