(一社)日本鉄鋼協会 評価・分析・解析部会 | Technical Devision of Process Evaluation & Material Characterization

評価・分析・解析部会

新刊・雑誌紹介

既刊刊行物紹介

試料分析講座「鉄鋼分析」

・試料分析講座「鉄鋼分析」
日本分析化学会編
発行者:丸善出版 A5版・252頁
発 行:2011年刊(ISBN978-4-621-08424-3)

 本書は、日本分析化学会創立60周年記念事業の出版企画「試料分析講座」の一環として刊行されたものであり、実際に鉄鋼分析を行う際に役立つ実務書・プロトコルとして利用されることを目標としている。  鉄鋼分析の第一線の研究者13名が、その豊かな知識と経験に基づいて、初心者のための基礎的事項から先端的な最新の状況までを非常に分かりやすく解説している点が注目される。内容は、鉄鋼分析、鉄鋼原材料分析、プロセス管理分析、信頼性評価の4章に大別され、各章の冒頭にある総論または概説によってその章のあらましが理解できるように配慮されている。限られた紙幅の中で、広範かつ奥深い鉄鋼分析の要点を押さえた好著である。  鉄鋼分析に携わる学生・技術者・研究者にとって必携の一冊である。(千葉大 小熊幸一)

「すべて分析化学者がお見通しです! -薬物から環境まで微量でも検出するスゴ腕の化学者」

・「すべて分析化学者がお見通しです! -薬物から環境まで微量でも検出するスゴ腕の化学者」(知りたい!サイエンス)
著 者:津村ゆかり・立木秀尚・高山 透・堀野善司
発行者:技術評論社 128mm×189mm、254頁
発 行:2011年刊 (ISBN978-4-7741-4552-5)

 本書は関西に在住する業種の異なる「分析屋」4人が集まって書いた縦書きの読み物である。著者は順に近畿厚生局麻薬取締部の鑑定官、薬品会社の医薬品分析の研究者、鉄鋼会社の材料分析の研究者、環境調査・環境分析を担当する環境計量士である。  目次の構成は第1章 環境を分析する、第2章 食品を分析する、第3章 医薬品を分析する、第4章 鉄鋼材料を分析する、第5章 乱用薬物の鑑定、第6章 分析の基礎知識、第7章 これが頼り!分析七つ道具、第8章 分析よもやま話 となっている。簡単な分析化学の基礎的な話に留まらず、非常に掘り下げた内容も散見され、図解や脚注で関係する「豆知識」が豊富なことも興味深い。読者の好みで気にいるところが異なるのではないだろうか。若干、余談が多いような気もするが、周辺技術を含め、分析をする上で何が必要なのかをよく解説されている。  現場で分析に携わる技術者、研究者、これから分析をしようとしている学生に必携の一冊である。(都市大 平井昭司)

「分析化学における測定値の正しい取り扱い方」

「分析化学における測定値の正しい取り扱い方」 -"測定値"を"分析値"にするために-
著 者:上本道久 著
発行者:日刊工業新聞社 A5版・155頁
発 行:2011年刊(ISBN978-4-526-06666-5)

「分析化学における測定値の正しい取り扱い方」  本書は、信頼性の高い分析値を提示するために知っておくべき基礎知識について詳しく解説しており、第1章:「はかる」ということ、第2章:有効数字、第3章:検出限界と定量下限、第4章:信頼性にかかわる用語、第5章:不確かさの概念と見積もりの考え方、第6章:実際の定量分析における信頼性評価例、第7章:濃度について、の7章で構成されている。また、副題に「"測定値"を"分析値"にするために」とあるように、本書では分析によって得られた"測定値"を、その不確かさを考察することにより有効数字を決定し、"分析値"とする方法について、具体例を提示しながら紹介している。本書は、現在分析分野にかかわっている方だけでなく、これから分析化学を学ぶ方にもお勧めの一冊である。(都産研センター 林 英男)

