2019年度事業報告・収支決算(2019.3.1~2020.2.29)

収支決算(PDF)
2019年度補助金等報告書(該当なし)

2020年4月23日に開催された一般社団法人日本鉄鋼協会定時社員総会において、標記報告等が承認されました。以下にその概要をお知らせします。

2019年度一般社団法人日本鉄鋼協会事業報告・収支決算(2019.3.1~2020.2.29)

2019年度は第3期中期計画の1年目の年であった。活動内容としては、(1)協会基本活動の活性化、(2)鉄鋼の学術・技術の活性化、(3)人材育成、(4)他学協会との連携強化、(5)政府の科学技術・産業技術政策への対応、(6)内外への情報発信力の強化、等の実施に重点を置いた事業活動を展開した。

1.協会基本活動の活性化

会員数、講演大会発表件数、論文誌への投稿論文数の増大を協会の基本活動として重点を置き実施した。

  • 2020年2月末時点で、個人会員総数8,825名(前年2月末8,864名)、うち正会員7,299名(前年7,418名)、準会員669名(前年558名)、学生会員386名(前年406名)、維持会員174社(前年176社)となった。この数年間増加していた個人会員数は2019年9月以後、頭打ち傾向が見られる。
  • 2019年度の春季講演大会は東京電機大学で、秋季講演大会は岡山大学で開催した。講演大会での研究発表件数については、一般講演は春季大会295件、秋季大会341件、討論会は春季大会2テーマ18件、秋季大会4テーマ19件、国際セッションは春季大会2テーマ22件、秋季大会1テーマ11件であった。登録参加者は、春季大会1,349名、秋季大会1,342名であった。また学生ポスターセッションの発表は、春季大会68件、秋季大会109件であった。
  • 論文の状況は、1~12月の合計で、投稿論文数は「鉄と鋼」131件(前年170件)、「ISIJ Int.」779件(前年800件)であった。同様に掲載論文数は「鉄と鋼」138件(前年97件)、「ISIJ Int.」295件(前年300件)であった。また、論文誌編集委員会を改組し、論文誌の質の向上や国際発信力強化のための施策検討を充実させた。

2.鉄鋼の学術・技術の活性化

  • 新規研究として、研究会Ⅰは「多相融体の流動理解のためのスラグみえる化」、「資源拡大・省CO2対応コークス製造技術」、「部材の極限軽量化に資する偏肉鋼管加工技術」、「不均一変形組織と力学特性」、「LIBS実用場適用技術開発」の5件、研究会Ⅱは「摩擦接合技術の鋼橋等インフラへの適用性検討」、「鉄鋼材料の土壌腐食性評価」、「鉄鋼スラグ中リン酸の有効活用」、「エリアセンシング技術による製鉄所設備診断」の4件、鉄鋼協会研究プロジェクトは「高強度鋼の水素脆化における潜伏期から破壊までの機構解明」の1件を開始した。また、継続研究として、研究会Ⅰは10件、研究会Ⅱは4件を実施した。
  • 鉄鋼研究振興助成については、前年度に採択決定した30件について助成を行った。
  • 2020年度に向けて、鉄鋼協会研究プロジェクトを1件、研究会Ⅰを5件、鉄鋼研究振興助成35件の採択を行った。

3.人材育成

  • 学生育成として、企業経営幹部による大学特別講義を11大学で実施した。また専務理事等による鉄鋼技術特別講義も16大学で実施した。学生鉄鋼セミナーは2コースを実施し36名が参加、修士学生向け鉄鋼工学概論セミナーは38名、学部学生向け最先端鉄鋼体験セミナーは、神戸製鋼所加古川、日本製鉄君津、日本製鉄名古屋で開催し69名が参加した。学部学生の製鉄所見学は22回実施し、総計887名が参加した。
  • 企業人材育成として、45回目となる鉄鋼工学セミナー(177名参加)を那須で開催したほか、鉄鋼工学セミナー専科(6テーマ、112名参加)、27回目となる鉄鋼工学アドバンストセミナー(30名参加)を開催した。
  • 西山記念技術講座は、「先進エネルギーマネージメントの発展を支える耐熱鋼開発」(133名参加)および「資源・環境・エネルギー問題から見た製銑技術の進歩と今後の展開」(128名参加)をテーマに開催した。また、白石記念講座は「地震と鋼材-阪神・淡路大震災から25年を過ぎて-」(30名参加)をテーマに開催した。
  • JABEE技術者教育プログラム認定制度における「材料及び関連の工学分野」の幹事学会として、本分野の中心となって活動した。

4.他学協会等との連携強化

日本金属学会との講演大会相互聴講を実施した。また日本鉄鋼連盟、鐵鋼スラグ協会、日本鋼構造協会、鉄鋼環境基金と「鉄鋼関連助成事業連絡会」を2回開催した。さらに建設用構造材料に関わる国プロ提案について日本鋼構造協会と協力して活動した。

5.政府の科学技術政策・産業技術政策への対応

  • 日本鉄鋼協会が提案したJST「ヘテロ構造制御金属材料プロジェクト」(2010-2019年度)、NEDO「革新的構造材料等研究開発」(2013-2022年度)等の政府の研究開発について協力・支援を行った。
  • 政府の政策に対応するため、生産技術部門に「地球温暖化対策計画の実現に向けた鉄鋼技術検討会議」を発足。地球温暖化関連課題に関する化学工学会、電力中央研究所との情報交換会、講演会等を開催するとともに日本エネルギー学会との連携に向けた検討を開始した。

6.内外への情報発信力の強化

  • 春季講演大会において経営トップ特別講演として、大同特殊鋼(株)の石黒武代表取締役社長執行役員が「大変革期における大同特殊鋼の商品戦略」と題する講演を実施した。
  • 二国間シンポジウムとして第15回日本・中国鉄鋼学術会議(10月31日-11月1日、中国・重慶)を開催し、国際的な情報発信と国際交流を深めた。
  • 日本学術振興会の科研費補助金により「鉄鋼・材料系ジャーナルサイトのプラットホーム機能強化による国際情報発進力向上」事業を実施した(2015-2019年度)。