第25回鉄鋼工学アドバンストセミナー（鉄鋼工学中堅技術者セミナー）受講者募集案内（申込締切日：2017年6月12日）

■開催案内

本セミナーは10～15年の実務経験を持つ中堅技術者を対象とし、次代の鉄鋼業の担い手を育成することを目的としています。各コースとも、他社の技術者とのディスカッションを主体に、既得の知識を存分に活用しながら各自の技術思想の整理・再構築を図ることに主眼を置いた、実践的コースで構成されております。


（1）少人数で討論主体：
	受講者は予め提示された宿題に対する解答を用意し、本セミナーで相互にこれを発表した後、問題点を抽出して徹底的な討論を行う。尚、宿題、討議のいずれにおいても受講者所属組織の秘密情報の提出は強要しない。

（2）次代に向けたテーマ：
	次代の鉄鋼業に向けた課題をテーマとして選択する。答えを出すことが目的ではない。
（3）最高の講師陣：
	テーマに対する最高の専門家を講師として迎え、これら講師が関連する講義を担当しWG委員とともに討論の指導を行う。また、アシスタントとして大学若手研究者が討論に参加する。

第25回を下記のとおり開催いたしますので、奮って受講下さるようご案内いたします。

1．

期　日
2017年10月23日（月）～25（水）　集合日時：10月23日（月）8:30

2．

会　場
セミナーハウス　クロス・ウェーブ船橋
（〒273-0005 千葉県船橋市本町 2-9-3）　電話：047-436-0111

3．

内　容
次項以降に示す

4．

募集コースおよび内容

コース共通	基本的時間割　　基調講演
製銑コース	テーマ／講師・アシスタント／宿題／講義
製鋼コース	テーマ／講師・アシスタント／宿題／講義
圧延コース	テーマ／講師・アシスタント／宿題／講義

(注)	募集人員は、全コース合わせて30名程度です。応募者がきわめて少ない場合は、そのコースの実施を中止することがあります。また、応募者が多数の場合は、お断りすることがあります。

5．

参加資格
以下の条件をすべて満たしている方。

（1）	日本鉄鋼協会正会員。
（2）	国内に生産拠点を有する維持会員企業に属する企業社員国内に生産拠点を有する維持会員企業の推薦を受けた企業社員日本の大学に属する若手教員。
（3）	鉄鋼工学セミナー、同専科修了者または同等以上の経験・能力を有する方。
（4）	討論主体の本セミナーで積極的に発言できる方。本セミナーは知識を吸収する場ではなく、各々の知識を以て討論する場です。

6．

費　用

イ）金額(税込)

受講料：108,000円
食事代： 13,000円（5食分）

※	宿泊料及び朝食代は含まれておりません。宿泊につきましては、ハ）をご覧下さい。

ロ）送金方法

受講者が決定次第、請求書をお送りしますので、8月21日（月）までにご送金下さい。
8月22日（火）以降に申込みの取り消しをされても返金できませんので、予めご了承下さい。

ハ）宿　　泊

宿泊につきましては、受講者が決定次第、併せてご案内いたします。受講者各位でお申し込みいただき、料金をお支払いいただく形式となりますので、予めご了承下さい。

7．

申込締切日
2017年6月12日（月）期日厳守

8．

申込方法
申込みは終了いたしました。

申込・問合せ先
(一社)日本鉄鋼協会　育成グループ　楢岡
〒103-0025　東京都中央区日本橋茅場町3-2-10　鉄鋼会館5階
電話　03-3669-5933　FAX.03-3669-5934　E-mail：educact@isij.or.jp

●育成委員会鉄鋼工学アドバンストセミナーWG●

WG主査	齋藤　公児	(新日鐵住金(株) 技術開発本部フェロー)
WG委員	松野　英寿	(JFEスチール(株) スチール研究所製銑研究部部長)
	菊池　直樹	(JFEスチール(株) スチール研究所製鋼研究部部長)
	高町　恭行	(新日鐵住金(株) 技術開発本部プロセス研究所鋼圧一貫研究部上席主幹研究員)

