評価・分析・解析部会
中性子を中心とした量子ビームによる鉄鋼内部の組織解析活用技術の検討
■ | 活動目的・概要 中性子がバルク状の鉄鋼材料の相変態や集合組織形成過程、内部応力の分散状態、さらにはナノスケールの析出物の非破壊的評価については、これまでの産発プロジェクト、C 型およびI 型研究会により、有効性および利用の基本形態は確立し、各社独自の取り組みに移行しつつある段階である。一方で、サブミクロンから数十ミクロンレベルを網羅するような介在物を含むミクロン組織の非破壊評価分析は、未だ有効な手法を確立できているとは言い難い。この分野においても非破壊評価あるいはその場観察を行っていく上では量子ビーム技術が不可欠であると考えられるが、その有効性を実証できておらず、それゆえJ-PARC などの大型施設実験のマシンタイム確保に至らない悪循環となっている。 我々は本年度までの研究会活動の中で、このような未踏領域について「リスクのある課題への新規チャレンジ」における「小型中性子源の重要性」という新たな視点を見いだしつつある。さらに、X 線利用分野においても近年のラボ線源および集光光学系の導入さらに高エネルギーx 線源に対する検出器性能の大幅な向上から、鉄鋼材料においても十分な透過力を保持し、極小角散乱やマイクロCT も実現できるようになってきた。これらに加え、次年度からはJRR-3 が再稼働する。施設側もJ-PARC との役割分担を模索する中で、我々のこれまでの検討成果を踏まえ、JRR-3についても「リスクのある課題への新規チャレンジ」への利用法を提案する好機と考えられる。 以上の状況から、インハウス中性子、JRR-3,高エネルギーラボx 線を統一的に利用し、現在までの未踏分野であるサブミクロンから数十ミクロンレベルを網羅するような介在物を含むミクロン組織の非破壊評価分析について、インハウス中性子線イメージングや新たな技術であるインハウス中性子位相イメージング技術、ラボx 線マイクロCT、JRR-3 極小角中性子散乱、インハウス極小角中性子散乱、ラボ高エネルギー極小角x 線散乱により測定可能対象および検出可能領域の明確化を目指す。特にJ-PARC時代の原子炉JRR-3 の新活用法の一つとしてインハウス中性子源とリンクした活用法と高性能化は著しいものの大型施設の影に隠れて鉄鋼業界に浸透不足である高エネルギーラボx 線利用とを活用して、鉄鋼内部の非破壊解析の対象領域の拡張を狙う。さらに本フォーラムでは、実際のモデル材作製や高温状態へトライアルなどを含んだ測定を行ないながら、研究会への発展を具体的に検討していく予定である。 |
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■ | 運営組織(2021年4月1日現在)
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■ | フォーラム活動予定(2021年度) 2021年3月第1回運営会議(研究の方向性、フォーラムの進め方、分担内容) 2021年6月第1回研究会議(特別講演会、大型施設のスケジュール検討) 2021年9月第2回運営委員会(研究の方向性の修正、成果公表企画立案) 2021年11月第2回研究会議(特別講演会、進捗報告,JRR3-ビームタイム申請) 2022年2月第3回研究会議(春季講演大会発表について、フォーラムの進め方の修正 等) |