(1)製銑コース |
テーマ「劣質炭多量配合条件下での高品質コークス製造技術」 |
近年、中国を中心としたアジアの鉄鋼需要は増加の一途をたどり、国内各社とも高炉増産に努力が払われ、とりわけ還元材であるコークスの高品質化が強く求められている。また一方では、資源不足が顕著になってきており、良質コークス製造にとって不可欠である強粘結炭の確保も難しくなりつつある。そこで、本コースでは、このような背景のもとに、「劣質炭多量配合条件下での高品質コークス製造技術」について、コークス品質を支配する要因にスポットをあて、その影響メカニズムを整理し理解するとともに、制御するための技術について議論を深めたい。
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講 師 | 古牧 育男(北九州市立大学国際環境工学部環境化学プロセス工学科教授) 加藤 健次(新日本製鐵(株)環境・プロセス研究開発センター製銑研究開発部主幹研究員) |
T A | 青木 秀之(東北大学大学院工学研究科化学工学専攻助教授) 中川 浩行(京都大学大学院工学研究科化学工学専攻講師)
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○宿 題(受講者の決定後、本人に連絡する) |
○講義1 | 「コークス製造における品質制御因子」 | (古牧講師) |
○講義2 | 「劣質な石炭のコークス品質に及ぼす影響とその改善技術」 | (加藤講師) |
○話題提供1 | 「コークス強度研究に関する最近のトピックス」 | (青木TA) |
○話題提供2 | 「石炭の炭素化過程の検討と劣質炭の有効利用」 | (中川TA) |
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(2)製鋼コース |
テーマ「溶銑予備処理~二次精錬工程における脱りん・脱硫処理の最適化」 |
日本の鉄鋼業が国際競争力を維持するためには、今後ますます製品品質向上と生産性向上への要求が厳しくなると予想されるが、その実現に向けて製鋼技術が果たすべき役割は大きい。なかでも、溶銑予備処理から二次精錬までのいわゆる製精練工程は鋼の品質と生産能力の両方を向上させる上で最も重要な工程の一つであり、その最適化は重要な課題として従来から幅広く検討されてきた。近年、スラグを取り巻く様々な環境変化の下で多相系フラックスを用いた新精錬法が注目されており、今後日本鉄鋼業が更なる高品質化と高効率化を志向する上で、本法についてさらに議論すべき余地は多いものと考えられる。本コースでは、製精練プロセスにおいて重要な反応である脱りん・脱硫の最適化に向けて、溶銑予備処理から二次精錬までの課題とその改善方法に関し、基礎的な考え方と従来の知見ならびに最前線での対応技術を俯瞰しつつ、議論を深めたい。 |
講 師 | 井上 亮(東北大学多元物質科学研究所化学プロセス解析研究分野助教授) 松尾 充高(新日本製鐵(株)環境・プロセス研究開発センター製鋼研究開発部主幹研究員) |
T A | 植田 滋(岩手大学工学部材料物性工学科助手) 長谷川将克(京都大学大学院エネルギー科学研究科エネルギー応用科学専攻助手)
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○宿 題(受講者の決定後、本人に連絡する) |
○講義1 | 「固液共存スラグによる製精練反応の考え方」 | (井上講師) |
○講義2 | 「精錬プロセスの現状の課題と高効率化へのアプローチ」 | (松尾講師) |
○話題提供1 | 「ふっ化物エミッション低減プロセスの模索」 | (植田TA) |
○話題提供2 | 「Gibbsの相律から考えた製鋼スラグの熱力学」 | (長谷川TA) |
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(3)材料(圧延)コース |
テーマ「先端鉄鋼材料の新たな展開と材質創製」 |