■内　容

1．基調講演

題　目「地球温暖化対策における鉄鋼部門の役割と課題」
地球温暖化対策の国際枠組みとなるパリ協定は2016年11月に発効した。パリ協定は、温室効果ガス削減量を法的義務とする京都議定書とは異なり、各国が自主的に目標を宣言するプレッジ＆レビュー方式を採用したため世界のほとんどの国が参加している。しかし、一方でパリ協定は「2℃目標」を明記し、今世紀後半の「グローバル正味ゼロ排出」を求めている。このような国際動向の中で鉄鋼部門に期待されている役割と課題を考える。

講　師　山地　憲治（公益財団法人地球環境産業技術研究機構理事・研究所長）

2．コース
（1）製銑コース

テーマ「劣質資源に対応した次世代高炉の課題と対応」
世界の粗鋼生産量は中国の爆発的な生産を筆頭に年々増加の一途を辿っており、世界的な人口増が今後も継続する事を鑑みれば、この傾向は将来に亘り継続すると予想されている。それに伴い従来使用していた良質な鉄鉱石および石炭の不足が深刻化してきており、より劣質な原料・資源を有効に活用する技術を開発した国・企業が将来に亘って国際競争力を維持できると考えられる。

本セミナーでは、各社で製銑業務を牽引する立場にある受講生が、従来の制約条件に縛られずに自由に発想した「10年、20年後に花開く理想の次世代高炉プロセス像」を持ち寄り、将来の製銑プロセスの目指すべき方向について議論する。


講　師	柏谷　悦章	(京都大学大学院エネルギー科学研究科エネルギー応用科学専攻准教授)
	野内　泰平	(JFEスチール(株) スチール研究所製銑研究部主任研究員)
アシスタント	夏井　俊悟	(北海道大学大学院工学研究院材料科学専攻助教)
○講義1	「高炉内現象の解析と水素製鉄への可能性」（柏谷講師）
○講義2	「製銑プロセスにおける数値シミュレーションとITの役割と期待」（野内講師）
○講義3	分散相の熱・物質移動を考慮した数理モデルによる新たな高炉プロセスデザイン（夏井アシスタント）

○宿題：
	「劣質原料に対応する次世代の製銑高炉プロセス像」のイメージとそれを達成するための課題の抽出を行い、どのような対応策が考えられるかを述べて下さい。また、「理想像の実現に向け解決すべき課題については、現状の2017年を起点に2030年までに課題を解決し戦力化していく過程（戦略ロードマップ）」を独自の視点で考察し提案して下さい。レポートを提出するにあたり、関連資料のレビューを実施し、考察の根拠を明らかにする事に留意下さい。 [キーワード] 原料劣質化、CO₂問題、革新的製銑プロセス、技術ロードマップ、国際競争力、操業自動化、プロセスの見える化 ※セミナー当日の課題報告はパワーポイントで行い、課題レポートの要点を明確に伝えられるよう構成すること。

（2）製鋼コース

テーマ「データサイエンス活用、エネルギー効率向上による革新製鋼プロセス開発の課題」
東アジアにおける過剰な生産能力などを背景にして、我が国鉄鋼業は今さらいうまでもなく、激しい国際競争にさらされており、この状況は長期にわたり継続するのではないかと言われている。このような環境を克服するために、圧倒的なコスト競争力の確保、まねの難しい独自商品による差別化、マーケティング戦略の強化などいくつかの方策が考えられるが、製鋼プロセスとしても精錬、鋳造、品質管理など様々な視点での対応が必要となる。本コースではこのような市場環境を考慮したうえで、将来(10～15年後)の姿として製鋼プロセスの目指すべき方向について議論する。


