鉄鋼プレゼンス委員会 歴史を変える転換技術研究フォーラム「第43回 歴史を変える転換技術研究会」開催のお知らせ
第43回研究会では第42回研究会に引き続き特殊鋼に関する議論を行います。多数の方々にご参加いただき、活発な討論をお願い申し上げます。 テーマ:電気炉特殊鋼に関する技術転換 1.日 時:2018年10月15日(月) 13:00~17:00 2.場 所:(一社)日本鉄鋼協会 第1+2会議室(中央区日本橋茅場町 3-2-10 鉄鋼会館5階) 3.プログラム: 13:00~13:15 趣旨説明および講師紹介 座長 13:15~14:45 「電気炉製鋼法の進歩」 :松岡 滋樹 氏(元大同特殊鋼) 14:45~15:00 休 憩 15:00~16:30 「軸受鋼の高清浄度化に向けた取組について」 :平岡 和彦 氏(山陽特殊製鋼) 16:30~17:00 全体討論 4.内容: 松岡 滋樹氏: 1950年代と比較すると世界の鉄鋼生産は9倍になった。その成長原動力は高炉-転炉プロセスの設備・操業の進化であるが、電気炉鋼も粗鋼生産の1/4以上を担っている。それは、増加する鉄鋼製品に製造に伴って増加するスクラップの消化という側面だけでなく、生産性、コストにおいて高炉-転炉法に十分対応できるほど進歩を遂げてきたことによる。電気炉製鋼法の改善は設備、操業、耐火物、制御の多岐にわたる開発、改善の成果ではあるが、大きな変換点を挙げると以下の3点であろう。 1.Dr. SchwabeによるUHPの提唱:電気炉の生産性拡大のためには熱源である、電気炉トランスの大容量化が必要であった。ところが、大容量化に伴い炉壁レンガの溶損が深刻化した。Dr.Schwabeは炉壁への熱負荷がアーク電力と電圧の積に比例することを見出し、低電圧、高電流操業をすれば、炉壁の損傷が低減でき、トランスの大型化が可能なことを見出し、炉容tあたりのトランス容量を700kWh/t以上とするUHP電気炉を提案した。これを受けて炉容の拡大、トランスの大型化が進み200t規模の電気炉が作られるにいたった。 2.LFの汎用化:本来の電気炉の操業は同じ容器で前半は高塩基、高FeOのスラグによる脱Pと高塩基、後半は低FeOスラグによる脱S、脱Oを図るものであった。過剰なFeOにより還元期操業が阻害されることを避けて、溶解初期の酸素の使用は大きく制限され、電力だけでスクラップ溶解をする必要があった。炉外精錬設備であるLFが普及したことで、電気炉は溶解と酸化のみになり、酸素をスクラップ溶解に積極的に使ことで溶解時間が非常に短縮された。 3.フォーミングスラグ法の開発:溶解期に酸化された鉄の還元を目的にしたC-インジェクションは、ある条件下でCOガスによりスラグを膨張させるフォーミング現象をともなう。泡立ったスラグはアークを包み込み炉壁への熱放散を遮断し、熱はスラグを伝わって効率よく溶鋼に伝わる。Dr.Scwabeが提唱した低電圧とは逆に高電圧、低電流操業が可能となった。これは、AC炉の課題の一つであった、電極消耗を激減させ、溶解初期から出鋼までトランスの持つ容量をフルに使うことが可能になった。DCアーク炉は電極原単位の低さ、送電網への影響の低さ、均一溶解という利点で電気炉の主流になるかと思われたが、AC電気炉の種々の改善により、選択肢の一つとなった。 平岡 和彦氏: 軸受鋼は軸受の主要素材であり、代表的な品質として転がり疲れによる「剥離」に至るまでの寿命が長いこと、すなわち長寿命であることが強く求められてきた。通常の潤滑環境で軸受が使用された場合、剥離は軸受軌道直下の鋼中非金属介在物を起点として生じるため、その低減が長寿命化に有効であることが知られている。このことから、軸受鋼の製造技術として、鋼中酸素の低減を指標とする高清浄度化が最も重視されてきた。一方、直近の軸受を取巻く環境変化として、世界的な気象変動やそれらに伴い強化されてきた各国の政策動向を背景に、環境負荷軽減への具体的な寄与が求められてきている。素材である軸受鋼に対しては、従来を上回る大幅な長寿命化と共に、環境負荷軽減に直結する小型軽量化設計への貢献が望まれる状況にある。 今回の報告では、前半に軸受の剥離に関する非金属介在物の作用について説明したい。転がり疲れによる剥離は、接触荷重による複雑な応力状態による現象であり、観察による理論強化が困難であるという理由から、現時点においてもメカニズムに曖昧な点が残されている。前述した小型化設計への貢献を鑑みた場合、長寿命効果の定量化が強く望まれることとなり、剥離現象を亀裂生成→伝播→破壊(剥離)の視点で明示することが重要な研究課題であるとみられている。そこで、主に当社における関連の研究事例を紹介し、現状得られている知見と今後の課題について説明する。後半では、前半に説明する考え方を踏まえ当社において取組まれてきた軸受鋼の高清浄度化操業について、その概要を紹介する。 5.参加費:1,000円(資料代込み) 6.参加申込み:参加希望の方は、E-mailまたはFaxにて、氏名、所属、連絡先(電話、Fax、E-mail) を明記の上、下記宛お申込み下さい。当日参加も受け付けます。
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