第231・232回西山記念技術講座 「「破壊力学」の進展とインフラ・構造物の信頼性 ~安全、安心を管理するフラクチャー・コントロール~」(事前申込締切日:2017年10月31日)
講座の視点
1. 日時・場所: 第231回 2017年11月 7日(火)9:00~17:00 受付時間:8:30~16:10 東京:大手町サンケイプラザ3階会議室(東京都千代田区大手町1-7-2東京サンケイビル3階) 第232回 2017年11月28日(火)9:00~17:00 受付時間:8:30~16:10 大阪:(株)ラソンテ 3階会議室(大阪市淀川区宮原1-6-1新大阪ブリックビル3階) 2. プログラム: ※講演の概要はタイトルをクリックすると見ることができます。 ※こちらからダウンロード出来ます。
3. 参加申込み: ①事前申込みは終了いたしました。 事前申込みは本会ホームページからのクレジットカード決済のみでの支払いとなります。 当日領収証をお渡しします。事前申し込みは10月31日(火)までです。 事前申込された方が当日不参加の場合、返金はいたしません。講座終了後、テキストをお送りします。 ②当日申込は従来通り現金のみの対応となります。 4. 参加費(税込み、テキスト付): 会員8,000円、一般15,000円、学生会員1,000円、学生非会員2,000円 注)会員割引は個人の会員のみ有効です。協賛団体の個人会員、学生会員も含みます。 受付で本会あるいは協賛団体の会員証をご提示下さい。 ※当該技術講座の撮影、録音は一切禁じます。NO photography, audio recording and video recording. ★テキストは、最終講座終了後残部がある場合、鉄鋼協会会員価格、一般価格で販売いたします。 本会HPをご覧下さい。
(会場案内)
[講演概要] 5. 講演内容: 1)破壊力学の進歩と破壊のミクロ機構 粟飯原 周二 破壊力学はき裂状欠陥を有する構造物の破壊挙動解析や信頼性解析に必要な学問分野で、数値解析技術の進歩と相俟って工業的なツールとしても広く適用されるようになってきたが、種々の破壊事故を契機として発展してきた側面もある。本講では、まず、本講座の趣旨と全体の概要を述べたあと、我が国を中心とした破壊力学の発展について述べ、破壊力学の必要性と適用範囲について述べる。さらに、鉄鋼材料で最も代表的な破壊形態である脆性破壊・延性破壊・疲労破壊について破壊ミクロ機構とミクロ組織との関係についてその基本を概説する。 2)破壊力学に基づく構造部材の破壊評価の基礎と応用展開 大畑 充 各種鋼構造部材の耐破壊設計や健全性評価に破壊力学が果たしてきた役割は大きく,諸外国において工業的評価手法が規格化されている。一方で,簡便な破壊力学的手法は過度に安全側の評価結果を与える場合もあり,それらを排除した合理的手法構築に向けて破壊力学の応用展開がなされてきた。本講座では,破壊力学の基礎式とその意義を振り返りながら,へき開型の脆性破壊とミクロボイド合体型の延性破壊を対象として,破壊力学に基づく構造破壊評価手法の紹介とその合理化に向けた展開について概説する。また,破壊解析を材料設計に活かすための近年の新しい取組として,破壊の微視的メカニズムに基づいた数値シミュレーションベースの評価手法について概説する。 3)近年の溶接鋼構造物における脆性破壊防止技術の進歩 島貫 広志 溶接構造物の脆性破壊は、特に低温下において低応力での発生に注意が払われてきた。しかし、兵庫県南部沖地震での多数の建築鉄骨の脆性破壊現象を契機に大変形や動的繰返し負荷による脆性破壊についても注目されるようになり、その評価技術や破壊防止技術が大幅に進歩した。また、船舶分野では古くから材料や構造の面から脆性破壊の防止が考慮されてきたが、近年のコンテナ船の大型化に伴う使用鋼材の極厚化によりあらためて脆性破壊の防止技術が注目され、脆性亀裂のアレスト特性に対する新しい基準が制定された。