第158回秋季講演大会中に、評価・分析・解析部会集会を開催いたします。 部会集会として、下記のとおり特別講演会を開催いたしますので、お誘い合せの上、多数ご出席くださいますようご案内いたします。
1.日 時: | 2009年9月16日(水) 13:15~14:15 (内 講演は40分程度) | 2.場 所: | 第158回秋季講演大会 第18会場 (京都大学 吉田キャンパス 吉田南4号館 2階 4共24教室) | 3.特別講演会 1)講師:宗林 由樹 教授(京都大学化学研究所) 2)講演概要:「植物プランクトンは鉄の夢を見るか?」 単細胞生物である植物プランクトンは、海において光合成により有機物を生産する主役である。森林が形成される陸上と比べて、海における単位面積あたりの生物量(乾燥重量)は1000分の1にすぎない。しかし、植物プランクトンは日単位で増殖し、またほとんどすべての海域に分布しているため、世界の海の生物生産(生産される有機物の量)は陸上の約半分に達する。そのため、植物プランクトンは地球規模の炭素循環にも大きな役割を果たしている。近年、外洋においては、微量必須元素である鉄の不足が、植物プランクトンの生長を制限していることがわかった。さらに、鉄が不足している南極海に鉄を撒くことにより、植物プランクトンを増殖させ、ギガトン量の炭素を固定できる可能性が示された。このため、海洋の鉄の重要性がクローズアップされている1)。 しかし、外洋海水の鉄濃度はnmol/kg (~50 ppt)レベルという超微量である。その測定には、採水・前処理・定量操作を通して試料への鉄の汚染(コンタミネーション)を防ぐクリーン技術と、感度の高い分析法が必要である。また、鉄はその化学形によって生物学的効果が異なるが、海水中の化学形を明らかにすることはきわめて難しい。さらに、生物は鉄以外にもさまざまな微量元素を必要とする。 海洋の微量元素と生態系の相互作用を明らかにするため、我々はキレート吸着剤固相抽出-ICP質量分析法に基づく多元素分析法を開発し2)、海洋観測を行っている。本講演では、以上のような研究の背景、分析法、海洋観測の結果について概説する。
1)藤永太一郎監修,海と湖の化学-微量元素で探る、(京都大学学術出版会 2005) 2)Y. Sohrinet al.,Anal. Chem., 80, 6267(2008) |
問合せ先:
(社)日本鉄鋼協会 学会・生産技術部門事務局 太田千恵子 TEL:03-5209-7012 FAX:03-3257-1110 E-mail: ohta@isij.or.jp |
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