第57回白石記念講座 「磁場環境を利用した組織制御-凝固現象から固相変態まで-」
2.場所:東京電機大学 11号館17階大会議室(東京都千代田区神田錦町2-2 TEL:03-5280-3405(代)) 3.プログラム: ※講演の概要はタイトルをクリックすると見ることができます。
4.事前申込み: 不要
[講演概要] 1)強磁場が創る新しい材料プロセッシング (名大・浅井滋生) 材料電磁プロセス(EPM)の発展は、ローレンツ力利用を中心として鉄鋼プロセスの開発と密接に結びついて発展してきた。近年、無冷媒型超伝導マグネットの開発によりEPMは磁化力利用へと新しい広がりを見せている。磁場中磁化率測定による凝固および凝固後の固相変態挙動解析法、環境分野への展開として廃水のリンイオン処理法、溶湯の電磁バブル、結晶配向法等、EPMの新たなフェーズを紹介する。 2)強磁場環境を利用した凝固・析出組織制御 (阪大・安田秀幸) 精錬・凝固プロセスにおける電磁プロセスを理解するための、電磁気力などの基礎を概説し、電磁力を利用した凝固組織制御などを紹介する。さらに凝固後の組織の粗大化及び配向過程の磁場による制御とその機能デバイスへの応用について紹介する。 3)連続鋳造プロセスにおける電磁場利用技術 (新日鐵・藤健彦) 連続鋳造プロセスにおいては生産性と品質の向上が重要課題であり、クリーンな遠隔作用をもたらす電磁場の利用が盛んである。電磁場が有する加熱・攪拌・制動・成型等の機能の原理及び応用技術を紹介する。 4)電磁力を高度に利用した新規環境プロセスの開発 (東北大・谷口尚司) 電磁力の利用は、磁気分離などの環境プロセスへの応用にも広がりつつある。磁気分離など環境プロセスにおける電磁気力の利用について、その原理から応用例、例えば電磁気力を利用して溶けた金属中の夾雑物を取り除いたり、ゴミの中の多種金属を分別回収する方法などを紹介する。 5)粒界・界面設計制御(粒界工学)に基づく磁場中組織制御 (東北大・連川貞弘) 結晶粒界の性格を制御することにより材料の特性を制御できるが、このような粒界制御工学の手法の一つとして磁場による制御がある。磁場は材料の焼結挙動、偏析、拡散、界面移動や界面エネルギーに大きな影響を与える。このような磁場の影響についての基本的なメカニズムを明らかにするとともに、これらの現象を利用した新しい結晶粒界制御による材料プロセッシングの例を紹介する。 6)強磁場中拡散変態を利用した材料組織制御 (物材機構・大塚秀幸) 磁場は再結晶、析出、拡散変態、などに大きな影響を及ぼす。従って磁場印加によりこれらの相変態における核生成・成長速度、変態kinetics、変態組織が変化し、材料特性の改善や新材料の創製が可能になる。拡散型の相変態に及ぼす磁場の影響とその 基本的メカニズム、磁場による組織制御について講演する。 7)マルテンサイト変態に及ぼす磁場効果と巨大歪 (阪大・掛下知行) マルテンサイト変態は鉄鋼材料の組織制御に広く利用されている。マルテンサイト変態の制御は通常温度によって行われるが、磁場による制御も可能である。また、幾つかの強磁性形状記憶合金においては、磁場印加によりマルテンサイト相のバリアント配列を制御でき、数%もの巨大磁場誘起歪を発生させることができる。このような磁場効果が発現する基本原理について講演する。 |