2023年度事業報告・収支決算(2023.3.1~2024.2.29)

収支決算(PDF)

2024年4月24日に開催された一般社団法人日本鉄鋼協会定時社員総会において、標記報告等が承認されました。以下にその概要をお知らせします。

2023年度一般社団法人日本鉄鋼協会事業報告・収支決算(2023.3.1~2024.2.29)

2023年度は第4期中期計画の2年目の年であり、次のとおり事業活動を展開した。

1.協会基本活動の活性化

会員数、講演大会発表件数、論文誌への投稿論文数の増大を協会の基本活動として重点を置き実施した。

  • 2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行し、本会の活動も、講演大会、技術部会大会、育成事業、各支部での講演会・講習会・シンポジウムや研究調査事業などを全面的に対面形式に復活させてコロナ禍前の活動水準に回復した。更には、各事業の特色に応じWeb/ハイブリッド形式も活用するなど活動形態を進化させた。これらに加え、2022年度から開始した、若手会員会費優遇、会員向け無料Web講演会等の個人会員数増加対策を進めたこともあり、個人会員数は回復傾向にあるが、コロナ禍前には戻っていない。2024年2月末時点で、個人会員総数7,962名(前年2月末8,013名)、うち正会員6,500名(前年6,696名)、準会員868名(前年777名)、学生会員386名(前年316名)、外国会員110名(前年123名)、維持会員168社(前年168社)となった。令和6年能登半島地震被災者の個人会員2024年会費免除を実施した。
  • 2023年度の春季講演大会は東京大学で、秋季講演大会は富山大学で開催した。講演大会での研究発表件数については、一般講演は春季252件(内、共同セッション鉄鋼協会申込11件)、秋季304件(内、共同セッション鉄鋼協会申込26件)、討論会は春季4テーマ26件、秋季6テーマ36件であった。参加者数は、春季1,051名、秋季1,142名であった。また学生ポスターセッションの発表は、春季71件、秋季109件であった。
  • 論文の状況は、1~12月の合計で、投稿論文数は「鉄と鋼」113件(前年128件)、「ISIJ Int.」415件(前年523件)であった。同様に掲載論文数は「鉄と鋼」89件(前年98件)、「ISIJ Int.」230件(前年297件)であった。2021年度より交付を受けている科研費「国際情報発信強化」事業の遂行、制作期間短縮の企画・実施等を行った。

2.鉄鋼の学術・技術の活性化(研究会I、II、鉄鋼協会研究プロジェクト、鉄鋼研究振興助成、鉄鋼カーボンニュートラル研究助成等)

  • 新規研究として、研究会Iは「次世代環境調和型コークス製造技術」、「製銑プロセスを安定化する内部分布計測技術」、「圧延ロール界面現象の見える化」、「水素侵入と水素捕捉に関する革新的評価技術」、「局所塑性に由来する損傷発達および破壊」の5件、研究会IIはFSとして「アークによるスクラップ伝熱・溶解機構」、鉄鋼協会研究プロジェクトは「粒界工学手法による汎用鋼の高機能鋼化」の1件を開始した。継続研究として、研究会Iは13件、研究会IIは2件、鉄鋼協会研究プロジェクトは2件を実施した。
  • 鉄鋼研究振興助成については、26件について助成を行った。
  • 2022年度から開始した鉄鋼カーボンニュートラル研究助成については、23件について助成を行った。

3.人材育成

  • 学生育成事業として、企業経営幹部による大学特別講義を11大学、専務理事による鉄鋼技術特別講義を11大学で実施した。修士・博士向けの学生鉄鋼セミナー3コース(37名参加)、修士向け鉄鋼工学概論セミナー(31名参加)、学部学生向け最先端鉄鋼体験セミナー4製鉄所(60名参加)を実施した。製鉄所見学事業(交通費支給)は、対象を大学学部から高校、高専及び大学全部(大学院を含む)に拡大し、21回(634名参加)実施した。
  • 企業人材育成事業は、鉄鋼工学セミナーを那須(129名参加)で、鉄鋼工学セミナー専科は6テーマ(5テーマ対面、1テーマWeb)(94名参加)、鉄鋼工学アドバンストセミナーを船橋(29名参加)で実施した。
  • 西山記念技術講座は、「サステナブルな社会を支える高機能厚板の技術進展と将来展望」を大阪(26名参加)と東京(ハイブリッド、86名参加)で、「環境劣化の腐食科学と防食技術の新展開」を大阪(28名参加)と東京(ハイブリッド、66名参加)で開催した。白石記念講座は、「新たなものづくり:3D積層造形(Additive Manufacturing)の技術開発動向」を東京(ハイブリッド、80名参加)で開催した。
  • 2022年度開始育成事業として、①製鉄所見学交通費支給を高校生・高専生向けに拡充(上記(1)参照)、②高校・高専への大学教員出張授業の助成(4校、約150名)、③動画教材(高校生・高専生向け動画教材、動画ライブラリー)の制作等、④会員向けWeb講演会(鉄鋼協会Web講演会(5回、1,636名)、Web講演会~鉄鋼技術最前線シリーズ~(4回、1,005名)、Web講座~入門講座シリーズ~(オンデマンド配信7件))を実施した。
  • JABEE技術者教育プログラム認定制度における「材料および関連の工学分野」の幹事学会として、本分野の中心となって活動した。

4.学会部門及び生産技術部門における研究調査活動

  • 学会部門及び生産技術部門ともに、部会活動は、全面的に対面形式に復活させた。また、部会の活動内容に応じ、多くの参加者に情報共有したいあるいは頻繁に出張困難等の場合はWeb/ハイブリッド形式など、各形式の利点や特長を積極的に活用する工夫を進めた。

5.戦略・連携強化

  • 日本金属学会と上記1.(2)の講演大会を共同開催し、その中で共同セッションを実施した。
  • 日本鉄鋼連盟、鐵鋼スラグ協会、日本鋼構造協会、鉄鋼環境基金と「鉄鋼関連助成事業連絡会」を開催した。
  • 鉄鋼カーボンニュートラル検討会議において、2023年度、2024年度の鉄鋼カーボンニュートラル研究助成受給課題の選考、水素以外の還元方法に関する討議WG活動、関連国際会議での講演及び海外動向の情報収集、今後の進め方検討等を実施した。

6.内外への情報発信力の強化

  • 本会Webサイトについて、会員マイページでのインボイス対応の請求書・領収書発行、会費等クレジット払い機能の充実等、会員が求める情報を迅速かつ継続的に提供できるWebサイトに向けた継続的改善を進めた。
  • 独で開催された日独北欧合同シンポジウムへの参加・講演、世界鉄鋼協会主催のカーボンニュートラル関連会議への参加・講演を行った。独鉄鋼協会が幹事としてWeb開催した世界専務理事会議に出席し、今後の国際会議開催の調整を行った。