第20回鉄鋼工学アドバンストセミナー（申込締切日：2012年6月15日）

■開催案内

本セミナーは10～15年の実務経験を持つ中堅技術者を対象とし、次代の鉄鋼業の担い手を育成することを目的としています。
各コースとも、他社の技術者とのディスカッションを主体に、既得の知識を存分に活用しながら各自の技術思想の整理・再構築を図ることに主眼を置いた、実践的コースで構成されております。


（1）少人数で討論主体：
	受講者は予め提示された宿題に対する解答を用意し、本セミナーで相互にこれを発表した後、問題点を抽出して徹底的な討論を行う。

を特徴の第一とした実戦的セミナーです。また、次の特徴もあります。


（2）次代に向けたテーマ：
	次代の鉄鋼業に向けた課題をテーマとして選択する。答えを出すことが目的ではない。
（3）最高の講師陣：
	テーマに対する最高の専門家を講師として迎え、これら講師が関連する講義を担当するとともにＷＧ委員とともに討論の指導を行う。また、アシスタントとして大学若手研究者が討論に参加する。

第２０回を下記のとおり開催いたしますので、奮って受講下さるようご案内いたします。

１．

期　日
2012年11月1日（木）～3日（土）　集合日時：11月1日（木）　8：15　　開始日時：同日8：30

２．

会　場
かながわサイエンスパーク（KSP）
（〒213-0012　神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1　電話：044-819-2001）

３．

内　容
次項以降に示す

４．

募集コースおよび内容

コース共通	基本的時間割　　基調講演
製銑コース	テーマ／講師・アシスタント／宿題／講義
製鋼コース	テーマ／講師・アシスタント／宿題／講義
圧延コース	テーマ／講師／宿題／講義

（注）	募集人員は、全コース合わせて28名程度です。応募者がきわめて少ない場合は、そのコースの実施を中止することがあります。また、応募者が多数の場合は、お断りすることがあります。

５．

参加資格
以下の条件をすべて満たしている方。

（1）	日本鉄鋼協会正会員のみ。
（2）	国内に生産拠点を有する維持会員企業に属する企業社員国内に生産拠点を有する維持会員企業の推薦を受けた企業社員日本の大学に属する若手教員。
（3）	鉄鋼工学セミナー、同専科修了者または同等以上の経験・能力を有する方。
（4）	討論主体の本セミナーで積極的に発言できる方。本セミナーは知識を吸収する場ではなく、各々の知識を以て討論する場です。

６．

費　用

イ）金　額

受講料：105,000円（税込）
食事代：13,600円　（5食分、税込）

※	宿泊料及び朝食代は含まれておりません。宿泊につきましては、ハ）をご覧下さい。

ロ）送金方法

受講者が決定次第、請求書をお送りしますので、8月24日（金）までにご送金下さい（現金書留も可）。
8月25日（土）以降に申込みの取り消しをされても返金できませんので、予めご了承下さい。

ハ）宿　泊

宿泊（朝食付）につきましては、受講者が決定次第、併せてご案内いたします。受講者各位でお申し込みいただき、料金をお支払いいただく形式となりますので、予めご了承下さい。

７．

申込締切日
2012年6月15日（金）期日厳守

８．

申込方法
受付は終了いたしました。

申込・問合せ先
(一社)日本鉄鋼協会　学会・生産技術部門事務局　育成グループ　植田
〒103-0025　東京都中央区日本橋茅場町 3-2-10　鉄鋼会館5階
電話　03-3669-5932　FAX.03-3669-5934　E-mail：educact@isij.or.jp

●育成委員会鉄鋼工学アドバンストセミナーWG●

WG主査	上島　良之	（新日本製鐵（株）技術開発本部フェロー）
WG委員	武田　幹治	（JFEスチール（株）スチール研究所主席研究員）
	三木　祐司	（JFEスチール（株）スチール研究所製鋼研究部部長）
	蛭田　敏樹	（JFEスチール（株）スチール研究所圧延・加工プロセス研究部部長）

