協賛(50音順):(社)化学工学会、環境資源工学会、(社)計測自動制御学会、(社)資源・素材学会、(社)セメント協会、(予定)鐵鋼スラグ協会、(社)電気学会、(社)土木学会、(社)日本機械学会、(社)日本技術士会、(社)日本金属学会、(社)日本建築学会、日本鉱業協会、(社)日本材料学会、(社)日本塑性加工学会、(社)日本熱処理技術協会、(社)日本分析化学会、(社)腐食防食協会、普通鋼電炉工業会、(独)物質・材料研究機構、(社)溶接学会 講座の視点: 鉄鋼スラグは、古くからセメント原料や路盤材などに有効活用され、製鋼ダスト、特に電炉ダストについても、亜鉛原料として回生利用されている。さらに、循環型社会への対応と資源保護の観点からも、従来の利材化に加え、新たなスラグ製品の開発や、ダストの鉄源としての資源化技術も進められている。 一方、近年の環境政策による、造滓材としての蛍石の使用制限など課題もあり、これらの解決を目指して、ここ数年新たに研究されたスラグ機能や開発された技術も多く、スラグ・ダストの新展開が期待されている。 本講座においては、スラグ、ダストをめぐる状況を整理した上で、これらの鉄鋼製造副生成物のユーザーにおける使われ方と、鉄鋼サイドへの要望について解説して頂くとともに、近年の開発技術を講演いただき、スラグ、ダスト技術の今後の新たな展開を示す。 |
1.期日・場所: 第205回 2011年 6月15日(水) 9:30~16:50 早稲田大学 西早稲田キャンパス 63号館大会議室
第206回 2011年 6月24日(金) 9:30~16:50 神 戸 三宮研修センター 会議室(神戸市中央区八幡通4-2-12 TEL.078-232-0081)
2.プログラム: 9:30~10:30 【基調講演】鉄鋼スラグの機能向上と有効利用の技術発展と課題 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 物質系専攻 教授 月橋 文孝 10:30~11:30 鉄鋼スラグの有効利用の状況 新日本製鐵㈱ スラグ・セメント事業推進部 部長 中川 雅夫 11:30~12:30 セメント産業と高炉スラグ 社団法人セメント協会 生産・環境部門 統括リーダー 細谷 俊夫 13:30~14:30 【基調講演】電炉ダスト処理の課題と役割 東北大学 大学院環境科学研究科 環境科学専攻 教授 長坂 徹也 14:50~15:50 ダスト・スラッジの再資源化 ㈱神戸製鋼所 新鉄源本部 開発部 専門部長 田中 英年 15:50~16:50 電気炉ダストからの亜鉛の回収 ㈱四阪製錬所 代表取締役社長 日下部 武
3.事前申込み: 不要
4.参加費(税込み): 会員(含協賛団体個人会員) 8,000円、一般 15,000円、学生会員 1,000円、学生非会員 2,000円 ※参加者には講演テキスト1冊を無料でさしあげます。なお、当日入会の申込をし、会費と入会金(正会員5,800円、シニア会員3,300円、準会員2,400円、学生会員1,500円)をお支払いいただいた方は、会員参加費または学生会員参加費で参加できます。 ※会員割引は個人の会員のみ有効です。受付で本会あるいは協賛学協会の会員証をご提示下さい。 ★テキストは、最終講座終了後(2011年6月27日以降)残部がある場合、鉄鋼協会会員8,000円、一般15,000円で販売いたします。テキスト購入のお申込みは、本会の販売委託先である(株)OCSへ直接ご連絡下さい。 (株)OCS 連絡先:TEL.03-5476-8108 FAX.03-5476-5860 E-mail:subsales@ocs.co.jp 〒108-8701 東京都港区芝浦2-9-13 問合せ先: (社)日本鉄鋼協会 学会・生産技術部門事務局 育成グループ 植田、内田 〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-2 新倉ビル2階 TEL.03-5209-7014 FAX.03-3257-1110 E-mail:educact@isij.or.jp |
