第225・226回西山記念技術講座開催のご案内 「社会インフラにおける鋼構造・鉄鋼材料の歴史・現状・将来展望」
講座の視点
1. 日時・場所: 第225回 2016年6月10日(金)9:00~16:30 受付時間:8:45~15:40 大阪:CIVI研修センター 新大阪東 E705会議室(大阪市東淀川区東中島1-19-4 新大阪NLCビル7階) 第226回 2016年6月17日(金)9:00~16:30 受付時間:8:45~15:40 東京:早稲田大学 西早稲田キャンパス 63号館2階(大会議室)(東京都新宿区大久保3-4-1) 2. プログラム: ※講演の概要はタイトルをクリックすると見ることができます。 ※こちらからダウンロード出来ます。
3. 参加申込み: ①事前申込は終了いたしました。 事前申込された方が当日不参加の場合、返金はいたしません。講座終了後、テキストをお送りします。 ②当日申込は従来通り現金のみの対応となります。 4. 参加費(税込、テキスト付): 会員8,000円、一般15,000円、学生会員1,000円、学生非会員2,000円 注)会員割引は個人の会員のみ有効です。協賛団体の個人会員、学生会員も含みます。 受付で本会あるいは協賛団体の会員証をご提示下さい。 ※当該技術講座の撮影、録音は一切禁じます。NO photography, audio recording and video recording. ★テキストは、最終講座終了後(2016年6月30日以降)残部がある場合、鉄鋼協会会員価格、一般価格で販売いたします。 テキスト購入のお申込みは、本会のHPをご覧下さい。
(会場案内)
[講演概要] 5. 講演内容: 1)「社会インフラにおける鋼構造の重要性-歴史を踏まえて-」依田 照彦 我が国の社会インフラの構築は、人と環境と社会を調和させつつ、安全・安心で豊かな社会を実現することを目的としてきた。その結果、安全・安心な生活の維持、健やかに生きるための社会基盤施設の整備、自然と共生する社会・居住空間の創出などを可能にした。本講座では、安全・安心で豊かな社会を実現するために必要な社会インフラの構築において、鋼構造が果たした役割を鋼構造分野の特性と歴史性の観点から述べ、レジリエンス・リダンダンシーなどの重要概念を交えて持続可能な社会を実現するために必要な鋼構造技術について現状と展望を述べる。 2)「鋼構造とそれを支える鋼材の発展と今後の展望」菅野 良一 わが国初の鋳鉄製橋梁が建設された1868年から約150年余りの間で、日本は鋼構造分野で最も進んだ国の一つとなった。長大橋や高層建築・タワーなどで世界に誇れる多様な鋼構造物を実現してきた背景には、高性能な鋼材の大きな貢献がある。日本では鋼材性能の向上が鋼構造物の飛躍を促し、また逆に新しい鋼構造物の提案・建設が鋼材の技術革新を生んで来た。その結果、日本の鋼材は強度・機能・断面などの各面で極めて多様性ある進化を遂げて来ている。本講演は、橋梁や建築を含む日本の鋼構造物の発展過程とそれを支えた鋼材の技術革新を概観するものである。実用化された特徴的な鋼材の概要を鋼構造の発展と関連付けて紹介すると共に、鋼材の強度ポテンシャルの大きさや他分野での挑戦例を示しながら、鋼構造の更なる発展・進化の可能性を展望する。 3)「鉄道構造物における鋼構造の利用状況と鋼構造への期待」野澤 伸一郎 日本の鉄道は開業から140年以上経過したが、初期から鋼構造を使用してきた。現在、首都圏において経年100年以上の鋼桁が約1,000連存在するなど、適切に塗装すれば鋼構造は耐久性があることも実証されている。また、スパンの変更に伴い架替え対象となった橋梁の鋼桁においては、必要に応じて補強や改造を施して、別な場所で再び鉄道橋や道路橋として活躍している例も多い。高度な都市化が進み、列車のスピードアップや高密度運転が図られる現在、鉄道の安全を確保しながらの鉄道施設の大規模改修、線路上空人工地盤建設、線路下構造物構築などに、鋼構造は無くてはならない存在となっている。これらの例を紹介し、鋼構造への期待を述べる。 4)「エネルギー分野を支える高性能溶接構造用鋼材と将来展望」川畑 友弥 大震災以降のエネルギーミックスの激変や再生利用可能エネルギーへの注目など、我が国に限らず世界の今後の持続的な社会発展の基盤としてのエネルギー供給体制の在り方の検討も盛んにおこなわれており、同分野の主要構造材料である鋼材にとってもその行方は極めて重要である。現在までに天然ガスのサプライチェーン(採掘・輸送・貯槽)における各設備用鋼材、風力発電関連、水力発電関連などそれぞれの用途・立地環境に最適化した溶接構造用鋼材が盛んに開発されている。本講演では、特に我が国における近年の高清浄度化技術、微細介在物利用技術を中心とした高度な製鋼技術やTMCP(熱加工制御)技術と、結果として付与される構造物としての高い破壊安全性・信頼性の例も紹介し、今後を展望する。 5)「新しい耐疲労鋼の設計指針と制振構造への適用および将来展望」澤口 孝宏 地震を建物から守る技術は、従来の耐震構造から、振動工学を取り入れた制振・免震構造へと、その形態が多様化している。「剛から柔へ」の設計思想の転換とも表現される建築構造物の新技術は、阪神淡路(1995年)、東日本(2011年)の二つの大震災を経て、さらにその重要性が高まっている。本講演では、従来比約10倍の低サイクル疲労寿命を有する新鋼材と、これを用いた耐疲労制振ダンパー部材、およびその高層ビルへの適用事例を紹介する。また、新鋼材の開発のベースとなった、高Mnオーステナイト鋼やFe−Mn−Si系形状記憶合金について解説し、新しい耐疲労設計指針の他の成分系への適用可能性と、制振構造という比較的新しい鋼構造の将来への期待について述べる。 6)「土木構造物における鋼構造研究の現状と将来」奈良 敬 戦後の復興期から、高度経済成長期を経て、海外から奇跡の復興と称される発展を遂げた我が国の社会基盤整備を振り返ると、鋼構造技術ならびにそれを裏付ける学術研究の貢献は大きい。しかし、成熟期に迎えて停滞期に入り、少子高齢化に伴う人口減少を歩み始めた我が国の将来を考えた場合、社会基盤整備のあり方はこれまでの延長線上にないことは明らかである。1.17および3.11という未曾有の大震災の教訓も糧に、これまで蓄積されてきた土木構造物を対象とした鋼構造研究の成果を、将来に活かすための展望を描くことが、今こそ重要である。これまでの成果を俯瞰し、鋼構造の将来展望について議論したい。 7)「社会インフラ構造物の維持管理・長寿命化のための材料技術」土谷 浩一 高度成長期に造られた我が国の社会インフラの老朽化が著しく、既にいくつかの重大事故も起きている。国土交通省の予測によると2030年には維持管理・更新に要する年間コストが16兆円を越える可能性があり、特に地方公共団体の財政の大きな負担となる。この危機に対応するために2014年9月より内閣府による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の1課題として“インフラ維持管理・更新・マネジメント技術”が開始された。このプロジェクトではインフラ維持管理の為の点検・モニタリング・診断技術、構造物劣化機構解明、補修・補強技術、ICRT、アセットマネジメント技術の開発を目的として広範な研究が行われている。本講演ではSIPプロジェクトで行われている研究を中心にインフラ維持管理と長寿命化に資する材料技術の開発動向について述べる。 |