(1)製銑コース |
テーマ「高出銑比操業下での原燃料品質設計と高炉安定操業技術」 |
世界的な鉄鋼需要を背景に原材料資源の欠乏、品質悪化は5000m3級の大型高炉を多数稼働させている国内企業においては、高生産安定操業を支える上で大きな課題である。一方で、炭酸ガス発生抑制への取り組みから、低還元材比操業のさらなる進展が期待されている。このような製銑分野の課題に対しては、高炉原料を造る側と使う側との意思疎通がこれまでにも増して重要となる。 本セミナーにおいては、標記テーマに基づき大型高炉での高生産安定操業に求められる高炉原料(コークス、焼結鉱、ペレット等)の品質設計と高炉での使い方、さらには高炉のどの部位で、どのような効果が発揮されうるのかなど、焼結、コークス、高炉各技術者のそれぞれの観点から討議を深め、各技術者のレベルアップを図る。 |
講 師 | 桑原 守(名古屋大学大学院工学研究科マテリアル理工学専攻教授) 松井 良行(㈱神戸製鋼所加古川製鉄所技術研究センター製銑研究開発室室長) |
アシスタント | 大野光一郎(九州大学大学院工学研究院材料工学部門助教) |
○宿 題(受講者の決定後、本人に連絡する) |
○講義1 | 「高炉内移動現象とそのモデル化」 | (桑原講師) |
○講義2 | 「高出銑操業における原燃料品質と高炉操業」 | (松井講師) |
○話題提供1 | 「浸炭現象に関する検討」 | (大野アシスタント) |
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(2)製鋼コース |
テーマ「高級鋼の高速高効率的精錬プロセス」 |
日本鉄鋼業の進むべき道として「高級鋼戦略」が明確に挙げられている。製鋼精錬技術から見ても1990年代に盛んであった高純度鋼の大量溶製技術の開発は一段落し、現在は製品特性から求められる品質の鋼を一貫製造する技術の確立が急務となっている。特に、高品質鋼を高速で効率的に精錬する技術は世界的に見ても類例が無く、操業ノウハウの蓄積とともに、新技術の開発・実用化が不可欠となっている。このためには、センシング技術やプロセス制御技術の開発に加えて、アクチュエーターの制御向上、自由度拡大が必要となる。 今回のセミナーでは、転炉、電炉、2次精錬、溶銑処理などの精錬プロセスにおけるアクチュエーターである、上(横)吹きガスジェット、底(横)吹きガスや電磁力による攪拌、フラックスや炭材のインジェクション、バーナーや電気による加熱、スラグフォーメーション等についての原理と、これらと精錬反応の関係についての理解を深めたい。また、現状を整理した上で、今後の方向性についての議論を進めたい。 |
講 師 | 北村 信也(東北大学多元物質科学研究所資源変換・再生研究センター教授) 岸本 康夫(JFEスチール㈱スチール研究所製鋼研究部長) |
アシスタント | 三木 貴博(東北大学大学院工学研究科金属フロンティア工学専攻助教) |
コメンテーター | 辻 幸一(大阪市立大学大学院工学研究科化学生物系専攻准教授) |
○宿 題(受講者の決定後、本人に連絡する) |
○講義1 | 「精錬反応効率向上のための基礎的考察」 | (北村講師) |
○講義2 | 「精錬アクチュエーターの現状と課題」 | (岸本講師) |
○話題提供1 | 「スウェーデンのLFにおける酸素活量の測定」 | (三木アシスタント) |
○話題提供2 | 「各種元素分析法の原理と特徴-特に蛍光X線元素分析について-」 | (辻コメンテーター) |
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(3)材料(圧延)コース |
テーマ「鋼の省合金設計を可能にする加工熱処理技術の再評価」 |
鋼の多種多様な特性は、成分設計(合金設計)と加工熱処理の組み合わせによって付与される。実用鋼の世界では、両者の相乗効果による特性向上を目的として最適条件が決められるケースと、製鋼技術などに起因する成分制約とプロセス機能の限界との相互補完を目的として最適条件が決められるケースがある。加工熱処理技術に関するエポックとしては、動的再結晶現象を活用した鋼の超微細粒化が実証されているが、合金設計に関しては、従来のメタラジーに基づく指導原理を打破する取り組みは少ない。当コースでは、近年の主要合金元素の驚異的な価格高騰に鑑み、鋼の省合金設計を可能にするブレークスルー技術の糸口を見出すことを目的として、加工熱処理技術の再評価と省合金設計とのシナジーについて、材料とプロセスの双方向から議論を深めたい。 |
講 師 | 東田 賢二(九州大学大学院工学研究院材料工学部門教授) 家口 浩(㈱コベルコ科研材料評価事業部担当部長) |
アシスタント コメンテーター | 宮本 吾郎(東北大学金属材料研究所高純度金属材料学部門助教) 遠藤 茂(JFEスチール㈱スチール研究所厚板・形鋼研究部副部長)
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宿 題(受講者の決定後、本人に連絡する) |
○講義1 | 「鉄鋼材料の強度・延性を支配する基本因子とメカニズム」 | (東田講師) |
○講義2 | 「自動車用特殊鋼の高強度化とその阻害要因」 | (家口講師) |
○話題提供1 | 「Mn,Si添加による焼もどしマルテンサイト鋼の高強度化」 | (宮本アシスタント) |
○話題提供2
| 「加工熱処理プロセスにおける至近の設備開発実用化状況(加速設備、オンライン加熱設備など)」 | (遠藤コメンテーター)
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(4)圧延(材料)コース |
テーマ「加工プロセスによる材質制御の可能性をさぐる」 |
材質に対する要求は留まるところを知らず、強度、成形性はもとより、それらのばらつきを精度良く制御することが必要になってきている。熱間薄板圧延では、圧延機の負荷を考慮した圧下率の各スタンドへの配分制御、材料特性を考慮した仕上がり温度の下限制御、厚板圧延では各パスの荷重、温度制御が行われている。また、冷間圧延の圧下率と焼鈍による集合組織制御が行われている。しかしながらこれらはポイント的な圧延条件の設定によるものであり、圧延条件を積極的に材質制御に用いる表立ったものとしては、微細結晶粒鋼の開発しかない。このような状況で、さらなる材質の高度化を達成するためには、主たるプロセス因子である圧延条件の設定に、材質制御の観点を導入することが必要ではないかと考えられる。本コースでは以上のような視点で、現状の圧延操業に何が足りないか、どのような研究開発によって問題を解決できるかを議論したい。 |
講 師 | 藤田 文夫(東北大学大学院工学研究科金属フロンティア工学専攻教授) 鳥塚 史郎((独)物質・材料研究機構材料信頼性センター材料創製・信頼性グループグループリーダー) |
アシスタント | 大森 俊洋(東北大学大学院工学研究科金属フロンティア工学専攻助教) |
○宿 題(受講者の決定後、本人に連絡する) |
○講義1 | 「圧延の限界とは」 | (藤田講師) |
○講義2 | 「塑性加工による組織の作り込みの可能性」 | (鳥塚講師) |
○話題提供1 | 「形状記憶合金の加工熱処理による集合組織形成と機能性制御」 | (大森アシスタント) |