評価・分析・解析部会
広報
2025.03.24 研究会紹介
茨城大学学術研究院応用理工学野物質科学工学領域
材料熱物性計測プロセス研究室(西 剛史)
私が2015年4月に茨城大学に着任してから、当研究室が発足して10年が経過しました。私は2004年3月に東北大学の早稲田嘉夫先生の研究室にて博士(工学)を取得した後、日本原子力研究開発機構にて11年間、新型燃料物質の物性測定を中心に研究に従事してきました。大学に着任した当初は、大学生の指導ができるか不安に思うこともありましたが、2025年3月時点で当研究室から41名の学生が社会人となりました。最近は本学に凱旋してリクルート活動を行うなど、活躍しているOB・OGが増えてきており、大変嬉しく思っています。

当研究室では、図1に示すように、①るつぼ回転粘度計を用いた溶融金属および溶融塩化物の粘度測定、②表面加熱・表面検出レーザフラッシュ法を用いたケイ酸塩融体の熱浸透率測定、③熱物性顕微鏡を用いた熱電材料候補材、宇宙の砂、ガラス・金属基板上のエポキシ樹脂の熱浸透率測定の3つの研究を軸とし、ユニークな手法で実用材料の熱物性を測定し、材料プロセスに役立つ物性取得に取り組んでいます。最近は、オール実測値による熱伝導率評価を目指して、温度変調型示差走査熱量計を用いた比熱測定の研究にも着手しています。現在も共同研究者と共に行っていますが、局所構造や電子構造の観点から熱物性を検証することも、日本鉄鋼協会評価・分析・解析部会を通じて強化したいと考えています。

研究室の運営ですが、2~3週間に1回、進捗状況を確認するためのミーティングを①~③の研究テーマで班分けして実施しています。また、他社・他大学の共同研究者と対面またはオンライン形式でミーティングを実施し、月1回のペースで意見交換を行っています。学部4年生は卒業研究でまとめた内容を日本鉄鋼協会、日本金属学会のポスターセッションにて発表し、大学院生は日本熱物性シンポジウム、日本実験力学会、日本原子力学会も含めて口頭発表、ならびに一部の大学院生は論文執筆にも意欲を示しています。ポスターセッションでは、最近は私の指導はほどほどに、研究室の先輩にいろいろと自主的にアドバイスを聞いており、毎年コンスタントに優秀ポスター賞を受賞するようになってきました。研究室での研究生活が最高のアクティブラーニングになるように心掛けています。
実用材料に興味のある方、1500℃を超える高温での物性測定に興味のある方は、ぜひご一報いただけると幸いです。2024年度の研究室のメンバーは、博士課程が2名(うち社会人1名)、修士課程が8名、学部生が4名の計14名で構成されています。そのうち6名が女子学生であり、工学部の女子学生も増えてきたと実感しています。図2のように、学生さんの発案でイベントに参加することもしばしばです。
【連絡先】
茨城大学材料熱物性計測プロセス研究室(西研究室)西 剛史
E-mail: tsuyoshi.nishi.75@vc.ibaraki.ac.jp
2025.3.24 2024年度運営委員会報告
2024年度 第1回分析技術研究審議WG・運営委員会 合同会議(2024年4月)
(1) 研究会I「鉄鋼関連材料の非破壊・オンサイト分析法」について、活動終了報告と評価がなされた。
今宿主査(島根大)よりスライドをもとに最終報告があった。
基礎研究レベルではあるが論文等を含む成果は出ているとして評価された。
現場で使えるレベルとするためには産側も研究に参画してさらなる検討を進めることがコメントされた。
(2) 研究会I「高度な技能に基づく鉄鋼分析操作の化学検証」について、中間報告と第3年度活動計画がなされた。
上原主査(宇都宮大)よりスライドをもとに報告がなされた。
研究会の方向性と進捗は良好であり評価できる。具体的に結果をどう生かしていくかの検討をしてほしいとのコメントがなされ、次年度への継続が承認された。
(3) 次のフォーラムについて活動終了報告がなされた。