鋼材に対する要求特性は一段と高度化、厳格化、多様化しており、高強度化の一方で靱性や衝撃吸収性のさらなる向上、高い加工性・成形性などが同時に要求され、さらに疲労特性,遅れ破壊特性等の力学特性向上も必須の課題である。このような多様な要求をクリアし、先端的な鉄鋼材料の更なる展開を図るためには、無限の多様性を持つ鉄鋼材料の微細組織に関する評価の高度化とその制御技術の進展が不可欠である。本コースでは鉄鋼材料の基本的な組織制御に関する知見を整理し、その理解を深めると同時に、今後、発展の期待される先端的な鉄鋼材料開発の方向性と、それを実現させるための材質創製・組織制御技術について具体的に議論を深めたい。 ※講師および講義は、材料(圧延)コース、圧延(材料)コース共通です。 |
講 師 | 瀬沼 武秀(岡山大学大学院自然科学研究科産業創成工学専攻教授) 柳本 潤(東京大学生産技術研究所第2部教授) |
T A | 阪本 辰顕(愛媛大学工学部助手) 中島 孝一(九州大学大学院工学研究院材料工学部門助手)
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宿 題(受講者の決定後、本人に連絡する) |
○講義1 | 「鉄鋼材料の組織制御」 | (瀬沼講師) |
○講義2 | 「先進鉄鋼材料の圧延・加工技術開発動向」 | (柳本講師) |
○話題提供1 | 「鉄基強磁性形状記憶合金 Fe-31.2at%Pd の巨大磁場誘起歪に 及ぼす磁場方向および 温度の影響」
| (阪本TA) |
○話題提供2 | 「X線回折を利用した転位密度の評価と鉄鋼材料の強度」 | (中島TA) |
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(4)圧延(材料)コース |
テーマ「材質造り込みのための圧延技術」 |
自動車の軽量化や環境負荷低減を実現するために、鉄鋼材料の高強度化が進められている。すなわち、ハイテンやスーパーメタルといった先進鉄鋼材料の開発が進められている。ここで、これらの材料を開発するためには組織制御による材質の造り込み技術が必要になる。一方、材料の高強度化に伴いプレス加工時の材料の成形性が問題になってきた。すなわち、材料の高成形性を維持するための材質造り込み技術が必要になる。本コースでは、受講者と材質創製に携わる講師及びTAとの議論を通して、今後の圧延・加工技術の動向を探りたい。 |
講師・講義 前掲(材料(圧延)コース、圧延(材料)コース共通) |
T A | 井上 忠信((独)物質・材料研究機構超鉄鋼研究センター冶金グループ主任研究員) 木村 幸雄(JFEスチール(株)スチール研究所圧延・加工プロセス研究部主任研究員) |
○宿 題(受講者の決定後、本人に連絡する) |
○話題提供1 | 「せん断変形付与加工技術による組織制御の可能性」 | (井上TA) |
○話題提供2 | 「高付加価値化を目指す圧延加工技術の動向」 | (木村TA) |
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(5)表面処理コース |
テーマ「合金化溶融亜鉛めっき皮膜の適正皮膜構造の追求」 |
自動車車体には、防錆を目的とし、合金溶融亜鉛めっき鋼板が多く使用されている。合金化溶融亜鉛めっき皮膜は、溶融亜鉛めっき後加熱処理することによって、適度のFeを含むZn-Fe合金めっき皮膜である。このめっき皮膜は、素地鋼板側からΓ相、Γ1相、δ1相(δ1K+δ1P)、ζ相の金属間化合物で形成されており、プレス加工時にめっき層が箔状に剥離するフレーキングや粉状に剥離するパウダリングが発生するといった問題がある。本コースでは、めっき層構造と皮膜破壊の関係を理解することによって、プレス加工時に発生する皮膜剥離を防止する適正皮膜構造について議論する。
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講 師 | 高杉 隆幸(大阪府立大学大学院工学研究科物質系専攻材料工学分野教授) 飛山 洋一(JFEスチール(株)スチール研究所表面処理研究部主任研究員) |
T A | 村上 浩二(岡山県工業技術センター材料技術部金属材料研究室技師) |
○宿 題(受講者の決定後、本人に連絡する) |
○講義1 | 「合金化溶融亜鉛めっき皮膜の構造と力学応答」 | (高杉講師) |
○講義2 | 「プレス加工時における合金化溶融亜鉛めっき皮膜損傷」 | (飛山講師) |
○話題提供1 | 「鉄鋼材料へのアルミニウム拡散浸透と表面処理皮膜の破壊」 | (村上TA)
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