協賛(50音順): (社)化学工学会、(社)火力原子力発電技術協会、(社)計測自動制御学会、鋼管杭・鋼矢板技術協会、(社)資源・素材学会、(社)地盤工学会、石油技術協会、(社)電気学会、(社)土木学会、(社)日本ガス協会、(社)日本機械学会、(社)日本技術士会、(社)日本金属学会、(社)日本建築学会、(社)日本鋼構造協会、日本材料科学会、(社)日本材料学会、(社)日本塑性加工学会、(社)日本熱処理技術協会、(社)日本非破壊検査協会、(社)日本分析化学会、(社)腐食防食協会、(独)物質・材料研究機構、(社)溶接学会 |
講座の視点: エネルギー産業、自動車産業、建築土木産業を始め、多岐に渡る分野で社会を支えている鋼管製品について、平成11年に開催された第171・172回西山記念技術講座では、市場の要求に応える鋼管製品と技術と銘打ち、各鋼管品種・製品毎の、各種製管技術開発の背景と今後の動向について開設した。その後10年が経過し、世界はBRICsを中心とした新たな経済成長の時代に向かいつつあり一層の需要拡大が今後期待される中、一方では低炭素社会の構築・環境負荷の低減、市場のグローバル化に伴う低コスト化などにより、鋼管に対する要求もさらに高級化・高機能化へと動いている。本講座では、このような変化の時代における現状の鋼管の製造技術と今後の動向、また鋼管の2次加工、破壊形態の最新の研究も併せて解説する。 |
1.期日・場所: 第201回 2010年 6月 4日(金) 9:30~16:50 東 京 東京電機大学 7号館1階丹羽ホール(東京都千代田区神田錦町2-2 TEL.03-5280-3405(代))
第202回 2010年 6月18日(金) 9:30~16:50 神 戸 西山記念会館 大ホール(神戸市中央区脇浜町3-4-16 TEL.078-221-1746(事務室))
2.プログラム: ※講演の概要はタイトルをクリックすると見ることができます。 9:30~10:30 鋼管における破壊の形態とその制御について 東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻教授 粟飯原周二 10:30~11:30 鋼管製造プロセス技術と利用技術の研究 香川大学工学部知能機械システム工学科教授 三原 豊 12:30~13:30 継目無鋼管(熱間)の製造技術の進歩 住友金属工業㈱鋼管カンパニー鋼管事業所鋼管製造部部長 中島 一博 13:30~14:30 電縫鋼管・鍛接鋼管の製造技術の進歩 JFEスチール㈱東日本製鉄所(京浜地区)溶接管部部長 西田 保夫 14:50~15:50 大径鋼管(UO,SP)の製造技術の進歩 新日本製鐵㈱鉄鋼研究所鋼材第二研究部主幹研究員 朝日 均 15:50~16:50 鋼管の非破壊検査技術の進展と今後の展望 JFEスチール㈱スチール研究所計測制御研究部主任研究員(副部長) 飯塚 幸理
3.事前申込み: 不要
4.参加費(税込み): 会員(含協賛団体個人会員) 6,000円、一般 12,000円、学生会員 1,000円、学生非会員 2,000円 ※参加者には講演テキスト1冊を無料でさしあげます。なお、当日入会の申込をし、会費と入会金(正会員5,800円、 シニア会員3,300円、準会員2,400円、学生会員1,500円)をお支払いいただいた方は、会員参加費または 学生会員参加費で参加できます。 ※会員割引は個人の会員のみ有効です。受付で本会あるいは協賛団体の会員証をご提示下さい。 ★テキストは、最終講座終了後(2010年6月21日以降)残部がある場合、会員6,000円、一般12,000円で販売 いたします。 テキスト購入のお申込みは、本会の販売委託先である海外新聞普及(株)へ直接ご連絡下さい。 海外新聞普及(株) 連絡先:TEL.03-5476-8108 FAX.03-5476-5860 E-mail:subsales@ocs.co.jp 〒108-8701 東京都港区芝浦2-9-13 問合せ先: (社)日本鉄鋼協会 学会・生産技術部門事務局 育成グループ 植田、内田 〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-2 新倉ビル2階 TEL.03-5209-7014 FAX.03-3257-1110 E-mail:educact@isij.or.jp |
[講演概要] 1)鋼管における破壊の形態とその制御について (東大・粟飯原周二) 鋼管の使用環境の多様化と苛酷化に伴い、脆性破壊、延性破壊、疲労破壊をはじめとして考慮すべき破壊形態の多様化が進み、要求される特性も厳格化している。ガス輸送パイプラインでは、高圧化、低温域での使用、大歪下での使用等の趨勢に対して、鋼管特性の向上と破壊防止設計について解決すべき課題が多い。本講座では、エネルギー輸送パイプラインで使用される鋼管を中心として、延性破壊と脆性破壊について、破壊のミクロ挙動と組織制御による特性向上について解説するとともに、不安定破壊を防止するための破壊力学的手法について最近の知見を報告する。
