協賛(50音順):(社)化学工学会、(社)計測自動制御学会、(社)資源・素材学会、(社)電気学会、(社)土木学会、(社)日本機械学会、(社)日本技術士会、(社)日本金属学会、(社)日本建築学会、(社)日本工学会、(社)日本材料学会、(社)日本塑性加工学会、(社)日本熱処理技術協会、(社)日本プラントメンテナンス協会、(社)日本分析化学会、日本メンテナンス工業会、(社)日本ロボット工業会、(社)腐食防食協会、(独)物質・材料研究機構、(社)溶接学会 講座の視点: 近年、鋼板の品質・特性は著しく進歩しているが、さらに高強度・高機能の鋼板が強く求められている。このような社会需要に応えるため、鉄鋼業界を挙げて日夜技術開発が行われている。高性能鋼板の製造には、製造プロセス技術と組織制御技術の進歩が不可欠である。どちらか一方の技術進歩のみでは高性能鋼板を社会に提供することは不可能である。 この度、西山記念技術講座は最近の鋼板製造プロセス技術、および組織制御技術の進歩を振り返り、今後の展望に言及する講座を企画した。すなわち、第一回を鋼板製造プロセス技術の視点から(第207・208回西山記念技術講座)、第二回を鉄鋼材料の組織制御技術の視点から(第209・210回西山記念技術講座)、最近の技術進歩と今後の展望をそれぞれ述べる。 今回ご案内する第一回の講座は、連続鋳造、熱間・冷間圧延、厚板製造などの連続鋳造工程以降の鋼板製造プロセスに関して開催する。設備技術の視点、各工程における鋼板品質向上の状況を踏まえ、これまでの約10年間の技術的進捗をとりまとめ、今後の技術的課題、将来展望を述べる。また、海外ミルとの競争力について分析・講演する。 |
1.期日・場所: 第207回 2011年11月10日(木) 9:30~17:00 受付時間:8:45~16:00 東 京 東京電機大学 7号館1階丹羽ホール (東京都千代田区神田錦町2-2 TEL.03-5280-3405(代))
第208回 2011年11月17日(木) 9:30~17:00 受付時間:8:45~16:00 神 戸 三宮研修センター 会議室※ (神戸市中央区八幡通4-2-12 TEL.078-232-0081) ※会議室へはエレベータの他、階段もご利用下さい。
2.プログラム: ※講演の概要はタイトルをクリックすると見ることができます。 司会者:藤田 文夫(東北大学) 9:30~10:30 鋼材高級化へ向けた鋳造技術の進歩と今後の展望 新日本製鐵㈱ 技術開発本部 フェロー 上島 良之 10:30~11:30 圧延理論の進歩と今後の展望 東京大学 生産技術研究所 第2部 教授 柳本 潤 司会者:柳本 潤(東京大学) 12:30~13:20 厚板製造技術の進歩と今後の展望 住友金属工業㈱ 鹿島製鉄所 厚板部 厚板技術室 室長 矢澤 武男 13:20~14:10 熱間圧延技術の進歩と今後の展望 新日本製鐵㈱ 技術開発本部 フェロー 小川 茂 14:10~15:00 冷間圧延および連続熱処理の進歩と今後の展望 JFEスチール㈱スチール研究所 圧延・加工プロセス研究部 部長 蛭田 敏樹 司会者:小川 茂(新日本製鐵) 15:20~16:10 圧延機械設備の進歩と今後の展望 三菱日立製鉄機械㈱ 技術開発部 研究開発室 主幹技師 古元 秀昭 16:10~17:00 圧延電機計装設備の進歩と今後の展望 東芝三菱電機産業システム㈱ 産業第二システム事業部 プロセス制御研究開発センター センター長 告野 昌史
3.事前申込み: 不要
4.参加費(税込み): 会員(含協賛団体個人会員) 8,000円、一般 15,000円、学生会員 1,000円、学生非会員 2,000円 ※参加者には講演テキスト1冊を無料でさしあげます。なお、当日入会の申込をし、会費と入会金(正会員10,700円、 シニア会員5,800円、準会員4,900円、学生会員3,000円)をお支払いいただいた方は、会員参加費または学生会員参加費で参加できます。 ※会員割引は個人の会員のみ有効です。受付で本会あるいは協賛学協会の会員証をご提示下さい。 ★テキストは、最終講座終了後(2011年11月20日以降)残部がある場合、鉄鋼協会会員8,000円、一般15,000円で販売いたします。 終了後のテキスト購入のお申込みは、本会の販売委託先である(株)OCSへ直接ご連絡下さい。 (株)OCS 連絡先:TEL.03-5476-8108 FAX.03-5476-5860 E-mail:subsales@ocs.co.jp 〒108-8701 東京都港区芝浦2-9-13 問合せ先: (社)日本鉄鋼協会 学会・生産技術部門事務局 育成グループ 植田 〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-2 新倉ビル2階 TEL.03-5209-7014 FAX.03-3257-1110 E-mail:educact@isij.or.jp |
