計測・制御・システム工学部会 シンポジウム(制御技術部会共催) 「制御システムの解析・設計・運用へのモデルベーストアプローチ」
最近、モデルベースド制御または設計という言葉を、特に自動車関係の制御においてよく見かけます。制御対象だけでなく制御装置の詳細なモデルも計算機上に構築して、制御対象の設計も含めて制御系全体の性能をチューニングする手法のようです。また、制御対象モデルを制御対象そのものに置き換えて実験をすることもおこなわれています。鉄鋼プロセス制御の調整もモデルに基づいていますが、何か大きくやり方が違うように思えます。 今回のシンポジウムでは、他業種での最新の制御系設計・調整の方法を紹介していただき、鉄鋼業にかかわる制御技術者および研究者を中心とする聴講者の方々と、自分たちの仕事のやり方と比較してもらいながら議論を進めます。
(茨城県日立市幸町1-20-3 TEL:0294-22-5531)
13:00~13:05 開会の挨拶とシンポジウム趣旨説明 13:05~13:50 モデルに基づくエンジン制御系の解析と設計 自動車エンジンは非線形性と無駄時間特性を伴う連続ダイナミックスと離散事象が混在する制御対象である。従来その制御はモデルに依存しない単純なフィードバック制御やマッピングなどオープンループ制御が主であったが、より高精度の制御性能実現と制御系開発の高効率化のためにモデルベースの設計・解析手法が注目されている。 本講演では研究例を交えながらモデルに基づくエンジン制御系の設計及び解析の基本を紹介する。 13:50~14:35 ゲインスケジュールドH∞制御によるロックアップクラッチのロバスト制御 平田光男(宇都宮大) 本講演では、燃費向上のためにAT車で用いられているロックアップクラッチのゲインスケジュールドH∞制御系設計を紹介する。制御対象の変動がトルクコンバータの出力軸回転速度と強い相関があることに着目し、それをスケジューリングパラメータとして制御系設計を行った。設計法の詳細手順とともに、実車実験の結果もあわせて紹介する。 14:45~15:30 トラッキング・シミュレータによるプラントの運転革新 大谷哲也(横河電機) プラントの設計や解析において、シミュレータを活用する機会が増えているが、オンラインで活用した例は少ない。実データへの合わせ込み機能を持つオンラインのダイナミックシミュレータをトラッキング・シミュレータと呼び、プラント内部の可視化、未来予測、異常の早期発見などを実現してプラントの運転革新を目指す。 15:30~16:15 油圧ショベル開発におけるHILSの活用 油圧ショベルのエンジンポンプ制御システムの開発において、優れた省エネ性能・操作性・作業性能を実現するため、実際のエンジンとショベルシミュレーションを組合せた性能検証手法(HILS)を活用して効率良く機械設計を実施した事例を紹介する。 16:15~16:30 総合討論
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