本講座では、従来の脆性破壊防止の考え方から、上記のような最近の溶接構造物の脆性破壊に関する新しい問題に対して開発されてきた評価法や防止法などについて紹介する。 4)延性破壊防止に向けた技術の進歩 伊木 聡 延性破壊は鋼構造物の破壊問題の一つとして長く研究されてきた。これまでに延性破壊の発生およびき裂進展について、様々な評価・試験方法が体系化されている。本講座では、特にパイプライン分野における延性破壊事例について紹介し、高圧ガスパイプラインでの高速延性破壊や地盤変状地域での大変形下での破壊現象のメカニズムや特徴を解説する。さらに、破壊現象を再現する実大試験および数値シミュレーション手法を取り上げ、延性破壊を防止するための性能評価手法について解説する。また、最近の破壊性能評価規格における延性破壊の取扱いおよび今後改定が必要な項目について紹介する。 5)疲労破壊の防止に向けた最近の取り組み 杵渕 雅男 鋼構造・機械構造の破壊事故原因には、金属疲労が関係していることが多く、疲労破壊の防止・破壊の制御は構造物の安全性・信頼性を確保する上で重要である。これまで、大きな事故が起こるたびに、事故原因を究明しそれぞれのケースに応じた対策を講じることで、疲労破壊防止の取り組みが進められてきた。本講演では、主として大型の鋼構造の疲労破壊に着目し、疲労強度に影響を与える因子を概説した後、線形破壊力学を応用した疲労き裂進展寿命の予測法について述べる。さらに、疲労破壊防止に関する最新の取り組みとして、鋼材および溶接材料の開発状況、および機械的方法を活用した疲労強度向上方法について述べる。 6)欠陥を有する構造物の健全性評価・リスクベースメンテナンス 酒井 信介 機械製品や社会インフラにおけるものづくりの三本柱は、設計、製造およびメンテナンスであるが、我が国の規制上においては、メンテナンス段階の取扱いが不明瞭な状態が長期間続いてきた。検査時に欠陥が検出された場合には、補修・取替えをするのが原則であったが、破壊力学の進歩とともに健全性評価をした上で判断をするいわゆる適性評価基準の考え方が普及している。近年は、これに加えてメンテナンス上優先順位の高い部分をリスクにより評価し、必要な資源を集中することにより合理化するとするリスクベースメンテナンスの考え方が広まりつつある。このような技術の現状と展望について述べる。 7)大型鋼構造物における破壊防止のための設計施工 猪瀬 幸太郎 大型鋼構造物の設計においては、構造物の使用目的と性能要素が整合する事が求められる。性能要素とは強度の観点では耐破壊、耐座屈、耐疲労などの特性を言う。これらは大型鋼構造物であれば一定以上の水準であるべきものであるが、構造物の用途によって、特に重視される性能要素は異なってくる。また構造物のなかには高い剛性や変形性能が要求されるもの、常時の荷重よりも非常時を想定した限界性能が主たる設計要求であるものもある。そこで主に船舶や橋梁を題材に、構造部材や溶接継手において重要となる性能要素とそれを実現するための実務的な方策を述べる。また、その設計性能を確証するための大型部材試験の実例を紹介する。 8)LNGタンクの安全性評価と材料開発の動向 西上 博之 天然ガスは、他の化石燃料と比較してクリーンなエネルギーとして、世界中で需要が拡大しており、それに伴いLNG(液化天然ガス)タンクの建設も広がっている。可燃性の液化ガスを貯蔵するLNGタンクには、高い安全性が求められており、-160℃の極低温においても十分な強度と靱性を有する9%Ni(ニッケル)鋼がLNG導入当初から約50年にわたって用いられてきた。一方で近年、LNGタンク建設費用の抑制を目的に、レアメタルであるNi量を低減した新たな鋼材が開発されてきた。本講演では、LNGタンクの安全性評価手法について概説した後、新しく開発された7%Ni-TMCP鋼が実プロジェクトで採用されるのまでのユーザー企業の一連の取り組み事例を紹介する。 |