2)鋼管製造プロセス技術と利用技術の研究 (香川大・三原 豊) ここ10年、鋼管の製造、利用を取り巻く環境(自動車、油井、ラインパイプなど)は変化してきた。この変化に従い、研究されるテーマ、発表される論文もその動向に適合しながら変遷してきた。自動車においては、地球環境、衝突安全性確保の課題が中心となり、これに関連した電縫管のチューブハイドロ成形技術や超高強度鋼管などの利用技術、特性評価法などの研究が盛んに行われてきた。また、ラインパイプではサハリンからのパイプラインをターゲットに種々の高強度鋼の開発がなされてきた。また、油井関係では前半の8年間はあまり変化が見られなかったが、ここ2年間における原油価格の急激な変化は、次の設備化を見た技術開発を誘発するものと考えられる。 本講座では、これらの動向を概観し、それ等とともに発展してきた研究の変遷を解説する。
3)継目無鋼管(熱間)の製造技術の進歩 (住金・中島一博) 近年、BRIC’sの経済成長を背景とするエネルギー需要の拡大は、油田・ガス田の活発な開発を生み出し、これに伴って、油井管、ラインパイプを主体とした継目無鋼管の需要全体が急拡大している。また、エネルギー需要の拡大は、過酷な環境下での油田・ガス田開発指向を加速し、耐食性能を有するステンレス継目無鋼管等の需要も拡大させている。継目無鋼管の需要拡大は、既設ミルのみならず世界的な新設ミル建設を促し3ロールマンドレルミルに代表される新型圧延機の導入が相次ぎ、継目無鋼管製造方法の変革が起きている。本講座では、熱間圧延プロセスに内容を絞り継目無鋼管製造技術の変遷について紹介し、各々の製造方法の進歩について概説する。
4)電縫鋼管・鍛接鋼管の製造技術の進歩 (JFE・西田保夫) 電縫鋼管、鍛接鋼管の製造技術に関し、最近10年間に国内発表された技術情報を調査し、研究・技術・設備等の最近の進歩を系統的にとりまとめた。調査対象とした情報は日本鉄鋼協会、塑性加工学会、各社ホームページ・カタログ・技報、および特許情報等であり、設備・製造プロセス・品質等に分類してまとめた。開発された代表的な技術としては、①高強度・高延性電縫鋼管の製造技術、②電縫溶接現象の有限要素解析、③中径電縫管設備レベルアップ、④ラインパイプ用高強度高靭性電縫鋼管、等があるが、これらの技術は顧客からの新商品や高品質の要求に応えるためのものであり、いずれも世界最高レベルの技術である。近年、電縫鋼管製造ミルは海外に増設されてきたが、国内ミルは常に先行した技術開発により、国際競争力を維持していると言える。
5)大径鋼管(UO,SP)の製造技術の進歩 (新日鐵・朝日 均) 大径鋼管製造ミルは国内では長らく新設、大規模改造はされていないが、高性能化、高品質化のための開発、設備改造は行われてきている。一方、海外では、JCOE等の新製造方法も含めて大径管製造ミルが新設されている。国内UOミルは、自国内に市場を殆ど持たないが、継続的な海外ユーザーとの交流を通じて得たニーズを実現するため、製鋼、連続鋳造、厚板製造、鋼管製造の全ての工程での製造技術を高めてきた。高い特性が要求されるラインパイプ製造が上工程の製造技術を高めてきたとも言える。一方、SPミルは国内の土建用途として独自の発展を遂げてきているが、海外では高級ラインパイプへの適用も増えている。本講座では、市場の要求が上工程も含めた製造技術開発と鋼管製品開発を表裏一体のように進め、現在に至っていることを概説する。
6)鋼管の非破壊検査技術の進展と今後の展望 (JFE・飯塚幸理) 鋼管の非破壊検査技術は1950年代から工場への導入が始まり、センサデバイスや電子技術の発展と同期して高精度化、大規模化、高速化、システム化が図られ、1980年代には現在に至る検査設備の形が作り上げられた。今ではプロセスコンピュータとのネットワーク化も進み、検査情報は品質保証のみならず製品の作り込みにも欠かせない重要な役割を担っている。一方、鋼管用途の多様化・高度化により、検査精度のさらなる向上が要求される中、デジタル信号処理技術やアレイ技術の実用化が進展し、さらなる高度化も大いに期待される。本講座では、主に鋼管の製造時における非破壊検査技術について、超音波法、渦流法、漏洩磁束法などの概要を説明するとともに、近年の研究や新技術について紹介し、将来の展望を行う。
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