3.プログラム: |
13:00~13:05 | 趣旨説明と挨拶 |
永田 和宏(東京芸術大学教授) |
13:05~13:40 | 日本鉄鋼業の辿ってきた道 |
徳田 昌則先生(東北大学名誉教授) |
内容:日本鉄鋼業の辿ってきた道を戦後復興期から高度成長期を経て、安定期の80年代までを、主に、技術を支えた人材や周辺企業の協力などの体制面から跡づけてみたい。 |
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13:40~14:15 | 鉄鋼業におけるエネルギー節約の歴史-石油危機以前 |
小堀 聡先生(名古屋大学経済学部准教授) |
内容:厳しい資源制約が存在した戦後復興期において、燃料原単位の改善は企業合理化上きわめて大きな柱の一つであり、なかでも鉄鋼業は顕著な成果を挙げた業種の代表格であった。高炉・平炉での原単位改善は1949年代末から急速に進展したのみならず、50年代半ばには国際比較でも欧米を凌駕する水準に既に到達していた。本報告はこの要因として熱管理に注目し、その発展過程を明らかにする。 |
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14:15~14:50 | 日本の製鉄技術発展の原動力 |
稲葉晉一氏((株)コベルコ科研技術顧問) |
内容:戦後日本の製鉄技術は欧米からの技術導入とその改善により基礎体力を養成した。その時点での技術レベルは海外情報と経験の蓄積の多寡であった。原燃料を海外に依存する日本の製鉄は生産効率を高める独自技術の開発に注力した。計測技術、解体調査に基づく高炉内現象の明確化、装入物分布制御技術およびこれらを有機的に結合して操業を制御するためのシミュレーションモデルがその代表である。これらの技術は学振54委を中核とした産・学協同による科学的裏付けと製銑部会を中心とする技術の実用化・共有化により世界をリードする高炉操業技術を確立した。 |
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15:00~15:35 | リムド鋼の1世紀 |
堀口 浩氏(元新日本製鐵(株)) |
内容:トーマス転炉により低炭素鋼の工業生産が可能となり、そのリムド鋼塊がブリキに使われてからそのブリキが連鋳片に置き換わるまで100年が経過しました。その間わが国の精錬工程は塩基性平炉から酸素上吹き転炉と取鍋精錬へ、薄板圧延工程はプル・オーバー圧延から熱・冷間ストリップ圧延へと代わり、更に両工程を結ぶ圧延素材の製造工程は鋼塊の分塊圧延から連続鋳造へと進みました。以上の3工程について技術の経緯を考えます。 |
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15:35~16:10 | 精錬限界から見た鉄鋼精錬の展望 |
雀部 実先生(千葉工業大学教授) |
内容:高炉各社の協力を得て、高炉-転炉法による大量生産鋼中の不純物、C、S、P、O、N、H、の精錬限界濃度を1983、1992、1999年とほぼ10年おきに調査してきた。2009年にも同様の協力が得られた。この4回に渉る調査結果を示し、精錬限界濃度の時代による変遷を考察する。 |
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16:10~16:45 | 日本鉄鋼業の目指すべき方向に関する一考察 |
平岡 照祥氏(元新日本製鐵(株)) |
内容:中国鉄鋼業の驚異的な量的拡大と技術進歩により、我が国の鉄鋼業が近未来に急速に競争力を喪失する可能性がある。この事態を回避するための方策を模索し、可能なことから早急に着手すべきである。その道は、(1)現在の技術力、設備装備力を他国の手の届かない高みに磨き上げること、(2)次世代の新技術を模索すること、の二つがある。最初に、直ちに着手すべき具体的な方向を述べ、鋼材品質を「点の品質」、「総合品質」、「戦略的品質」の三つに分類してその考え方を明らかにする。次に、次世代の新技術に関して、現技術に対するアンチテーゼの重要性を述べ、思考のヒントの一つとする。 |
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16:45~17:00 | 総合討論 |