「現場で役立つ金属分析の基礎-鉄・非鉄・セラミックスの元素分析」」

・「現場で役立つ金属分析の基礎-鉄・非鉄・セラミックスの元素分析」
平井昭司監修・(社)日本分析化学会編
発行者 オーム社 A5版・282頁
発 行 2009年刊(ISBN978-4-274-20700-6)

現場で役立つ金属分析の基礎  本書は、日本分析化学会と本会とが共催して好評を得ている「金属分析技術セミナー」のテキストおよび「セラミックス原料・鉱石類分析技術セミナー」のテキストの一部を中心に据え、不足しているところを一部補足して編集したものである。  目次構成は、第Ⅰ編前処理技術と第Ⅱ編元素分析技術とからなっている。第Ⅰ編では、鉄鋼試料、非鉄試料、セラミックス試料について代表的な試料を例示して前処理法が具体的に記述されている。この第Ⅰ編には、汎用性のある分離濃縮法も併せて紹介されている。第Ⅱ編では、近年の主要元素分析法である原子吸光分析法、ICP発光分光分析法、ICP質量分析法、金属ガス分析法、固体発光分析法、蛍光X線分析法に関して、それぞれの原理と適用例が的確に解説されている。第Ⅱ編の最後の章では、分析値・分析の信頼性と題して、有効数字の定義から試験所認定制度までが詳述されている。  執筆者の多くは産業界あるいは大学・研究機関の化学分析現場で豊富な経験を積まれた方々であり、その貴重な経験に基づいた注意事項が本書の要所ごとに紹介されている。関連の化学分析に携わっている技術者・研究者に必携の一書である。 (小熊 幸一(千葉大))

「化学分析の基礎と実際」(JISの使い方シリーズ)

「化学分析の基礎と実際」(JISの使い方シリーズ)
編集委員長 田中龍彦
発行者 (社) 日本規格協会 A5版 402頁 
発 行 2008年刊(ISBN978-4-542-30398-0)

化学分析の基礎と実際  本書は、1984年に刊行されたJIS使い方シリーズ『化学分析マニュアル』(編集委員長:武藤義一)を、その後導入された数多くの機器分析、計量法に基づくトレーサビリティ制度、化学分析の信頼性(不確かさ)などを考慮して見直したものである。特に、SI単位から試料の調製・前処理、各種の基本的操作・技術、分析方法、データの処理まで、化学分析の基礎的原理と化学分析を行う際の共通的な事項について、分析操作の流れに沿って具体的に記述してあり、教科書や参考書として利用できる内容となっている。さらに、一般の分析書には書かれていない内容や学校では学べない事項を、化学分析で基礎となる各種JISを中心に、内容を整理して解説している。  本書を精読すれば、今まであまり深く考えずに行って来た分析操作の意義を理解し、ときには日常的に行っている操作の誤りを発見するなど、自己研鑽の一助とすることもできよう。化学分析の技能伝承が危ぶまれる今日、教育関係者、現場の分析技術者を含む多くの方々に勧めたい一冊である。(小熊 幸一(千葉大))

