金属材料に含まれる転位は金属材料の様々な力学的性質を左右します。金属材料中の転位は電子顕微鏡による直接観察やX線などによるプロファイル解析により観察および評価が行われています。また、得られた測定値を元に力学的性質の評価も行われています。その一方で転位の評価には様々な実験的な問題がつきまとい、手法や条件によらない定量評価が十分に出来ていません。そのような中、近年X線や中性子線のプロファイル解析により転位組織の定量評価が可能となったり、電子顕微鏡観察から新たなタイプの転位も見いだされたりしています。今回は金属材料における転位の電子顕微鏡観察、中性子線回折解析およびシミュレーションに関して基礎から最新の動向までの話題を提供していただきます。
主催 | 日本金属学会・日本鉄鋼協会 中国四国支部 | 共催 | 島根大学 たたらナノプロジェクトセンター | 日時 | 2015年6月27日(土)13:00~17:00 | 場所 | 島根大学 総合理工学部1号館1階11番教室 〒690-8504 島根県松江市西川津町1060 *建物の玄関は12:00~17:00の間のみ開錠されています。 |
プログラム
13:00~13:05 | 開会の挨拶 | 座長 島根大学 林 泰輔 | 13:05~14:15 | 「中性子その場回折で観る「転位の密度・配列・性格の加工硬化および回復・再結晶に伴う変化」の同定」
NIMS 友田 陽 講演内容: | 飛行時間法中性子回折で得られたプロファイルをCMWP法で解析すると、転位の平均密度、配列(組織)、性格に関する情報と個々の<hkl>結晶粒群の転位密度が同定される。例として、①焼入れマルテンサイト鋼、Si添加フェライト鋼とオーステナイト鋼の常温引張変形中、②オーステナイト鋼の高温変形中および変形後の加熱中(回復・再結晶)、および③変態途中のマルテンサイトとオーステナイトの解析結果を紹介する。 |
| 14:15~14:25 | 休憩 | 座長 島根大学 森戸 茂一 | 14:25~15:35 | 「電子顕微鏡を用いた転位挙動の直接観測」
島根大学 荒河 一渡 講演内容: | 本講演ではまず、電子顕微鏡による転位の結像についての基礎理論を述べる。次に、微小な転位ループ等を題材にとって転位挙動の電子顕微鏡直接観測の例を示す。 |
| 15:35~15:45 | 休憩 | 座長 島根大学 大槻 道夫 | 15:45~16:55 | 「離散転位動力学シミュレーションの基礎と非均質体への応用」
東京理科大学 高橋 昭如 講演内容: | 離散転位動力学は、個々の転位の動的な挙動を計算し、その転位の運動から巨視的な塑性変形を導く計算機シミュレーション手法である。本講演では、離散転位シミュレーションの基礎について紹介する。特に、非均質な材料中の転位シミュレーションの方法に注目し、離散転位動力学の金属の強化機構解析への応用について最新の研究の話題を交えながら紹介する。 |
| 16:55~17:00 | 閉会の挨拶 |
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