日本鉄鋼協会 東海支部では、下記の要領にて『湯川記念特別講演会』を開催致します。 物質・材料研究機構(NIMS) 長井氏から、NIMSにおける最新研究をご紹介頂くとともに、材料工学,構造材料研究の最近の事情と将来展望について、ご講演頂きます。 また、九州大学 西田氏から、進歩が著しい顕微技術によるナノ組織解析に基づく材料研究・開発について、Ti-Ni形状記憶合金を例に、ご講演頂きます。 今後の鉄鋼研究・開発の動向が見えてくるものと期待しております。 多数の皆様のご出席を賜りたく、ご案内申し上げます。
日時: | 2014年7月30日(水) 13:30 ~ 16:30 | 場所: | 愛知県 産業労働センター ウインクあいち 12階 1203会議室 別紙参照 |
講演会プログラム
13:30 ~ 13:35 | 開会の挨拶 |
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| 13:35 ~ 14:50 | (講演:60分, 質疑応答:15分) | 『材料工学,構造材料研究の曲がり角 -高い期待にどう応えるか』
長井 寿 氏
物質・材料研究機構 (NIMS)
ナノ材料科学環境拠点 拠点マネージャー(兼)構造材料研究拠点 拠点長
【概要】 専門性の領地に慣れ親しんでいると、外敵に攻め込まれて、段々と肩身が狭くなってきているように感じる。終には先祖代々からの伝統を竹やり一本で死守しながら果てるのが絶滅危惧種の末路かもしれない。だが、材料工学、構造材料という分野は不思議だ。自分たちは絶滅危惧種だと叫んでいても、他の分野からあなたたちにこそ頑張ってもらわなければ自分たちの未来はないと励まされる。なぜ、この認識のギャップが生じるのだろうか。担いでいる神輿が重すぎる。担ぎ手を狭めている。担ぐべき神輿は別にある。としたら、自分が悪い。日本学術会議材料工学委員会で、「科学・夢ロードマップ」「学部教育の参照基準」などの検討に携わり、材料工学の曲がり角を実感した。また、NIMSでは、構造材料研究拠点を立ち上げ、全国ネットワークのハブ機能を担おうと準備している。構造材料研究をどう展開すべきなのか。これらの最近の事情を紹介し、題目への答えを一緒に探りたい。 |
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| (14:50 ~ 15:10 休憩) |
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| 15:10 ~ 16:25 | (講演:60分, 質疑応答:15分) | 『形状記憶合金における熱弾性マルテンサイト変態の階層的組織解析』
西田 稔 氏
九州大学
大学院 総合理工学研究院 融合創造理工学部門 教授
【概要】 形状記憶合金の機能発現の素過程は熱弾性マルテンサイト(M)変態と、M変態によって形成される自己調整構造の外部応力による再配列である。自己調整構造とは、個々の晶癖面バリアントが互いの変態歪みを効率的に緩和できるように結合しあって構築される組織であり、原子レベルから結晶粒径程度のスケールに渡る階層構造を持っている。本講演ではTi-Ni形状記憶合金のM変態に伴う自己調整構造を、対象とするスケールが異なる様々な顕微技術によって観察・解析した結果を示し、鉄鋼材料の強化に利用される非熱弾性M変態との相違についても紹介する。 |
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| 16:25 ~ 16:30 | 閉会の挨拶 |
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