第22回鉄鋼工学アドバンストセミナー（鉄鋼工学中堅技術者セミナー）受講者募集案内（申込締切日：2014年6月13日）

■開催案内

本セミナーは10～15年の実務経験を持つ中堅技術者を対象とし、次代の鉄鋼業の担い手を育成することを目的としています。各コースとも、他社の技術者とのディスカッションを主体に、既得の知識を存分に活用しながら各自の技術思想の整理・再構築を図ることに主眼を置いた、実践的コースで構成されております。


（1）少人数で討論主体：
	受講者は予め提示された宿題に対する解答を用意し、本セミナーで相互にこれを発表した後、問題点を抽出して徹底的な討論を行う。尚、宿題、討論のいずれにおいても受講者所属組織の秘密情報の提出は強要しない。

（2）次代に向けたテーマ：
	次代の鉄鋼業に向けた課題をテーマとして選択する。答えを出すことが目的ではない。
（3）最高の講師陣：
	テーマに対する最高の専門家を講師として迎え、これら講師が関連する講義を担当しWG委員とともに討論の指導を行う。また、アシスタントとして大学若手研究者が討論に参加する。

第22回を下記のとおり開催いたしますので、奮って受講下さるようご案内いたします。

1．

期　日
2014年10月16日（木）～18（土）　集合日時：10月16日（木）8：15　　開始日時：同日8：30

2．

会　場
（株）ホテルKSP
（〒213-0012　神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1かながわサイエンスパーク（KSP）内
　電話：044-819-2211）

3．

内　容
次項以降に示す

4．

募集コースおよび内容

コース共通	基本的時間割　　基調講演
製銑コース	テーマ／講師・アシスタント／宿題／講義
製鋼コース	テーマ／講師・アシスタント／宿題／講義
圧延コース	テーマ／講師／宿題／講義

(注)	募集人員は、全コース合わせて30名程度です。応募者がきわめて少ない場合は、そのコースの実施を中止することがあります。また、応募者が多数の場合は、お断りすることがあります。

5．

参加資格
以下の条件をすべて満たしている方。

（1）	日本鉄鋼協会正会員のみ。
（2）	国内に生産拠点を有する維持会員企業に属する企業社員国内に生産拠点を有する維持会員企業の推薦を受けた企業社員日本の大学に属する若手教員。
（3）	鉄鋼工学セミナー、同専科修了者または同等以上の経験・能力を有する方。
（4）	討論主体の本セミナーで積極的に発言できる方。本セミナーは知識を吸収する場ではなく、各々の知識を以て討論する場です。

6．

費　用

イ）金　　額

受講料：108,000円（税抜価格100,000円）
食事代： 14,000円（5食分、税抜価格12,963円）

※	宿泊料及び朝食代は含まれておりません。宿泊につきましては、ハ）をご覧下さい。

ロ）送金方法

受講者が決定次第、請求書をお送りしますので、8月22日（金）までにご送金下さい。
8月23日（土）以降に申込みの取り消しをされても返金できませんので、予めご了承下さい。

ハ）宿　　泊

宿泊につきましては、受講者が決定次第、併せてご案内いたします。受講者各位でお申し込みいただき、料金をお支払いいただく形式となりますので、予めご了承下さい。

7．

申込締切日
2014年6月13日（金）期日厳守

8．

申込方法
申込みは終了いたしました。

申込・問合せ先
(一社)日本鉄鋼協会　学会・生産技術部門事務局　育成グループ　楢岡
〒103-0025　東京都中央区日本橋茅場町3-2-10　鉄鋼会館5階
電話　03-3669-5933　FAX.03-3669-5934　E-mail：educact@isij.or.jp

●育成委員会鉄鋼工学アドバンストセミナーWG●

WG主査	岸本　康夫	(JFEスチール(株)スチール研究所　主席研究員)
WG委員	宇治澤　優	(新日鐵住金(株)　製銑技術部　上席主幹)
	瀬村康一郎	((株)神戸製鋼所　鉄鋼事業部門　技術開発センター　製鋼開発部　部長)
	江藤　　学	(新日鐵住金(株)　技術開発本部　プロセス研究所　圧延研究部長)

■内　容

1．基調講演

題　目「やっぱり，熱力学ってすごい！「熱力学的に理解する」とはどういうことか？」
鉄鋼業においては、冶金熱力学を理解した人材に対する期待は大きいが、一方で現象やプロセスを「熱力学的に理解する」ことの本質は何か？という問いかけや、いったい他の分野の理解のしかたとどう違うのか？といった議論は乏しい。本講演では、幾つかの具体的な例を挙げて熱力学的な理解が導く豊かな可能性を紹介し、「熱力学的な理解」という関連する異分野とのインターフェースの多様な可能性について議論したい。

講　師　山口　周（東京大学　大学院工学系研究科　マテリアル工学専攻　教授）

2．コース
（1）製銑コース

テーマ「今後の国内高炉の目指すべき方向とは」
国内高炉は大型化により、良質な原料（鉱石・石炭）を使用せざるを得ず、今後の原料劣質化の方向と逆行している。また、高炉のガス利用効率=熱効率はすでに、熱力学的制約レベルに到達しており、還元材比低減=コークス比低減=CO₂削減は容易でない。今後、原材料の品質・コストの悪化を吸収しつつ、銑鉄・副生ガスの安定生産、コスト低減、ならびにCO₂低減を追求していくためには、高炉法の抜本的な見直し（変革）が必要である。本コースでは現状高炉の得失を理解した上で、将来（10年～20年先）の国内高炉の目指すべき方向について議論することを目的とする。