- ・中性子を中心とした量子ビームによる鉄鋼内部の組織解析活用技術の検討(大竹座長/理研)
- ・高温における最適な材料プロセス制御を目指した材料特性評価(西座長/茨城大)
- ・鉄鋼関連材料の機能開発を志向した反応の探索と解析(江場座長/都市大)
(4) 次の継続フォーラムについて2023年度活動状況と2024年度活動計画が報告された。
- ・スラグ新用途開発のための機能とその関連する材料分析技術の開発(高橋座長/都城高専)
(5) 次の新規フォーラムについて設立趣旨と2024年度活動計画が説明された。
- ・多様な手法による鉄鋼材料中の微細組織解析(金子座長/九州大)
- ・材料プロセスにおける物性評価と物性予測のアプロ―チ(西座長/茨城大)
- ・接合・リサイクル技術へのフルパワー中性子線の活用(小泉座長/茨城大)
2.学術部門・学術部会関連事項
(1) 学術部会5年見直しへの対応
学術部会5年見直し対応状況と、2024年度実施計画が説明された。研究会の連携を通して、他部会との連携を深めることなどが示された。
(2) 研究会提案およびロードマップ、重点領域見直し
評価・分析・解析部会ロードマップ(2023年4月15日改定)および学術部会ロードマップにおける2025年度研究会設立の重点領域(2024年5月現在)の確認を行った。
2024年度 第2回分析技術研究審議WG・運営委員会 合同会議(2024年10月)
1.研究会・フォーラム関連事項
(1) 研究会I新規設立提案1件について説明があり、運営委員よりコメントがなされたあと審議を行い、部会として推薦することに決定した。
(2) フォーラムおよび自主フォーラムの新規募集について、従来の募集案内をベースに若手の応募を積極的に促すことなどを明示して、部会ホームページとISIJニュース(会員向けメーリングリスト)で配信することとなった。
(3) 研究会Iとフォーラムについて、2024年度上期活動報告と下期活動計画が示された。
研究会I「高度な技能に基づく鉄鋼分析操作の化学検証」(上原主査/宇都宮大)
フォーラム「スラグ新用途開発のための機能とその関連する材料分析技術の開発」(高橋座長/都城高専)
フォーラム「材料プロセスにおける物性評価と物性予測のアプロ―チ」(西座長/茨城大)
フォーラム「多様な手法による鉄鋼材料中の微細組織解析」(金子座長/九州大)
フォーラム「接合・リサイクル技術へのフルパワー中性子線の活用」(小泉座長/茨城大)
2.学術部門・学術部会関連事項
学術部会活動状況と、学術部会5年見直し(2020-2024年度)自己評価案について確認を行った。
2024年度 第3回運営委員会 (2025年1月)
1.研究会・フォーラム関連事項
(1) 2025年度発足を希望するフォーラム2件と自主フォーラム1件の活動内容に関して、新規設立提案書に基づき説明があり、承認された。
(2) 2025年度開始の研究会I・IIおよび鉄鋼協会研究PJ提案課題の採択状況とともに、鉄鋼協会第5期中期計画、助成制度の見直し、2026年度開始研究会Iの進め方等について事務局より説明があった。
2.講演大会ム関連事項
(1) 第189回(2025年春季)講演大会開催要領とその発表件数について報告がなされた。また、第190回(2025年秋季)講演大会開催までの参考スケジュール、今後の春秋講演大会開催日程について事務局より説明があった。
3.その他
(1) 国際会議関連
ICASI2025の開催について、出口実行委員長より進捗状況や日程の説明がなされた。
過去のニュースレターズ
今までのPEMACニュースレターズ(1997.8.1 - 2020.3.10)No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6 No.7 No.8 No.9 No.10 No.11 No.12 No.13
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