講　師	北村　章	(鳥取大学大学院工学研究科情報エレクトロニクス専攻教授)
	山崎　強	(新日鐵住金(株) 技術開発本部プロセス研究所製鋼研究部上席主幹研究員)
アシスタント	鈴木　賢紀	(大阪大学工学研究科マテリアル生産科学専攻界面制御工学領域講師)
○講義1	「IT、データサイエンス最先端と鉄鋼プロセスでの活用」（北村講師）
○講義2	「精錬プロセスにおけるCO₂低減、エネルギー効率向上技術」（山崎講師）
○講義3	「スラグ中カルシウムシリケート系化合物の相状態と微細構造に関する新展開」（鈴木アシスタント）

○宿題：

最近の東アジア地域における鋼材の過剰生産や、各国市場への流入を踏まえ、このような状況を克服するための製鋼プロセスにおける課題を挙げ、どのような対応策が考えられるか述べなさい。

具体的対応策の例として、製鋼プロセスにおける①IT、データサイエンス活用、②革新的エネルギー効率向上技術・プロセス開発、③産学連携について検討して下さい。

①	操業改善、トラブル防止、品質管理、研究活動に対してどのようにデータサイエンスを活用するかを提案して下さい。更に今後、革新製鋼プロセスを実現するためにどのように活用するかを提案して下さい。 ※ここで、製造におけるデータサイエンスとは、製造に関わる多量の数値データや操業情報（テキストや画像など）から、多様な統計・情報処理によって、製造に関わる知識やノウハウを抽出・表出化する事とする。
②	現行プロセスにおける省エネ・創エネ技術と、2030年目標である炭酸ガス排出20％低減を実現するための新プロセス・技術を提案してください。
③	上記①,②で提案した内容の実現に向けて、また産学連携を活性化させることも視野に入れて、産学間の交流方法について具体的に提案して下さい（交流会、相互派遣、共同研究の進め方等）。

各課題については、関連資料のレビュー、バウチャーを明らかにし、レポートに記載してください。

※課題報告はパワーポイント（上記①～③の内容を含むこと）で行い、レポート要点を明確　に伝えられるよう構成すること。

（3）圧延コース

テーマ「棒・線圧延における次世代製造プロセス技術」
近年、世界の鉄鋼産業は過剰な生産設備を抱えると共に資源価格の高騰にも見舞われ、厳しい経営環境の中で熾烈な国際競争にさらされており、棒鋼・線材も例外ではない。

一方、環境面ではCO₂削減のための鋼材の高強度軽量化や、省資源、省エネルギーも強く求められている。斯様な現状を踏まえ、棒・線の製造プロセスとして将来あるべき姿を考え、寸法精度・表面品質向上対策やTMCP等の組織制御を含め、今後の日本のミルに求められる次世代製造プロセス技術について議論する。


講　師	小森　和武	(大同大学工学部総合機械工学科教授)
	丸川　邦彦	(JFEスチール(株)棒線企画部主任部員)
	大石　雄三	(SMS group(株)代表取締役)
アシスタント	梶野　智史	(産業技術総合研究所つくば東事業所先進製造プロセス研究部門基盤的加工研究グループ主任研究員)
○講義1	「棒・線圧延の理論と実際」（小森講師）
○講義2	「棒鋼・線材の圧延・精整プロセスの現状と課題」（丸川講師）
○講義3	「最新の棒線設備の動向とSMS groupの対応」（大石講師）

○宿題：
自身が担当する棒・線製造プロセスおよびその関連研究において、グローバル競争を勝ち抜くための圧倒的な高付加価値商品（高強度、内質・表面欠陥レス、高寸法精度、他）の製造、あるいは格段の製造コスト低減（高生産性、合金削減、チャンスフリー圧延、他）を求められた際に、どこに課題が有るかを整理し、その解決に必要なプロセス技術について文献等を参考に考察して下さい。更に自身が考える理想的な棒・線製造プロセスあるいはその一部を成す要素技術について、既成観念に捉われずに発想し、提案して下さい。

※課題報告はパワーポイントで行い、レポート要点を明確に伝えられるよう構成すること。