「システムもマニュアルもいいはずなのに、トラブルが無くならない」とか「ものづくりの本質と乖離したつまらない資料作成要求が増えて困る」など身近に問題の芽を感じてはいませんか? 安全を図る考え方自体がいま大きく変化しています。従来通りの対策の他に、現代的要請、すなわち良くも悪くも地球規模での調整が必要な時代となり、科学技術文明の存続をかけての軌道修正も明確に求められてきているからです。「安全vs.経済」や「環境や保全vs.開発」の対立的発想ではなく、広く綜合的視野で、合理的で説得力ある調和的なルールをつくって解決しようとする要請が強まり、事故自体の評価は勿論、その解決法自体の評価法も変化しようとしています。言い換えると、別々のセクションでそれぞれが対応してきた従来型の発想では上手に対応しかねる基礎的課題も抱えているということでもあります。本フォーラムは新時代の要請に上手に適応していくための方法に関心の焦点があり、セミナー等を企画し、知恵を出し合い、スムーズな転換に貢献したいと考えています。 今回はJR東日本の事例を取り上げます。業種の見掛けの特徴からは鉄鋼業とは対照的ですが、しかし技術力、品質力の世界的評価では、むしろ良く似た特徴をもち、抱える課題にも共通性があります。そのため鉄道の話が直接のきっかけですが、鉄鋼産業の話として翻訳しつつ聞いてもらい、議論してもらいたいと考えています。 「安全性」「経済性」「環境負荷性」「メンテナンス性」「信頼性」など一つ一つの課題の重要性はよく認識されてきていますし、各々専門部署をも用意して対応してきたことも多いのですが、現代ではこれを一つの製品、あるいは一つの企業内施設・システムにとりまとめる設計や運営に関する国際規格はいま徐々にその数を増やしています。IEC(国際電気標準会議)では、たとえば、鉄道システムがその代表規格ともいえます。その背後にEU域内の一貫した国際列車運行ネットワーク構築の動機があります。鉄道システムは永らく、技術も安全運行思想も各国各様に発展してきたからです。事実、日本の鉄道システムも、高い技術力と安全実績を誇っていますが、欧米と異なる点が少なくありません。したがって集積されたドキュメント類にも違いがあります。しかしWTO/TBT条約成立の1995年以降、国際規格の意味と影響力は大きく変化し、全ての産業分野でその対応が求められています。キャッチアップの技術等はともかく、世界に誇る技術力や安全実績を持つ分野ほど、自らの技術や安全思想を他者に説得できる論理を持つことが欠かせない状況です。 今回はJR東日本の鉄道信号システムをデジタルATCシステムに切り替える開発研究に携わり、その間に、鉄道システムを対象とした、IECのRAMS(信頼性、可用性、保守性、安全性)規格(EN規格が原案)を意識して、両者の共通点や相違点の研究も同時になさってきた田代維史先生を講師にお迎えします。先生は国際規格化の国際会議にも数多く出席し、今後のあり方についてもいろいろなお考えをお持ちです。こうしたご経験を通じて、鉄鋼産業活動においても国際規格レベルを踏まえるのは当然のこととして、さらに欧米とは発想を異にした技術や安全確保思想の日本的経験やデータを活かす"安全・快適なシステム構築"にご提案やヒントを頂きながら今何が必要かの議論をしていきたいと計画しました。そこで、今回はあるいは広く総合的なリスクマネジメント、リスクアセスメントに係る方々、安全対策に係る方々の参加を期待しておりますが、特に鉄鋼産業部門で電気電子系制御に係る方々の参加も期待しております。共通課題も見え易いからです。参加の皆様とご一緒に21世紀型にふさわしい「安全で快適なシステム構築」について考えていきたいと願っております。 |
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1.日 時: | 2008年6月27日(金) 13:10~17:00 |
2.場 所: | (社)日本鉄鋼協会 第1会議室 〒101-0048 東京都千代田区神田司町2-2 新倉ビル2階 TEL:03-5209-7013 / FAX:03-3257-1110 |
3.交 通: | JR神田駅北口より徒歩5分、営団地下鉄銀座線神田駅4番出口より徒歩5分、 営団地下鉄丸の内線淡路町駅・都営地下鉄新宿線小川町駅A2出口より徒歩5分 |
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4.プログラム |
13:10 ~13:15 | 開会の挨拶と講師ご紹介 |
辛島恵美子(安全学研究所) |
13:15 ~15:00 | 施設整備としての電気電子制御系進化の方向性と課題…鉄道信号システム開発経験からみた日本流と国際流の比較から |
田代維史(独行:交通安全環境研究所) |
15:00 ~15:15 | 休憩 |
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15:15~17:00 | 質疑応答・総合討論 |
司会 田中眞一(財団法人研友社顧問) |
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5.定 員: | 25名 (参加費無料) |
6.参加申込み方法: |
| 参加ご希望の方は事前にホームページまたはFAXで、ご所属・住所・電話番号・FAX・E-Mailアドレスを明記の上、6月23日(月)までに下記宛お申し込みください。 ※申込みは終了致しました。 |