■内　容

１．基調講演

題　目「材料の複合化効果－高強度・高機能・高信頼性発現に向けて」
異なる性質を持った異種材料を組み合わせた複合材料が、なぜ単独の材料では実現できない高強度・高機能・高信頼性を生み出せるのかを、材料選択、界面制御、複合形態制御などの観点から、多様な例を挙げながら、紹介する。それらの高特性現出手法やその背景にある原理・コンセプトが、製鉄機械の設計保全、鋼材製造工程での割れ問題などの解決、鉄鋼材料の開発・改善、異種材料との複合化による鉄鋼材料の応用分野拡大などのヒントになればと願っている。

講　師　落合　庄治郎（京都大学　大学院工学研究科　材料工学専攻　教授）

２．コース
（1）製銑コース

テーマ「石炭価格高騰下での次世代のコークス製造技術」
中国、インドなどの経済成長にともない石炭供給能力が逼迫し、価格が上昇するとともに、強粘結炭の価格高騰は著しく、溶銑コスト上昇の大きな要因となっている。また、国内のコークス炉は既に更新時期をむかえ、各社でパッドアップなどの計画が公表されているが、更新時に新技術を導入できるチャンスがある。このような環境変化に対応して、その製造技術（石炭配合技術＋コークス炉の新機能）の将来展望について討論を行い、１０～２０年先の次世代にあるべきコークス製造技術について議論する。


講　師	青木　秀之	（東北大学　大学院工学研究科　化学工学専攻　教授）
	加藤　健次	（新日本製鐵（株）　設備・保全技術センター　プラントエンジニアリング部　部長）
アシスタント	蘆田　隆一	（京都大学　大学院工学研究科　化学工学専攻　助教）
○講義１	「劣質・未利用炭素資源を用いた高強度コークス製造技術開発研究」（青木講師）
○講義２	「コークス製造技術の発展と現状の課題」（加藤講師）

○宿題：
	１）	既存のコークス製造技術の評価現在、日本（各社）および海外で実機化されている既存のコークス製造技術（事前処理、石炭配合、ハード）を前提にした場合、達成可能な劣質炭配合比率の上限値は何％か？その律速（制約）条件は何か？
	２）	石炭資源拡大のためのブレークスルー技術の提案上記１）で提示した劣質炭配合比率の上限値（または、強粘結炭比率の下限値）をブレークスルーするための将来技術について、石炭配合技術、石炭改質技術およびコークス炉の新機能に関するハード技術などを提案してください。
	３）	石炭資源拡大によるコスト評価上記１）、２）で提案する技術を基に、コークス製造用原料炭および高炉用微粉炭（ＰＣＩ）を含めて、銑鉄製造用として使用できる劣質炭比率の上限および劣質炭比率上昇によるコスト効果を検討し、提示してください。

（2）製鋼コース

テーマ「安価原料による精錬・連鋳一貫の高級鋼の高効率生産技術」
我が国の鉄鋼業が、アジアでの熾烈な競争に勝ち抜くためには、安価原料を使用し、高級品を高効率で製造することが必要である。さらに、製鋼プロセスにおいても、ＣＯ２、リサイクル問題は常に考慮されるべき事項となってきており、製鋼に求められる課題も多い。このためには、製鋼の精錬、鋳造一貫プロセスを俯瞰した弛まぬプロセス開発が必要であり、各社とも、上記背景の中で、基礎研究から応用研究が継続されている。一方で、乗り越えるべき課題の難易度も高まっているのも事実であり、産学連携の推進、企業間の連携も必要となってこよう。そこで、本セミナーでは、共通の課題である、安価原料による精錬・連鋳一貫の高級鋼の生産技術について、安価原料利用、リサイクルも観点に入れた議論を深めることにより、１０年先をみた技術開発の方向性、展望について考える。


講　師	松浦　清隆	（北海道大学　大学院工学研究院　材料科学部門　教授）
	瀨村　康一郎	（（株）神戸製鋼所鉄鋼事業部門技術開発センター製銑･製鋼開発部部長）
アシスタント	大野　宗一	（北海道大学　大学院工学研究院　材料科学部門　准教授）
○講義１	「連鋳鋳片のオーステナイト結晶粒組織の形成機構と組織制御」（松浦講師）
○講義２	「最近の鉄鋼原料動向と高級鋼の高効率製造時の課題」（瀨村講師）

