(1)製銑コース |
テーマ「褐鉄鉱多配合下における焼結生産性改善技術」 |
世界の鉄鋼需要、とりわけアジアの需要は増加の一途をたどっており、日本の粗鋼供給に対する期待には多大なものがある。このような状況下にあって、日本の鉄鋼業界は設備統合による生産体制の効率化を急いでおり、焼結工場に対しても従来以上の高生産性が要求されている。その一方で焼結原料面では、良質な赤鉄鉱が枯渇し、劣質な褐鉄鉱が増えつつある。 そのような背景のもと、劣質な褐鉄鉱(ピソライト鉱、マラマンバ鉱)を多配合する前提で、焼結生産性を維持・改善する技術について議論する。 |
講 師 | 碓井 建夫(大阪大学大学院工学研究科マテリアル応用工学専攻教授) 川口 尊三(住友金属工業(株)総合技術研究所部長研究員) |
T A | 前田 敬之(九州大学大学院工学研究院助手) |
コメンテーター | 八田 正治((株)神戸製鋼所原料部次長)※但し、10月30日話題提供のみ |
○宿 題(受講者の決定後、本人に連絡する) |
○講義1 | 「褐鉄鉱の焼結特性」 | (碓井講師) |
○講義2 | 「焼結プロセスの生産性に及ぼす要因とその改善技術」 | (川口講師) |
○話題提供1 | 「褐鉄鉱の造粒特性」 | (前田TA) |
○話題提供2 | 「鉄鉱石品位の将来動向」 | (八田コメンテーター) |
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(2)製鋼コース |
テーマ「高付加価値鋼溶製のための精錬プロセスと副生物回生化技術」 |
普通鋼、特殊鋼を問わず、高純度、高清浄度製品などの高付加価値鋼の溶製技術開発は、我が国にしか達成しえない課題のひとつであると言える。一方で、最近急激に高まっている地球環境問題への危機意識の高まりから、環境保全を無視したプロセスはもはや許されない状況にある。 本コースでは、スラグ、ダスト、排ガス、廃熱、廃耐火物等、精錬プロセスで不可避的に発生する副生物に対する削減策、リサイクル、リユース、理財化を含めた回生化と、高付加価値鋼溶製を同時に達成できる環境調和型精錬プロセスについて、講師の講義、TAの話題提供を踏まえて討論する。 |
講 師 | 森田 一樹(東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻助教授) 星川 郁生((株)神戸製鋼所加古川製鉄所技術研究センター製鋼研究開発室長) |
T A | 長谷川将克(京都大学大学院エネルギー科学研究科エネルギー応用科学専攻助手) 植田 滋(岩手大学工学部材料物性工学科助手) |
○宿 題(受講者の決定後、本人に連絡する) |
○講義1 | 「高付加価値鋼精錬プロセスおよび副生物回生技術における熱力学的考え方」 | (森田講師) |
○講義2 | 「スラグの精錬能とスラグ回生技術の現状と課題」 | (星川講師) |
○話題提供1 | 「スラグボリューム低減とフッ素レスを目指した製鋼スラグの熱力学」 | (長谷川TA) |
○話題提供2 | 「スラグからのふっ化物分離の熱力学」 | (植田TA) |
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(3)材料(圧延)コース |
テーマ「材質創製のための最新の微細組織・結晶粒制御-高強度・高靭性化をめざす組織制御-」 |
優れた機械的性質を有する鉄鋼材料の創製が求められており、微細組織および結晶粒制御技術進展への期待が膨らみつつある。この期待に応えるには、まず各種の実験結果および計算による予測手法等の到達段階を整理し、分析することが重要である。特に形状制御性、微視組織制御性、機械的性質制御性を関連づける観点の発展が求められる。これらの考察や検討に基づき、新材質創製のために必要なプロセス制御の方向性を探り、さらにその実現のための技術課題の明確化に結びつけたい。 ※講師および講義は、材料(圧延)コース、圧延(材料)コース共通です。 |
講 師 | 長井 寿(物質・材料研究機構超鉄鋼研究センター長) 臼田 松男(金沢大学工学部人間・機械工学科教授) |
T A | 井上 忠信(物質・材料研究機構超鉄鋼研究センター冶金グループ主任研究員) 中津 英司(日立金属(株)冶金研究所工具耐熱材料グループ研究員) 二村 裕一(日本学術振興会特別研究員(DC)) |
宿 題(受講者の決定後、本人に連絡する) |
○講義1 | 「“超微細複相組織”の意義と可能性」 | (長井講師) |
○講義2 | 「薄鋼鈑の高強度化とプレス成形性について」 | (臼田講師) |
○話題提供1 | 「材料組織創製に対する加工モードの役割」 | (井上TA) |
○話題提供2 | 「モノ造りと高強度・高靱性化を目指す組織制御」 | (中津TA) |
○話題提供3 | 「ドラッグ効果を利用した結晶粒微細化-Cu含有鋼を用いて-」 | (二村TA) |
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(4)圧延(材料)コース |
テーマ「究極の薄鋼鈑の材質造り込み技術-熱延・冷延の材質造り込み技術はどうあるべきか-」 |
鉄鋼製品の優位な競争力の一つとして、高級品種の造り込み技術がある。それを実現するのが最新の微細組織・結晶粒制御技術であり、またそれを如何に均質に造り込むかが重要な課題である。製造プロセスの材質に及ぼすパラメターを的確に捉え、適切な制御を行なうことが不可欠である。プロセス工学、金属工学的な見地から議論し、究極の技術の方向について議論したい。 |
講師・講義 前掲(材料(圧延)コース、圧延(材料)コース共通) |
T A | 瀬川 明夫(金沢工業大学先端材料創製技術研究所機械系講師) 橋本 浩二(新日本製鐵(株)鉄鋼研究所加工技術開発センター主任研究員) |
○宿 題(受講者の決定後、本人に連絡する) |
○話題提供1 | 「真空圧延による圧延プロセスと圧延特性」 | (瀬川TA) |
○話題提供2 | 「自動車用鋼板の高強度化とその対策」 | (橋本TA) |
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(5)表面処理コース |
テーマ「Zn系表面処理鋼板の防食機構と耐食性評価技術」 |
自動車、家電、建材分野では大気環境下での鋼板の腐食を抑制する目的で、各種Zn系表面処理鋼板が開発され、多く使用されている。ところが、それらの防錆性については、塗装の有無など使用状況や、使用される環境により大きく異なり、統一的な理解がされているとは言い難い。 本コースでは、実用的な観点で環境の影響、材料の選択を整理する。同時に整理の裏付けとなる、Zn系表面処理鋼板の防錆機構を議論し、さらに表面処理鋼板の開発に不可欠な、適切な防錆性評価方法についても議論する。 |
講 師 | 水流 徹(東京工業大学大学院理工学研究科材料工学専攻教授) 藤田 栄(JFEスチール(株)スチール研究所表面処理研究部主任研究員(部長)) |
T A | 春名 匠(大阪大学大学院工学研究科マテリアル応用工学専攻助手) 片山 英樹(物質・材料研究機構材料研究所腐食解析グループ技官) |
○宿 題(受講者の決定後、本人に連絡する) |
○講義1 | 「Zn系表面処理鋼板の防錆機構の考え方と課題」 | (水流講師) |
○講義2 | 「実環境におけるZn系表面処理鋼板の防錆挙動と評価方法」 | (藤田講師) |
○話題提供1 | 「ステンレス鋼の不働態皮膜改質技術と耐食機構」 | (春名TA) |
○話題提供2 | 「大気腐食と腐食速度のモニタリング方法の最近の進捗」 | (片山TA) |