社会鉄鋼工学部会 安全・快適なシステム構築研究フォーラム 第15回公開セミナー「家電業界におけるThe Product Safety活動の仕組みと仕掛け」
「安全性」「経済性」「環境負荷性」「メンテナンス性」「信頼性」など一つ一つの課題の重要性はよく認識されてきていますが、これを一つの製品、あるいは一つの運行システムにとりまとめる設計や運営となるといろいろな苦労があります。また驚くような工夫で克服したりしています。今回は家電製品における先手の仕組みと仕掛けづくりに焦点を定めて企画しました。 家電製品無しの現代生活など想像できません。それほど広く深く生活に入り込んでいる製品であるため、メーカーにとっても消費者の安全確保の実現は早期より大きな課題として取り組んできました。それでも90年代に入る頃からの家電製品を取り巻く状況の変化は急激でした。経済グローバル化は激しい市場競争をもたらし、製造物責任法をはじめとして製造や販売条件を大きく変え始め、また地球環境問題の認識を契機にして提案された循環型社会という発想の大転換は単に省エネルギー、クリーンエネルギーの要求にとどまらず、安全のための考慮範囲の急速な拡大、情報提供・共有のあり方、組織のあり方、契約や基準・規格のあり方等々にも大きな転換が求められるようになりました。そのため家電業界では蓄積してきたこれまでの経験の上にこの新しい状況の意味を読み込み、総合的な製品安全を実現するための仕組みと仕掛けの体系的構築を目指し始め、21世紀を迎える段階には基礎レベルのものをまとめあげています(『The Product Safety…PS(製品安全)ガイドブック総集編』2001.5)。そのため近年の会社法改訂をはじめとする国内法や国際的なルール等々の大きな変化も、マンネリ化させない安全教育上の一つの切り口と悠々と受け止め、基礎的実力をより確かにしていくための一つの応用編として対応しています。今回はこうした家電業界の体系化に長年携わってこられた高杉和徳氏を講師にお迎えします。(株)東芝の製品安全の専門家として家電業界の製品安全の体系的構築にかかわり、2004年の退職後は製品安全コンサルタント活動を幅広く展開され、また2007年より(財)製品安全協会の嘱託としても調査・研究委員会業務に携わっていらっしゃいます。 事故対策も後手(再発防止)と先手(未然防止)では企業の負担も信用も大きく違ってきますが、安全を実現させる仕組み、仕掛けについても、後手と先手では企業の負担が大きく違うことを家電業界の実績は示しています。後手の対応から先手の対応に切り替えるコツやポイントについて学びたいと考えています。この種のテーマに関心のある方々、新しい時代の安全の図り方に関心のある方々の参加を歓迎いたします。
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