社会鉄鋼工学部会 第8回公開セミナー「鉄鋼業における安全問題の推移と今後の課題」
「安全性」「経済性」「環境負荷性」「メンテナンス性」「信頼性」など一つ一つの課題の重要性はよく認識されてきていますが、これを一つの製品、あるいは一つの運行システムにとりまとめる設計や運営となるといろいろな苦労があります。また驚くような工夫で克服したりしています。これまでは主として交通問題からみてきましたが、今回はその応用の意味も兼ねて、こうした課題を働く現場に視点を移して考えてみたいと企画しました。労働災害、環境汚染問題を含む産業事故等は一時期大きな社会問題にまでなりましたが、関係者の様々な工夫と努力によって、事態は大きく改善され、事故の少ない安全で環境的にも良好な活動実績をあげるまでになりました。その結果、時間の推移とともに事故やトラブル経験のない人々が現場の多くを占める事態ともなり、かつての緊張感が薄らぎ、実際に大事故こそまだ少ないものの、小さな事故やトラブル件数は増えてきているようにもみえます。また社会でもトラブルの原因を最終現場の担当者に責任を負わせるような発想を止め、システム的志向に向かい出しています。その大きなきっかけは金融業界での経済的不祥事対策と従来の護送船団方式を改めるためでしたが、ものづくりに関わる業界においても21世紀型のシステム思考として安全で快適なシステムのあり方を今一度振り返って考え直す時期が迫ってきているようにもみえます。 講師には住友金属工業㈱人事労政部の福成雄三氏を迎え、鉄鋼業における安全問題がどのように推移していったのか、そして今後の課題は何なのかについてお話いただくことになりました。こうした課題に関心のある皆様とご一緒に21世紀型にふさわしい「安全で快適なシステム構築」について考えていきたいと願っております。特に材料開発、応用技術開発等々に関心の在る方、また安全管理、事故調査に関心のある方で、総合的なシステム的発想や考え方に関心のある方々の参加を歓迎します。
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