鉄鋼プレゼンス委員会 歴史を変える転換技術研究フォーラム「第37回 歴史を変える転換技術研究会」開催のお知らせ
第36回で議論しました耐火物に関する技術転換について,第37回研究会でも引き続き議論を行います。多数の方々にご参加頂き活発な討論をお願い申し上げます。 テーマ:鉄鋼業の革新に貢献した耐火物技術(その2) 1.日時:2016年10月24日(月)13:00~17:00 2.場所:(一社)日本鉄鋼協会 第1+2会議室:鉄鋼会館5階 (中央区日本橋茅場町 3-2-10) 3.講演スケジュール: 13:00-13:15 趣旨説明および講師紹介 座長 13:15-14:45 「酸化物耐火物から酸化物-炭素-非酸化物系自己修復型複合耐火物の開発経緯」 :山口明良氏(名古屋工業大学名誉教授) 14:45-15:00 休憩 15:00-16:30 「耐火物産業の海外進出における諸問題」 :牛込 進氏((株)TYK代表取締役会長) 16:30-17:00 全体討論 4.内容: 山口明良氏:耐火物の開発は、Al2O3とSiO2を主成分として始まり、それ以後、新しい耐火物の開発と言えば、MgO, CaO, ZrO2, Cr2O3やそれらの成分から構成される高温化合物を耐火物成分として利用し始めることを意味していた。しかし、高温酸化物の熱膨張率は高く熱電導性が低いという特性のため、酸化物のみから構成される耐火物において、気孔率を上げて耐熱衝撃抵抗性の向上を目指すと、逆に耐食性は低下する、という大きな矛盾があった。温度変動とスラグによる侵食を同時に受ける箇所、例えば転炉の内張に使用される耐火物にとっては、この両特性を同時に優れたものにすることが大きな課題であった。 この問題を飛躍的に解決に近付けたのは、1970年頃、高温酸化物に黒鉛を混合した炭素含有耐火物の開発であった。 しかしこの耐火物には、黒鉛の酸化し易さという新たな大きな欠点があった。この欠点を解決する方法が、盛んに研究され、AlやSiCなどの金属や炭化物などの非酸化物を添加する方法が開発され、添加物の種類、粒径、添加量などの影響が明らかにされてきた。そして非酸化物は、酸化防止のみならず、黒鉛の酸化によって生じるCO(g)と反応し、炭素と酸化物に変わり、それによって耐火物の緻密化や表面保護層の形成、さらには熱間強度の増大など自己修復作用とも言える機能をもたらすことが明らかになってきた。近年では、これらの効果をより有効に生かす “酸化物-炭素-非酸化物系”から成る自己修復型複合耐火物への道筋が見えつつある。 本講演では、これまでの酸化物のみの利用から始まった耐火物開発経過を振り返りつつ、自己修復型複合耐火物に向かおうとしているが、この発展をより促進する基礎として、構成成分の挙動などを中心に論述する。 牛込 進氏:日本の粗鋼生産は1970年以降1億トンを超えるレベルで推移してきたが、一方で耐火物の原単位は1970年に29.1kg/tであったものが現在7.1kg/tで76%減となっている。その為、耐火物業界の経営環境は厳しく、日本でも最盛期の1970年には120社あったが現在は49社に減少し(59%減)、業界は疲弊している。価格競争も大切であるが、それ以上に品質の競争が重要である.耐火物の改善は、How to makeとHow to useの両面から行われる。 一般にHow to makeに重点が置かれがちであるがHow to useも重要である。 本報告では、耐火物産業におけるこれまでの推移と技術転換を紹介しつつ、海外進出において直面した技術以外の諸問題についても議論を行う。海外においては労働組合が強い力を持ち、当初、新しい経営に非協力的であった。特に3大労働障壁は重要な課題であり、技術転換には技術そのものだけでなくこれらについて取り組む必要があった。そのような状況で如何に理解と協力を得て多能工化を進めることができたかについて紹介しつつ、今後の耐火物産業がどのように転換を進めていくのかについて議論を進める予定である。 5.参加費:無料 6.参加申込み:参加希望の方は、E-mailまたはFaxにて、氏名、所属、連絡先(電話、Fax、E-mail)を明記の上、下記宛お申込み下さい。当日参加も受け付けます。
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