「続 入門鉄鋼分析技術」

「続 入門鉄鋼分析技術」
編 集 (一社)日本鉄鋼協会 評価・分析・解析部会編
発行者 (一社)日本鉄鋼協会 A4判 225頁 
発 行 2007年2月20日

続 入門鉄鋼分析技術画像  鉄鋼材料の生産工程と研究開発において、特に、新機能を有する 金属材料の開発や製造現場での安定生産、品質管理といった分野では"分析技術"の担う役割が重要となってきています。近年の鉄鋼材料における新商品開発、新技術発明には"分析技術"の発展に寄与するところも少なくありません。  (一社)日本鉄鋼協会 評価・分析・解析部会では2001年に「入門 鉄鋼分析技術」を発刊いたしました。本書はその続編に位置付けられており、汎用性の高い分析方法から最新の分析法まで網羅されています。本書は、I. 元素を定量する、II. 構造を解析する、III. 分析評価及び解析技術の最近、の3章で構成されております。中でもI、II章の基礎編には本書のために新たに書き下ろしたもので、分析法の原理や特徴が初心者にも理解できるように平易に記述されています。応用編には最新の鉄鋼分析における実例しての記事を、また、III章は総論としての記事を、「ふぇらむ」誌から転載しています。本書は分析技術分野の第一線で活躍している研究者が執筆されており、現在鉄鋼材料の分析に携わっている方はもとより、これから分析の分野に携わる技術者・学生、新規材料の開発に取り組んでいる研究者にとっても必携の一冊です。(花田一利(JFEスチール))

鉄と鋼」特集号―分析技術と方法論の最近の進歩-  Vol.93、No.2

「鉄と鋼」特集号―分析技術と方法論の最近の進歩-  Vol.93、No.2,  71~199頁
 発行年 2007年2月1日 発行所 (一社)日本鉄鋼協会

   「鉄と鋼」は日本鉄鋼協会を代表する学術論文誌(和文)であり、 創刊は1915年にまでさかのぼる。このたび、評価・分析・解析部会 の設立10周年を記念し、この伝統ある学術誌の特集号を、本部会が 中心となって企画した。標記のテーマで論文を広く募集したところ、前回の特集号(2003年9号)を越える投稿数があり、23編(レビュー 1件、論文18件、技術報告4件)を、平井前部会長の巻頭言とともに掲載することができた。  産業の一層の高効率化、高度化、ならびに環境調和化にともない、分析化学への要求と期待は益々大きくなってきている。このような背景のもとに本 特集号では、分析機器の高感度・高精度化、分析操作の自動化・簡便化・迅速化、化学的分離法の開発、新規検出法の開発、標準試料の研究等々、最近の鉄鋼分 析技術と方法論に関する研究論文や技術報告を広く募集した。  掲載された内容からも明らかなように、分析活動の対象範囲は、鉄鋼本業の分析課題はもちろんのこと、資源・環境などの鉄鋼周辺分野の多様なニー ズにまで及んでいる。我が国の最新の研究成果が集約されている本特集号は、同時に鉄鋼分析にかかわる研究者や大学・研究施設等の総覧としても有用であり、 今後の研究者間の円滑な交流や相互協力にも大いに役立つことが期待できる。(平出正孝(名大院工))

「鉄と鋼」特集号 -化学分析技術の最近の進歩- Vo.89, No.9,

「鉄と鋼」特集号 -化学分析技術の最近の進歩- Vo.89, No.9, 881~1004頁
 発行年 2003年9月1日 発行所 (一社)日本鉄鋼協会

  評価・分析・解析部会が中心となり、標記特集号の企画を行った。その結果、前回の特集号「最先端の化学分析と物理分析」(1999年2 号) と同数の22編 (レビュー1編、論文17編、技術報告4編) の投稿があり、査読後掲載することができた。特集号の企画内容は次の通りである。 鉄鋼材料の高級化・高機能化が進むにつれて、鉄鋼製造における基盤技術として重要な鉄鋼化学分析技術への課題も高度化してきている。また、鉄スクラップの リサイクル化とその利用拡大に伴って、分析技術の品質管理の目標値は20ppm以下と、従来の分析技術を超える新しい技術が要求されている。このような分 析要求を満たすために、熟練技術や技能者を必要としない高感度な化学分析法の開発が精力的に行われつつある。そこで当部会では、現場で汎用されている機器 分析の精度管理や標準物質の基準値決定に適用可能な精度や正確さに優れた分析法や、21世紀の鉄鋼プロセスの高度化に対応した革新的なスキルフリー分析技 術の開発など、最近の化学分析技術の進歩に関する研究の特集号を企画した。

