材料の組織と特性部会 「新型高温・強磁場中物性測定装置を用いた磁場中変態挙動の解明」フォーラム最終報告会
------------------------------------------------------------ 高橋先生概要: 金属磁性の示す種々の性質が、スピンゆらぎの影響を考慮することによってどのように理解できるかについて、理論の結果を実験結果と対比させながら説明する。理論に含まれる制約と、それを克服するための試みについても触れる。 藤居先生概要: fcc Co-Fe粒子がCu母相内に析出する過程で外部磁場を印加し、粒子形状変化を磁気トルク測定により検出した。磁場印加によって生じる形状変化を、界面エネルギー、弾性ひずみエネルギー、および静磁エネルギーの総和によって議論した。その結果、磁場印加方向に依存した粒子形状変化が説明できた。 及川先生概要: 最近では、第一原理計算が手軽に計算できるようになり、CALPHAD法で課題となっていた準安定状態の相の生成エネルギーを予測できるようになってきている。本発表では、第一原理計算をCALPHAD法に適用した状態図計算などを紹介する。 福田先生概要: Ni-5Co-36.5Mn-13.5In(at.%)合金におけるマルテンサイト変態のカイネティクスを磁場を用いて調査した。またF-Pd系磁性形状記憶合金において、巨大な弾性変形と弾性熱量効果が現れることを見出した。 岩井先生概要: 溶鋼中の介在物浮上速度は密度差が同一であったも、直径の2乗に比例する。すなわち、十分の一のサイズであれば浮上時間は100倍にもなってしまう。そこで、介在物同士を合体させる手法として電磁振動を提案する。具体的には、溶融金属に交流電磁場を印加したときの、金属内絶縁球の運動を解析した。 廣田先生概要: 高勾配磁場による高磁気力環境では反磁性物質に作用する重力の影響を磁気力により軽減することができる。このような場でタンパク質の結晶生成を行なうと、品質が向上する例が知られる。そこで、高磁気力発生タイプの超伝導磁石と、その内部で結晶生成過程を可視化できる光学系を組み合わせることで高効率で高品位のタンパク質結晶を生成しようとする装置をJST先端計測機器開発プログラムの支援により開発した。当日は本開発に関して紹介したい。 大塚概要: bcc-FeにC,N,Bなどの侵入型元素が添加された場合のエネルギー、軸比、磁気モーメントを第一原理計算により求めた。Fe-C,Fe-N系のbcc-Feの軸比は実験値と非常によく一致する。Cは八面体位置に入り、c軸に優先配向し、磁気モーメントは増加する。 |