第257・258回西山記念技術講座
「カーボンニュートラル社会実現のためのエネルギー材料における科学基盤と開発最前線」
(申込締切:2025年9月26日)
【講座の視点】
カーボンニュートラル社会の実現には、エネルギー分野における革新が不可欠であり、その中心には最先端の鉄鋼材料技術が位置する。資源の創出、デリバリー、利活用の各セグメントにおいて、最適化された鉄鋼材料を社会に実装することが、持続可能な未来を切り開くための重要な課題である。特に、学術研究を深化させ、ボトルネックを先取りして解決することが、本領域における我が国の科学技術の国際的な競争力を高める鍵となる。本講座では、タンク、プラットフォーム、パイプなどのインフラ技術における革新的な鉄鋼材料の応用に加え、破壊力学、腐食、水素脆性、溶接、信頼性工学など、関連する学術分野の最前線を探求し、社会全体のイノベーションを促進する視点から解説する。
【協賛(50音順)】※依頼中
(公社)応用物理学会、(公社)化学工学会、(公社)計測自動制御学会、(一社)資源・素材学会、(一社)電気学会、(一社)特殊鋼倶楽部、(公社)土木学会、(一社)日本機械学会、(公社)日本技術士会、(公社)日本金属学会、(一社)日本計算工学会、(一社)日本建築学会、(公社)日本材料学会、(一社)日本塑性加工学会、日本中性子科学会、(一社)日本熱処理技術協会、(一社)日本非破壊検査協会、(公社)日本分析化学会、(一社)表面技術協会、(公社)腐食防食学会、(国研)物質・材料研究機構、(一社)溶接学会
日時・場所: |
第257回(大阪):2025年10月27日(月)10:00~17:00 受付時間:9:30~16:00 第258回(東京):2025年11月17日(月)10:00~17:00 受付時間:9:30~16:00 |
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プログラム: | |
参加申込み: 【8月初旬開始予定】 |
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参加費 (税込み、テキスト付): |
会員8,000円、一般15,000円、学生会員1,000円、学生一般2,000円 注)会員割引は個人の会員のみ有効です。協賛団体の個人会員、学生会員も含みます。 *非会員でご参加の方で希望される方には、下記会員資格を進呈します。 ★テキストは、講座終了後残部がある場合、鉄鋼協会会員価格、一般価格で販売いたします。 |
(一社)日本鉄鋼協会 育成グループ
Tel. 03-3669-5933 E-mail:educact@isij.or.jp
講演題目及び講演者、司会者
9:50-10:00 | 趣旨説明 | 司会者:河野 佳織(日本製鉄) |
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10:00-11:00 | 1) 「CN時代の社会インフラと材料信頼性評価」 東京大学 大学院工学系研究科 教授 川畑 友弥 |
11:00-12:00 | 2) 「水素脆化の実態解明 ~潜伏期から破壊まで~」 上智大学 大学院理工学研究科委員長・教授 高井 健一 |
12:00-13:00 | 3) 「金属材料の環境劣化割れ機構とその評価」 東京科学大学 物質理工学院 材料系 教授 多田 英司 |
司会者:川畑 友弥(東京大学) | |
14:00-15:00 | 4) 「水素関連機器向け材料に関する報告事例と開発動向とニーズに関して」 川崎重工業(株) 技術開発本部 技術研究所機械システム研究部 研究四課 課長 東 誠 |
15:00-16:00 | 5) 「海洋構造物としての洋上風力発電の普及に寄与する支持構造用鋼材と利用技術」 JFEスチール(株) スチール研究所 インフラ建材研究部 主査研究員 難波 隆行 |
16:00-17:00 | 6) 「カーボンニュートラル社会に向けた鋼材ソリューションの考え方と開発事例」 日本製鉄(株) 技術開発本部 鉄鋼研究所 鋼材ソリューション研究第二部 室長 小薄 孝裕 |
講演内容
将来の水素社会像を俯瞰し、2050年に向けて世界で求められる新しい社会インフラとそれらに用いられる鉄鋼材料と求められる性能、開発方針などを整理する。特にエネルギー分野においては、その高度な耐破壊信頼性が求められることから、破壊力学・溶接力学・信頼性工学のそれぞれにおいて最新の学術視点を紹介しながら、各構造物の用途に応じて設定すべき材料信頼性評価法とそのクライテリオンの在り方について提案する。中でも、過去の事故例を詳細に振り返り、欠けていた視点を洗い出すとともに、その共通項から新しい構造物の耐破壊信頼性構築手法を考えていく。