「次世代鉄鋼迅速オンサイト分析の実用化」

「次世代鉄鋼迅速オンサイト分析の実用化」 ―次世代鉄鋼迅速オンサイト分析の実用化研究会最終報告書―
編 集 (一社)日本鉄鋼協会 評価・分析・解析部会 次世代鉄鋼迅速オンサイト分析の実用化研究会 
発行者 (一社)日本鉄鋼協会 A4判、121頁
発 行 2006年3月22日 

 研究会の最終年度を迎えるにあたり、これまでの研究会活動の成果をまとめ、報告書を発刊した。報告書には、研究会設立の背景と目的、研究の推進体制、活動状況、平成15~18年までの4年間の研究成果等が掲載されている。

「鋼中の微量トランプ元素分析法の開発」  ―スクラップ利用拡大に伴う鋼中の微量不純物分析法の開発研究会― 

「鋼中の微量トランプ元素分析法の開発」  ―スクラップ利用拡大に伴う鋼中の微量不純物分析法の開発研究会― 最終報告書
 編  集 (一社)日本鉄鋼協会 評価・分析・解析部会 スクラップ利用拡大に伴う鋼中の微量不純物分析法の開発研究会
 発行者 (一社)日本鉄鋼協会 A4判、109頁
 発  行 2004年3月31日
 研究会の最終年度を迎えるにあたり、これまでの研究会活動の成果をまとめ、報告書を発刊した。報告書には、研究会設立の背景と目的、研究の推進体制、活動状況、平成13~16年までの4年間の研究成果等が掲載されている。  トランプ元素 (As、Bi、Pb、Sb、Sn、Zn) の一部あるいは全部をそれぞれ得意な分析方法で定量する技術を開発し、鉄鋼中の不純物除去技術を支える分析法の確立と迅速分析が図れる発光分析のより低レベルでの分析法の確立を行なってきた、各委員の研究成果が報告されている。

「第4版鉄鋼便覧」 (CD-ROM版) 

「第4版鉄鋼便覧」 (CD-ROM版)
 編 集 (一社)日本鉄鋼協会 鉄鋼便覧編集委員会編 発行者 (一社)日本鉄鋼協会 CD-ROM3枚組(+基本ソフト1枚)
 発行年 2002年7月30日

 鉄鋼便覧第4版が、第3版の完全復刻に加えてCD-ROM版で発刊された。分析技術は「第4巻 鉄鋼材料、試験・分析」に、第3版発刊以降約20年間における試験・分析分野の技術の進展について、新たなデータと解説が追補の形で加えられている。章の構成は第3版を踏襲しており、各節の最後に「新しい・・・」などのタイトルで追加の項を設けて、第3版以降の重要な進展について解説を行っている。  「第1篇 鉄鋼材料」では用途別、品種別に区分けされた各種の鋼について、最近の新しい展開についてまとめられている。また「第2編 試験・分析」においては化学分析法、物理分析法、腐食試験法、物理冶金実験法、鋼質試験法、非破壊試験法、機械的材料試験法等、試験、検査、実験等に必要な各種の手法について最新の知識とデータが体系的に示されている。  最近の鉄鋼業は製品へのニーズが自動車用鋼板に代表されるように、強く、薄く、加工しやすい等、一段と厳しくなる一方で、生産現場での大幅な合理化を迫られてきている。これに対応するため、分析技術も、迅速化、無人化、合理化の方向と、超微量元素分析、高精度分析などの新製品開発に呼応した方向への進展が顕著であった。これら大きく発展した分析技術として、ICP発光分析、炭素、窒素の蛍光X線分析、溶鋼オンサイト・オンライン分析などが取り上げられている。陽電子消滅、メスバウアー分光法、放射光を含めた高出力型X線発生装置を使ったX線回折、電解放出型電子銃を装備した高分解能で分析を兼ねた透過型電子顕微鏡、結晶方位解析のできる走査型電子顕微鏡など組織観察技術が解説されている。さらに原子レベルでの観察・分析技術としては、アトムプローブ電界イオン顕微鏡、特に原子の分布を原子レベルの分解能での再現することを可能にした3次元アトムプローブ、原子を直接見る・動かすという夢をかなえた、走査プローブ顕微鏡と呼ばれる一群の顕微鏡などが特筆される。このようにこの20年間でナノや原子レベルでの微小領域の高精度な観察および分析を可能とした技術を解説している。  執筆者は、この分野の第一線で活躍されている研究者、技術者が担当している。第3版の内容もそのまま入手できるので、技術の進展も理解することができる。CD-ROM版の特徴を活かし、文章、図表の有効利用、充実した検索機能、関連項目の内容確認などが容易に行える。  本書の内容は、鉄鋼材料を製造している管理・技術者はもとより、材質の試験や分析、材料開発等に関係している技術者と研究者、またこの方面の工学に関係のある研究者、学生など広い範囲の方々に、最先端の技術・知識を集大成して提供することを目指したものである。次代を担う若い技術者や研究者の業務の手引きとしても大いに役立つ必携の1冊である。