[講演概要] 1)【基調講演】鉄鋼スラグの機能向上と有効利用の技術発展と課題 (東大・月橋文孝) 鉄鋼スラグの精錬能の向上は常に求められている重要な課題であるが、近年の環境問題による炭酸ガス発生量の抑制、フッ化物の使用制限、スラグ発生量の削減などの環境条件の制約から、精錬能だけでなくスラグ機能の向上も求められている。また、資源の有効利用と循環型社会の構築の観点から、スラグのこれまで以上のリサイクル活用が望まれており、種々のスラグの利用開発が行われている。本講座では、この10年のスラグの高精錬能化、高機能化の研究・開発について概観し、最近の動向を説明する。さらに、スラグの資源化、利用に関する研究・技術の発展状況、今後の課題について述べる。
2)鉄鋼スラグの有効利用の状況 (新日鐵・中川雅夫) 鉄鋼スラグは、日本国内で年間約4千万トンが生成される鉄鋼副産物であり、循環資源の有効利用促進の観点から、セメント・コンクリート材料、道路用路盤材、土工事用材料としての公認化技術開発が行われ、広く建設工事に適用されてきた。本講座では、鉄鋼スラグ製品の利用現況とこれまでの土木用資材への公認化技術開発の取組事例をのべるとともに、昨今の社会環境の変化による課題、ならびに、新たな市場拡大への期待が高まっている港湾・海域分野への利用技術開発の状況と今後の展望について紹介する。
3)セメント産業と高炉スラグ (セメント協会・細谷俊夫) セメント産業においては、スラグ、スラッジ等多くの種類の廃棄物・副産物を受入れて、熱エネルギー代替やセメント原料の一部などに有効活用している。本講座では、その一環としての鉄鋼スラグの有効活用や、高炉水砕スラグの混合セメントにおける混合材としての利用も含め、これら廃棄物・副産物等のセメント業界におけるリサイクルについて、その現状と課題について解説する。また、セメント産業がエネルギー多消費産業であり、二酸化炭素排出の多い産業である点からも、セメント業界の地球温暖化対策の観点なども含めて、セメントの基本的な製造工程や、近年の熱エネ ルギー代替や原料代替としての廃棄物・副産物活用推移などを紹介する。
4)【基調講演】電炉ダスト処理の課題と役割 (東北大・長坂徹也) 電炉ダストは使用済亜鉛メッキ鋼板由来の亜鉛が20%前後含まれており、この亜鉛は、ダストの中間処理、製・精錬プロセスによりリサイクルされている。しかしながら、電炉製鋼プロセスがほぼ唯一の亜鉛リサイクルルートとして機能している一方で、ダスト処理費は電炉メーカーの大きな負担になっているのが現状である。このようなダスト処理問題は、程度の差はあっても先進国共通の課題である。本講座では、我が国を含む世界の電炉ダスト処理の現状と課題を解説すると共に、筆者が行っているダスト処理に関する産発プロジェクトの研究成果を中心に、新しいダスト処理技術の開発状況と、将来的に電炉製鋼プロセスおよび電炉ダストが果たすべき役割について述べる。
5)ダスト・スラッジの再資源化 (神鋼・田中英年) 最近の環境対策の拡充に伴い、製鉄業から発生するダスト・スラッジ類は年々増加傾向にある。これらダスト・スラッジ類には亜鉛、鉛、鉄等の有価金属を含んでおり貴重な2次資源であり、資源価格が高騰する中、製鉄各社は資源リサイクルによるコスト削減とゼロエミッション化を進めている。本講座では、ダスト・スラッジ処理技術の歴史を振り返ると共に、最近の実機化、技術革新の状況について、さらには今後の展望について報告する。
6)電気炉ダストからの亜鉛の回収 (四阪製錬所・日下部 武) 現在、国内で発生している製鋼ダストには25%前後の亜鉛が含まれており、重要な亜鉛資源の1つとなっている。住友金属鉱山(株)グループでは、四阪工場において1977年にこの製鋼ダストからの亜鉛回収・粗酸化亜鉛製造事業を開始し、現在では製鋼ダストの処理能力をほぼ120千dt/yまで増強して播磨事業所(ISP亜鉛製錬所)へ約40千dt/yのリサイクル粗酸化亜鉛原料の供給を行なっている。本講座では、亜鉛業界における資源フローの現状と、当社亜鉛回収事業の概要について解説する。
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