【中国四国支部】第132回金属物性研究会「鉄系マルテンサイト組織と組織形成機構」
無拡散・連携型変態であるマルテンサイトは特異な相変態であり、相変態の観点からいろいろ研究が進められています。一方でこの相変態は高強度鋼,形状記憶合金や制振材料といった実用的な面からも研究が進められております。特に鉄系マルテンサイトは多様な組織を形成し、それらが様々な特性を発現させます。いろいろと利用されている鉄系マルテンサイトですが、未だに組織について不明な点が多く残っており、組織の形成機構についても解明されていないところがあります。今回はこのような鉄系マルテンサイト変態で生じる組織やその形成過程に関する最近の研究ついて御講演をいただきます。 主 催 日本金属学会・日本鉄鋼協会 中国四国支部 共 催 島根大学 日 時 2018年11月30日(金)13:00 ~ 17:00 場 所 島根大学総合理工学部3号館2階 多目的ホール 〒690-8504 島根県松江市西川津町1060 プログラム 13:00 開会の挨拶 島根大学 森戸 茂一 座長 島根大学 森戸 茂一 13:00 ~ 13:45 「炭素鋼マルテンサイトの局所的バリアント選択と組織形成」 島根大学 林 泰輔 講演内容:炭素鋼マルテンサイトは炭素量により微細組織が変化し,組織発達過程も異なる経過を辿ると考えられる.本発表では,中炭素以下の炭素量における組織形成機構を明らかにするため,マルテンサイト粒内の方位関係や特定のバリアント境界に関する定量的解析結果を基にバリアント選択と組織形成の関係を考察する. 13:45 ~ 14:30 「Microstructure evolution during heat treatment of a hot-work tool steel」 島根大学 Anh Hoang Pham 講演内容:Microstructure control of the hot-work tool steel is challenging, because of the high alloy content and large dimensions of the workpieces. Microstructure of the steel ingot after hot forging is bainite, which becomes tempered bainite after annealing. Further quenching of the steel with variation of the austenitizing temperatures solely cannot prevent the formation of coarse austenite grains, which are not favorable to the steel’s toughness. In this study, we make a detailed survey on the microstructure evolution during heat treatment of an Fe-0.4C-1.0Si-5.2Cr-1.3Mo-0.9V(mass%) hot-work tool steel, in order to find an effective way to control its microstructure. 14:30 ~ 15:15 「Fe合金へのショットピーニングにて形成する微細組織と特異相変態挙動」 名古屋工業大学 佐藤 尚 講演内容:我々は,近年,マルテンサイト相を多く有するFe-33%Ni合金にショットピーニング(SP)を施すと逆変態が生じる特異な相変態挙動を見出した.このSPに伴う逆変態は冷間圧延を施したSUS304などでも発生する.本講演では,SPにて生じる相変態およびそれによって形成する微細組織について説明し,SPによる逆変態の発現要因を残留圧縮応力などの観点から議論する. 15:15 ~ 15:30 休憩 座長 島根大学 森戸 茂一 15:30 ~ 16:15 「金属における格子欠陥の高温挙動の透過型電子顕微鏡法による研究」 名古屋工業大学 森谷 智一 講演内容:我々はFe-Ni-Al合金において,γ母相にB2構造を持つ第二相を析出させた組織をマルテンサイト変態させたところ,γ単相の場合と比べて,生成する薄板状マルテンサイトのサイズが小さくなることを見出した.その要因について,B2粒子の周囲のγに存在する歪と生成するマルテンサイトのバリアントとの関係を中心に紹介する. 16:15 ~ 17:00 「マルエージ鋼ラスマルテンサイトの組織発達過程」 名古屋工業大学 知場 三周 講演内容:高強度鋼に用いられるラスマルテンサイト(M)組織はパケットやブロックといった階層的な組織を有し,これらの組織境界が力学特性に深く関係する.そのため,M組織の形成過程について様々な調査,検討が行われている.本講演では,マルエージ鋼において初期に形成されるM組織について,いわゆるG-T熱処理を用いて詳細に観察し,焼入れM組織が如何にして形成されるかについて議論する. 17:00 閉会の挨拶 島根大学 森戸 茂一 参加申込 不要,ご参加時に氏名・所属を記帳していただきます。 参加費 無料 申込・問合先 島根大学大学院 総合理工学研究科 森戸 茂一 TEL: 0852-32-6398 E-mail: tatara@riko.shimane-u.ac.jp アクセス 詳しくは島根大学HP (https://www.shimane-u.ac.jp/)をご覧ください。 |