「鉄鋼の製造のための分析解析技術」

「鉄鋼の製造のための分析解析技術」
 編 集 (一社)日本鉄鋼協会 分析技術部会編 発行者 (一社)日本鉄鋼協会 A4判、232 頁
 発 行 2002年2月

 本書は昭和57 年に発行された「日本鉄鋼業における分析技術」の改訂版である。前版を出版してから約20年の間の分析・解析技術の進歩は著しく、本書においては今日の鉄鋼製造のための分析・解析技術について散逸させずに纏め、関係諸氏、そして将来この分野を背負う方々に、大いに活用して頂ける内容となっている。

「叢 書 「鉄鋼技術の流れ」第10 卷  鉄鋼の迅速分析-速さ、精度、信頼性への挑戦- 

叢 書 「鉄鋼技術の流れ」  第10 卷  鉄鋼の迅速分析-速さ、精度、信頼性への挑戦-
 著 者 佐伯正夫、監修:日本鉄鋼協会  発行所 地人書館、A5 判 約200 頁
 発 行 1998年12月

 主要な目次: 日本の鉄鋼分析の現状/戦後50 年間の鉄鋼分析技術の流れ/スパ-ク放電発光分光分析技術の流れ/スパ-ク放電以外の発光分光分析技術の流れ/鉄鋼迅速分析における今後の課題  本書は、「叢書 鉄鋼技術の流れ」第1 シリ-ズの第10 巻として昨年末に刊行されたものである。まず、当叢書は、日本鉄鋼協会の有する知的財産を歴史的に展望し、鉄鋼技術者および大学院レベルの学生を対象に、 講義ノ-ト的に各分野の権威者が個人執筆するものである。鉄鋼技術の発展は、分析技術の発展を促し、また分析技術の進歩は鉄鋼技術の進歩を確かめ、次の発 展への礎となってきた。現在の鉄鋼分析、特に迅速分析では、最新の機器を用い、瞬時に多くの情報が提供される。本書は、その迅速分析、特に発光分光分析を 中心に、その発展の経過に集約された技術の本質を明確にするため、発展の過程を、戦後50 年間のわが国における鉄鋼技術の流れの中で整理、体系化し、次代への飛躍の糧となることを目指して書かれている。さらに、本書は、著者自身の長年にわたる 鉄鋼分析業務の豊富な体験を中心に上梓されているので、大変に説得力のある良書である。また、巻末に添付された3編の資料も読者にとっては鉄鋼分析の「温故知新」の有益なものとなるであろう。本書は、特に現在の鉄鋼分析実務者やこれからの鉄鋼分析者には必読の書であ ると確信する。ただ、著者も「あとがき」で述べているように、本書は鉄鋼の迅速分析と言いながら「発光分光分析」の技術の流れに限定され、鉄鋼迅速分析の 一翼を担ってきた蛍光X 線分析や鉄鋼ガス成分分析についてはほとんど触れられていないのは惜しまれる。(中原武利 (阪府大))

「実用に役立つテキスト-分析化学-上下」翻訳 

分析化学教科書の翻訳について  古谷圭一(東京理科大) Fifield と Kealay 著
 「実用に役立つテキスト-分析化学-上下」が部会有志により翻訳され,丸善から出版されました.

