第19回鉄鋼工学アドバンストセミナー

■開催案内

本セミナーは10～15年の実務経験を持つ中堅技術者を対象とし、次代の鉄鋼業の担い手を育成することを目的としています。
各コースとも、他社の技術者とのディスカッションを主体に、既得の知識を存分に活用しながら各自の技術思想の整理・再構築を図ることに主眼を置いた、実践的コースで構成されております。


（1）少人数で討論主体：
	受講者は予め提示された宿題に対する解答を用意し、本セミナーで相互にこれを発表した後、問題点を抽出して徹底的な討論を行う。を特徴の第一とした実戦的セミナーです。また、次の特徴もあります。

（2）次代に向けたテーマ：
	次代の鉄鋼業に向けた課題をテーマとして選択する。答えを出すことが目的ではない。
（3）最高の講師陣：
	テーマに対する最高の専門家を講師として迎え、これら講師が関連する講義を担当するとともにWG委員とともに討論の指導を行う。また、アシスタントとして大学若手研究者が討論に参加する。

第19回を下記のとおり開催いたしますので、奮って受講下さるようご案内いたします。

１．

期　日
2011年10月20日（木）～22日（土）　集合日時：10月20日（木）　8：30
なお、自由参加のコース別懇親会は、10月19日（水）19：00～21：00に行われます。

２．

会　場
かながわサイエンスパーク（KSP）
（〒213-0012　神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1　電話：044-819-2001）

３．

内　容
次項以降に示す

４．

募集コースおよび内容

コース共通	基本的時間割　　基調講演
製銑コース	テーマ／講師・アシスタント／宿題／講義
製鋼コース	テーマ／講師・アシスタント／宿題／講義
圧延コース	テーマ／講師／宿題／講義

（注）	募集人員は、全コース合わせて24名程度です。応募者がきわめて少ない場合は、そのコースの実施を中止することがあります。また、応募者が多数の場合は、お断りすることがあります。

５．

参加資格
以下の条件をすべて満たしている方。

（1）	日本鉄鋼協会正会員のみ。
（2）	国内に募集コースの生産工程を有する維持会員会社社員。
（3）	鉄鋼工学セミナー、同専科修了者または同等以上の経験・能力を有する方。
（4）	討論主体の本セミナーで積極的に発言できる方。本セミナーは知識を吸収する場ではなく、各々の知識を以て討論する場です。

６．

費　用

イ）金　額

受講料：105,000円（税込）
食事代：13,600円　（5食分、税込）

※	宿泊料及び朝食代は含まれておりません。宿泊につきましては、ハ）をご覧下さい。

ロ）送金方法

受講者が決定次第、請求書をお送りしますので、8月26日（金）までにご送金下さい（現金書留も可）。
8月27日（土）以降に申込みの取り消しをされても返金できませんので、予めご了承下さい。

ハ）宿　泊

宿泊（朝食付）につきましては、受講者が決定次第、併せてご案内いたします。受講者各位でお申し込みいただき、料金をお支払いいただく形式となりますので、予めご了承下さい。

７．

申込締切日
2011年6月17日（金）期日厳守

８．

申込方法
※定員に達した為、申込みは終了致しました。

申込・問合せ先
（社）日本鉄鋼協会　学会・生産技術部門事務局　育成グループ　植田
〒101-0048　東京都千代田区神田司町2-2　新倉ビル2階
電話　03-5209-7014　FAX.03-3257-1110　E-mail：educact@isij.or.jp

●育成委員会鉄鋼工学アドバンストセミナーWG●

WG主査	上島　良之	（新日本製鐵（株）技術開発本部フェロー）
WG委員	武田　幹治	（JFEスチール（株）スチール研究所主席研究員）
	三木　祐司	（JFEスチール（株）スチール研究所製鋼研究部部長）
	蛭田　敏樹	（JFEスチール（株）スチール研究所圧延・加工プロセス研究部部長）

■内　容

１．基調講演

題　目「量子ビームを用いた鉄鋼研究の展望」
従来見えなかった現象」が見えるようになれば、鉄鋼の研究はどのような発展が期待できるのか、皆さんと意見交換をお願いしたい。電子綜、陽電子、Ｘ線、中性子線を利用した最近のトピックスを紹介し、ナノからマクロまで観察スケールをつなぎ、動的に、そして3次元観察・測定するべき課題を検討したい。

講　師　友田　陽(茨城大学　大学院理工学研究科　応用粒子線科学専攻　教授)

２．コース
(1)製銑コース

テーマ「製銑プロセスにおける鉄鉱石品質、価格の将来動向と原料処理技術の展望」
中国、インドをはじめとする世界の経済成長による旺盛な鉱石需要に対する供給能力の逼迫、鉱山の寡占化により鉱石価格が高騰すると同時に、高品質ヘマタイト系鉱石の枯渇による供給鉄鉱石のFe品位の低下、微粉の増加などの品質劣化が懸念されている。一方では、高炉の還元材比低減のため、低スラグ比、高被還元性、高強度の塊成鉱の製造技術の開発が一貫したニーズである。また、製銑全体のCO₂削減を目指すには原料処理プロセス自体からのCO₂発生量の削減技術の開発も要求されている。
このような環境変化に対応して、将来の鉄鉱石原料動向の予測、高炉で必要とされる塊成鉱のあり方、また、それを製造する技術について各受講者の経験、知識を体系的に整理、討論を行い、原料処理技術の10～20年先をみた技術開発の方向性、展望について考える。