○宿題：設問1および、設問2または設問3のどちらかを選択し回答せよ。

「安価原料による精錬・連鋳一貫の高級鋼の生産技術」に関する下記のキーワードより一つ選択し、そのキーワードに関する関連論文（部会資料でも可）をレビューし、その必要性、現状把握、課題とブレークスルーポイントを提案せよ。また、それに対応した大学に期待する研究テーマ案を提案せよ。関連論文は自社のものにこだわらずレビューすること。また、物理化学、鉄鋼プロセス工学などの科学・工学的視点からの分析・考察を加える事が望ましい。

[キーワード]

(1)	低CO₂発生プロセス（高熱効率、Ｆｅ歩留増、回収（ダスト、地金）、リサイクル）
(2)	高速精錬方法
(3)	ハイエンド品安価・安定溶製技術（品質、センサー、成分（狭幅）制御など）
(4)	環境調和型プロセス構築（スラグ・ダスト低減、リサイクル技術、環境対応、スラグ・ダストなどの処分費用低減）
(5)	原料調達リスク回避（安価副原料（合金、精錬フラックス））
(6)	高速鋳造技術
(7)	直行率100％＝DHCR100％達成のためのプロセス
(8)	品質保証のためのオンラインセンシング技術
(9)	タンディッシュ精錬
(10)	鋳造時の割れ防止技術
(11)	劣性原料の使用（鉄鉱石、スクラップ）
(12)	高級鋼の歩留まりアップ

（3）圧延コース

テーマ「グローバル化に対応した次世代熱間圧延技術を考える」
薄板の熱間圧延では製品の大半が本工程を経由し、その生産能力が高いため、基幹的な中間プロセスと位置づけられている。このため種々の革新的な圧延技術が開発されてきた。これまで日本で開発した技術は海外にも展開され、併せて国内外の経済的な環境変化などにより、日本の熱延ミルの強みは相対的に低下しているのが現状である。一方で、ＣＣと連続化した、コンパクトミル（ミニミル）の建設が多い現状を踏まえ、グローバルな競争に打ち勝つ、一貫製鉄所のマザーミルである熱間圧延の将来展望について議論する。


講　師	木内　　学	（東京大学　名誉教授）
	江藤　　学	（住友金属工業㈱　総合技術研究所　鋼板プロセス研究開発部　部長研究員）
	武口　　達	（三菱日立製鉄機械㈱　広島事業所　圧延ﾌﾟﾛｼﾞｪｸﾄｸﾞﾙｰﾌﾟ　ｸﾞﾙｰﾌﾟﾘｰﾀﾞ）
○講義１	「板圧延技術の進歩と課題」（木内講師）
○講義２	「熱間圧延における操業課題と次世代圧延技術」（江藤講師）
○講義３	「熱間圧延機の進歩と新熱間圧延プロセス」（武口講師）

○宿題：
自身が担当する熱延製造プロセス、研究開発において、競争力のある製品（例えば超ハイテン、断面矩形熱延鋼板、極薄材など）を、従来製品と同じ製造範囲（寸法）で工程的に圧延しなければならないとき、担当するプロセスにおいて製造ネックになる要因（耐荷重、設備仕様、動力、能率、加工熱処理）を調査し、これを解決するための既存技術について文献等を参考に考察するとともに、既存技術では解決不能となる課題がどこにあるのか分析してください。さらに担当プロセスとミニミルを含む国内外の熱間圧延プロセスと比較し、競争力のある次世代の薄板熱間圧延プロセスに必要な将来の要素技術（革新プロセスによる高生産性、寸法品質、高性能材質など）について考察してください。

※なお、本コースでは、上記の目的のために、熱間圧延・冷却・整精および工程設計の操業・設備・（部分的には材料も含めるか？）開発に関与している人を募集します。

＜来年度以降のスケジュール＞
　25年度は線材・棒鋼・形鋼圧延を取りあげる予定