[講演概要] 1)鋼材高級化へ向けた鋳造技術の進歩と今後の展望 (新日鐵・上島良之) 要求仕様と品質が厳格化する中で、製品欠陥となる鋳造段階の割れ、介在物、中心偏析を低減して高品質の鋼材を高い生産性で安定して製造する鋳造技術を開発することは、今後、製品競争力を維持向上するためにますます重要になると思われる。本講座では、これらの鋳造欠陥の問題を解決するために開発された技術、即ち、タンディシュの溶鋼汚染防止技術、モールドの均一抜熱技術、介在物侵入低減技術、2次冷却帯の割れ防止技術、中心偏析低減技術などを概説し、今後の課題を述べる。
2)圧延理論の進歩と今後の展望 (東大・柳本 潤) 圧延理論は圧延技術開発には欠かせぬ要素とされており、長らく研究開発なされてきた。初等理論に基づく2次元圧延理論は今でも圧延技術開発の場で多用されている。1980年代以後は有限要素法に基づく数値シミュレーションが圧延にも取り入れられ、数々の3次元圧延変形の解析が試みられてきた。本講座では、初等理論から有限要素法へと連なる圧延理論研究開発を振り返り、理論やシミュレーションの構成と基礎式、ならびに2次元圧延解析、3次元圧延解析(薄板材圧延、棒線材圧延、形材圧延、管材圧延)への適用事例について紹介する。また、圧延プロセスシミュレーションをもとにした、内部組織の予測手法についても紹介する。
3)厚板製造技術の進歩と今後の展望 (住金・矢澤武男) 造船、エネルギー関連製品を中心とした旺盛な厚板重要に対応するため、韓国、中国を筆頭に世界中で厚板工場の新設、増強が行われている。そのような環境の中、日本の厚板ミルが生き残るためには、製造ハードルの高いハイエンド商品を如何に効率的に安価に製造するかが重要な課題となっている。本講座では、ハイエンド品の造り込みに関する製造技術に焦点を絞り、最新の高精度圧延、TMCP技術を紹介するとともに、今後の進むべき技術動向について展望する。
4)熱間圧延技術の進歩と今後の展望 (新日鐵・小川 茂) 薄鋼板の熱間圧延技術、すなわちホットストリップ圧延技術に話題を限定する、ホットストリップ圧延工程は、言うまでもなく各種圧延工程の中で最も生産性が高く、一貫製鉄所の中でも物流の大半が本工程を経由する基幹プロセスと位置づけられている。したがって多くの圧延技術開発の努力が本工程を対象としてなされてきており、これらの新技術の既存工場への横展開も活発に行われているため、我が国のホットストリップ圧延工場には世界初の技術が数多く採用されてきている。本講演では、主として我が国で開発されたホットストリップ圧延技術(熱延技術)にスポットを当て、熱間圧延技術の動向と今後の展開について考察する。
5)冷間圧延および連続熱処理の進歩と今後の展望 (JFE・蛭田敏樹) 地球温暖化防止のための二酸化炭素低減方策のひとつに自動車の軽量化が有効であることは周知のとおりであり、自動車部材への高強度薄鋼板の採用が進んでいる。一方で、薄鋼板の冷間圧延機は連続化、高速化、大型化のハード面、高精度の板厚制御、形状制御のソフト面の両面から高生産性と高品質を両立する設備へと進化してきたが、最近の高強度薄鋼板圧延時には高荷重、形状制御性などの技術課題も指摘されている。本講座では、これら課題を踏まえながら、ここ10年の連続熱処理を含む冷間圧延プロセス技術、冷延設備の動向と今後の課題および将来展望を紹介する。
6)圧延機械設備の進歩と今後の展望 (三菱日立・古元秀昭) 圧延設備はこれまでに種々の新方式圧延機が考案され実用化がなされ、その後の生産性向上や品質向上などのニーズに対応して進歩を続けている。1970年代から1980年代にかけては新方式の板形状・板クラウン制御用圧延機が考案され国内で実機に適用されてきた。熱延分野では、板幅方向のロール間隙分布を幾何学的に変えることで大きな板クラウン制御能力を有する圧延機としてペアクロスミルが、冷延分野では圧延荷重が変わっても板形状が変わらない横剛性無限大に近い特性を有するHCミルが広く採用されている。1990年代後半から国内の設備改造および新設案件は急激に減少したが、海外では新設の動きが活発に展開されてきた。本講座では、1990年代後半から現在に至る圧延設備の進歩を整理し、新技術を含めた圧延機械設備の今後を展望する。
7)圧延電機計装設備の進歩と今後の展望(TMEIC・告野昌史) 近年、圧延プラントにおける電機計装技術では、プラント制御以外の社会的な要請による技術開発が波及し、交流可変速制御、高速・大容量伝送装置、大規模データ処理、誘導加熱技術、省エネ・環境最適化などを始め、広範かつ多様な分野において、要素技術の開発と実機適用が進んでいる。本講座では、要素技術ごとに、開発の要点をまとめるとともに、ケーススタディとして、最近の新設圧延設備を例として、それらの適用状況を報告するとともに、今後の展開についても考えてみたい。 |