講　師	葛西　栄輝	(東北大学　大学院環境科学研究科　環境科学専攻　教授)
	川口　尊三	(住友金属工業(株)　総合技術研究所　製銑研究開発部　部長研究員)
アシスタント	平木　岳人	(東北大学　大学院工学研究科　金属フロンティア工学専攻　助教)

○宿題(案)：受講生の技術分野により変更の可能性あり
	１．	次の観点から、焼結鉱とペレットの違いについてできるだけ定量的に評価し、将来環境において有望と考えるポイントを整理せよ。１)工場立地(国内～山元)、２)使用可能な原料性状、３)製造プロセス、４)製造エネルギー、５)高炉での評価(還元材比、生産性など)、６)環境影響(大気汚染、温室効果ガス、発生スラグ量)
	２．	選鉱処理微粉鉄鉱石を30％(全鉄鉱石に対する比率)以上使用し、温室効果ガス(CO₂)発生量を20％以上低減できる原料処理プロセスの具体例を1つ示し、その可能性を論ぜよ。

(2)製鋼コース

テーマ「精錬・連鋳一貫による高級鋼の高効率生産技術」
我が国の鉄鋼各社が、今後も持続的に事業を発展させるためには、高級鋼の品質作り込みと量産技術を高次元で両立させる必要がある。また、製鋼プロセスにおいても、CO₂、リサイクル問題は、常に考慮されるべき事項となってきている。このためには、精錬、鋳造一貫プロセスにおける弛まぬ技術開発が必要であり、このための基礎研究や応用研究の継続が望まれる。一方で、乗り越えるべき課題の難易度が高まっているのも事実であり、産学連携の推進、企業間の連携も必要となってこよう。
そこで、本セミナーでは、共通の課題である、精錬・連鋳一貫による高級鋼の高効率生産技術について、上記のような観点から議論を深めることにより、10年先をみた技術開発の方向性、展望について考える。


講　師	中島　邦彦	(九州大学　大学院工学研究院　材料工学部門　教授)
	若生　昌光	(新日本製鐵(株)　大分技術研究部　主幹研究員)

○宿題：設問1および、設問2または設問3のどちらかを選択し回答せよ。

設問１：

「精錬・連鋳一貫による高級鋼の高効率生産技術」に関する下記のキーワードより一つ選択し、そのキーワードに関する関連論文(部会資料でも可)をレビューし、その必要性、現状把握、課題とブレークスルーポイントを提案せよ。また、それに対応した大学に期待する研究テーマ案を提案せよ。関連論文は自社のものにこだわらずレビューすること。また、物理化学、鉄鋼プロセス工学などの科学・工学的視点からの分析・考察を加える事が望ましい。
[キーワード]

(1)	低CO₂発生プロセス(高熱効率、Fe歩留増、回収(ダスト、地金)リサイクル)
(2)	高速精錬技術
(3)	ハイエンド品安価・安定溶製技術(品質、センサー、成分(狭幅)制御等)
(4)	環境調和型プロセス構築(スラグ・ダスト低減、リサイクル技術、環境対応等)
(5)	原料調達リスク回避(安価副原料(合金、精錬フラックス))
(6)	高速鋳造技術
(7)	直行率100％＝DHCR100％達成のためのプロセス
(8)	品質保証のためのオンラインセンシング技術
(9)	タンディッシュ精錬
(10)	鋳造時の割れ防止技術

設問２：

最近の海外の鉄鋼事情を概説した論文や記事を自分で選択し、製鋼技術者として国際的な競争力を維持向上させるために今後の日本鉄鋼業の進むべき方向性を考察せよ。

設問３：

設問1で自己が選択した課題に関連した海外の技術論文を調査し、国内技術との比較整理をした後に、日本鉄鋼業として行うべき技術開発を考察せよ。

(3)圧延コース

テーマ「厚板圧延における次世代の形状・寸法・材質造り込み技術を考える」
先進諸国での鉄鋼需要が頭打ちになる中、東アジアにおける厚板の供給能力は大幅に拡大している。このような状況下で鋼材に対する要求特性は、ますます高強度化、厳格化、多様化している。これらの高機能材を効率的に造り込むには、材料設計およびプロセスの観点から種々の課題が浮上する。厚板圧延では寸法形状を造り込むとともにＴＭＣＰ技術を駆使した材料の造り込みを両立する必要がある。将来にわたり競争力のある厚板を造り込むための材料設計、圧延時の形状・寸制御および加工熱処理などの技術を構築するために必要な将来の要素技術および基本コンセプトを討議する。


講　師	大谷　博司	(九州工業大学　大学院工学研究院　物質工学研究系　教授)
	西村　公宏	(JFEスチール(株)　スチール研究所　鋼材研究部　主任研究員)
	角谷　泰則	(住友金属工業(株)　総合技術研究所　鋼板プロセス研究開発部　主任研究員)

○宿題：
自身が担当する圧延・材料分野おいて、次世代の鋼材の姿を想定(例えば高強度、高靭性、高伸び特性を有する高性能材)し、競争力のある厚板を製造する場合に、従来材と同じ製造範囲(寸法)で工程的に圧延しなければならないとき，製造ネックになる要因(材料設計、設備仕様、動力、能率、加工熱処理)を分析し、これを解決するための既存技術について文献等を参考に考察するとともに、既存技術では解決不能となる課題がどこにあり、次世代の形状・寸法・材質造り込みのために必要な将来の要素技術について考察してください。

＜来年度以降のスケジュール＞
　24年度は熱延関係、25年度は線材・棒鋼・形材関係を取りあげる予定