高強度鋼を適用した車体の軽量化により低炭素社会、水素をエネルギーとした自動車・建設機械・船舶・発電への転換により脱炭素社会の実現に向けて大きく前進するが、水素脆化がそれらを阻害している。最近、原子スケールでの実験と計算が連携した活発な要素研究の積み重ねにより、水素脆化の実態も解明されつつある。本講演では、水素原子が鋼中へ侵入して拡散・トラップを繰り返しながら破壊を引き起こす過程を解説する。特に、各種格子欠陥(原子空孔、転位、結晶粒界)と水素の相互作用を中心に、水素脆化破壊の潜伏期から、き裂発生・進展、および破壊に至るまでの実態について概説する。
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、水素やアンモニアなどの利用促進が期待され、それにかかる貯蔵、輸送設備の設計やその耐久性評価には環境特性の理解が必要である。金属材料の耐環境特性評価にとって重要となる腐食や環境劣化割れ現象は、材料およびその機械的性質、使用環境、力学条件に関係する複雑な劣化現象であり、これまで多くの腐食ならびに割れ機構が報告されてきた。本講演では、鉄鋼材料を中心に金属材料の腐食科学の基礎と環境劣化割れ機構について整理するとともに、カーボンニュートラル社会を支える金属材料の環境劣化割れ機構とその評価法についてこれまでの知見を概説する。
4)水素関連機器向け材料に関する報告事例と開発動向とニーズに関して
東 誠
水素はカーボンニュートラル社会の実現に向けて期待されるクリーンエネルギーであり、エネルギーの「つくる」「はこぶ」「ためる」「つかう」の各分野で革新的な製品開発が進行中である。水素は古くから利用されており数十年の実績を持つ機器も存在するが、今後の発展には新たな視点が必要である。本講演では、水素関連機器の使用環境、使用材料、関連法令の俯瞰図を示し、船舶や陸上設備、タービンなど具体的な技術に焦点を当てる。また、LNGの低温技術から液化水素の極低温技術への変貌におけるブレークスルーポイントや、材料のニーズ、材料開発の最新動向を紹介し、水素関連機器の低コスト化と効率的な利用に向けた道筋を明らかにする。
5)海洋構造物としての洋上風力発電の普及に寄与する支持構造用鋼材と利用技術
難波 隆行
洋上風力発電は日本が大きなポテンシャルを有するエネルギー源として経産省の「グリーン成長戦略」の柱に位置付けられており、水素やアンモニアなどのクリーンエネルギーの生産手段としても期待されている。一方で、洋上風力では、海洋環境の考慮や、日本特有の地震荷重への対応が強く求められる。さらに部材製作コスト削減に加え、現地施工の観点から支持構造の軽量化が普及のカギとなる。本講演ではこれらの背景に基づき、海洋構造物全般について概説しながら、洋上風力発電設備の支持構造に求められる鋼材、溶接技術、疲労強度向上技術、検査補修、並びに風、波、地震を考慮した支持構造の設計について解説する。
6)カーボンニュートラル社会に向けた鋼材ソリューションの考え方と開発事例
小薄 孝裕
カーボンニュートラル社会の実現には、水素キャリアである液化水素やアンモニア等の生産から輸送・消費に至るサプライチェーンの構築や、回収したCO2を埋蔵するCCSの普及が必要となる。そこでは高圧や極低温利用等、従来エネルギーには無かった過酷環境に応じた腐食や破壊リスクが想定されるため、それらを解決するための鋼材開発・提案が求められる。本講演では、カーボンニュートラル社会に必要な新たな鋼材ソリューションの諸課題、及びその中でも直近の技術発展が期待されるCO2の液化貯蔵タンクの大型化や輸送、貯留のための圧入管、また将来の水素普及の柱となる高圧水素利用に向けた鋼材の研究開発状況について概説する。
会場案内

CIVI研修センター新大阪東 7階E705会議室
(大阪市東淀川区東中島1-19-4 LUCID SQUARE SHIN-OSAKA)
JR:「新大阪駅」駅下車 東口から50m
地下鉄:御堂筋線「新大阪駅」駅から徒歩5分
http://www.civi-c.co.jp/access.html

鉄鋼会館 会議室
(東京都中央区日本橋茅場町3-2-10)
JR:「東京駅」八重洲口より徒歩約15分
地下鉄:東西線「茅場町駅」12番出口より徒歩約5分
日比谷線「茅場町駅」1番出口より徒歩約5分、「八丁堀駅」A5番出口より徒歩約5分
https://www.tekko-kaikan.co.jp/publics/index/4/
※講座案内のチラシはこちらからダウンロード出来ます。