 分析化学の教科書は、基本的な平衡論を基礎として書かれた教科書と各種機器分析法を主とした教科書の2種に分けられる。しかしながら、そ の多くは紙数の関 係から基本的な原理と代表的なものを挙げてある。このため、液体クロマトグラフィーや最近多く利用されるようになった電気泳動クロマトグラフィーなどにつ いては専門書に当たらなければならない。これは初学者にとって実際に利用される分析法について何も知らないこととなる。教科書翻訳小委員会は Fifield & Kealay 著"Principles and Practice of Analytical Chemistry"、第4版(Blackie Academic & Professional社)を翻訳し、昨年丸善より「実用に役立つテキスト-分析化学-上下」として出版された。特徴としては、基本的原理は章頭に要領 よくまとめ、各種分析法の具体的バリエーションについての知識が得られるように工夫され、ICP-質量分析法などの複合分析法や最近の2次元NMRなどの 記述も豊富である。ことに現場の分析者にとって目的に応じた分析方法を設計する具体例、自動化の指針、コンピュータの役割など従来の教科書と異なる視点か らの章があり、読者の便を図っている。分析担当として初めて入社した技術者の絶好のテキストとして用いられることを期待している。この翻訳はいずれも本部 会のそれぞれのエキスパートの方々に担当していただき、したがって、大変忙しい中での作業に従事していただいた。厚くお礼申し上げる。

「Journal of Trace and Microprobe Techniques 古谷圭一先生御退職記念号特集号  第19 巻 第4号(2001年) pp.469 -675 

Journal of Trace and Microprobe Techniques 古谷圭一先生御退職記念号特集号  第19 巻 第4号(2001年) pp.469 -675
 発 行 2001 年11 月, 発行所Dekker (New York)

 PEMAC 読者も良くご存知のように、評価・分析・解析部会の前部会長の古谷圭一先生は1999 年3月に東京理科大学を退職されました。最終講義のとき、Journal of Trace and Microprobe Techniques の編集長であったミッシェル・テリエ教授(フランス)からお祝いの手紙が届いたのを契機に、中井泉先生を中心に古谷先生の退職記念の論文誌特別号を出版しようということになりました。中井先生、田中龍彦先生と編集に慣れているという理由で河合もGuest Editors となり2 年がかりで編集をすすめ、2001 年暮れにようやく出版されたのが本書です。鉄鋼分析や環境分析にゆかりのある日本の著者が14 論文を寄稿しました。古谷先生ご自身によれば、「私の化学の最後?の論文」という地下鉄駅構内の大気粉じんに関する論文も含まれています。前編集長のテリエ教授が前書きと総説も書いています(全部で15 の論文を収録)。どういう雑誌かという紹介と目次などはhttp://www.dekker.com/から探して見ることができますので省略します。恵泉女子学園大学の現在のオフィスで執務中の古谷先生を撮影した写真が、印刷所でメッシュをちゃんとかけなかったらしく画質が気になりますが、Dekker 社は9 月11 日のテロ現場の近くでもあり、Our offices are close enough to be affected, but far enough away for nobody to be physically hurt と言うことですのでお許しください。  部数はあまり多くはありませんのですべての方の御希望に沿えるかどうかわかりませんが、希望者には無料でお送りしたいと思います。河合まで(e-mail:jkawai@process.mtl.kyoto-u.ac.jp [mtl のl はmetal のエルです])お問い合わせください。 河合 潤(京大院工)