講　師	有山　達郎	(東北大学　名誉教授)
	国友　和也	(九州大学　大学院工学研究院　材料工学部門　教授)
アシスタント	三木　貴博	(東北大学　大学院工学研究科　金属ﾌﾛﾝﾃｨｱ工学専攻　准教授)
○講義1	「今後の課題解決に向けた高炉のさらなる発展形について」（有山講師）
○講義2	「エネルギー収支からみた高炉法の限界と可能性」（国友講師）

○宿題：
	将来の高炉法において克服すべき最も重要な技術課題は何かを挙げ、その解決に向けての案を提示し、その有効性とその技術確立に向けてのアプローチ案を示してください。 [キーワード] 国際競争力、地球温暖化、エネルギー･資源問題

（2）製鋼コース

テーマ「資源選択自由度をもつ高級鋼の高効率精錬技術」
我が国の鉄鋼業が、アジアでの熾烈な競争に勝ち抜き、持続的に事業を発展させるためには、昨今の資源高騰を鑑み、劣性原料の使用など資源選択自由度を拡大させつつ、高級鋼の品質作り込みと量産技術を高次元で両立させる必要がある。

このためには、精錬技術の弛まぬプロセス開発が必要であり、各社とも上記背景の中で、基礎研究や応用研究の継続が望まれる。一方で、乗り越えるべき課題の難易度が高まっているのも事実であり、産学連携の推進、企業間の連携も必要となってこよう。

そこで、本セミナーでは、共通の課題である、資源選択自由度をもつ高級鋼の高効率精錬技術について、上記のような観点から議論を深めることにより、10～20年先をみた技術開発の方向性、展望について考える。


講　師	伊藤　公久	(早稲田大学　基幹理工学部　応用数理学科　教授)
	内田　祐一	(JFEスチール(株) スチール研究所製鋼研究部主任研究員(副部長))
アシスタント	植田　　滋	(東北大学多元物質科学研究所准教授)
○講義1	「高効率精錬のための熱力学と速度論」（伊藤講師）
○講義2	「資源選択と環境調和の両立のための高効率精錬技術の現状と展望」（内田講師）

○宿題：

「資源選択自由度をもつ高級鋼の高効率精錬技術」に関する下記のキーワードより一つ選択し、そのキーワードに関する関連論文（部会資料でも可）をレビューし、その必要性、現状把握、課題とブレークスルーポイントを提案して下さい。

また、それに対応した大学に期待する研究テーマ案を提案して下さい。関連論文は自社のものにこだわらずレビューして下さい。

[キーワード]

(1)	資源選択自由度1：劣性原料の使用（鉄鉱石、劣性溶銑、スクラップ）
(2)	資源選択自由度2：安価副原料の使用（合金、精錬フラックス）資源選択自由度を高めた以下の取り組み
(3)	高効率、高速精錬方法（1次精錬～2次精錬）
(4)	高純度精錬方法
(5)	高級鋼の歩留まりアップ
(6)	環境調和型プロセス構築（スラグ・ダスト低減、リサイクル技術、環境対応、スラグ・ダストなどの処分費用低減、低エネルギー）
(7)	精錬反応の制御、モデリング

（3）圧延コース

テーマ「薄板冷延における次世代プロセス技術」
世界の鉄鋼市場は拡大しつつあるものの、中進国での生産設備増強も盛んであり、中長期的には国際競争はますます激化すると見込まれている。量的比率の高い薄板での競争力確保は鉄鋼各社にとって重要な課題であり、その中核プロセスである冷延工程の技術革新、改善に向けられた期待は大きい。既存商品において従来以上の品質を維持しつつ、高精度、高能率、省エネ化等により製造コスト低減を図ると共に、新たな高付加価値商品の製造にも対応していかねばならない。特に近年の高強度材の急速な進化と拡大に対し、製造技術上の課題は大きいと考える。斯様な現状を踏まえ、調質圧延や矯正も含めた冷延プロセス全般を基本に立ち返って見直し、将来あるべき姿を考え、今後求められる次世代の技術について議論する。


講　師	阿高　松男	(東京電機大学工学部機械情報工学科非常勤講師(名誉教授))
	舘野　純一	(JFEスチール(株) スチール研究所圧延･加工プロセス研究部主任研究員(部長))
	後藤　　朗	(三菱日立製鉄機械(株)広島事業所プロジェクト統括部部長)
○講義1	「冷間圧延の矯正・調質圧延のメカニズムと諸問題について」（阿高講師）
○講義2	「高精度・高能率圧延技術」（舘野講師）
○講義3	「素材の高強度化に伴う設備課題と対応技術」（後藤講師）

○宿題：
自身が担当する薄板冷延プロセスおよびその関連研究において、グローバル競争を勝ち抜くための圧倒的な高付加価値商品（高強度、表面欠陥レス、高寸法精度、他）の製造、あるいは格段の製造コスト低減（高生産性、省エネルギー、他）を求められた際に、どこに課題が有るかを整理し、その解決に必要なプロセス技術について文献等を参考に考察して下さい。更に自身が考える理想的な冷延プロセスあるいはその一部を成す要素技術について、既成観念に捉われずに発想し、提案して下さい。