2026年度事業計画(2026.3.1~2027.2.28)

日本経済は、今後の緩やかな回復が期待されるものの、人手不足や資材高などによる建設需要抑制等により内需が低迷している。世界経済は、米国関税措置やこれに伴う米中対立先鋭化などにより世界の貿易・経済の混乱、成長鈍化が懸念され、また、長引く中国経済低迷とそれに伴う鉄鋼需給バランスの悪化が鉄鋼業界に大きな影響を及ぼしている。

我が国の粗鋼生産量は2025暦年では8,068万トン(前年比4.0%減)で1969年以降最低水準となった。世界粗鋼生産量は18.4940億トン(前年比2.0%減)となり、国別生産量では、日本は1963年以来の4位となった。2026年度の我が国鉄鋼需要は、内需は建設業・製造業ともに前年並み、外需は微減で、粗鋼生産は前年並みの見通しだが、中国の経済動向ならびに米国の関税政策影響の顕在化リスクに直面している。

鉄鋼技術・研究面については、鉄鋼新興国の追い上げは厳しさを増し、生産能力のみならず、品質面、技術面、研究面でも向上が著しい。また、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーなど国際社会環境の急激な変化、気候変動や頻発する大規模災害に対応できるレジリエントな社会システム構築の必要など、鉄鋼業は多くの重要課題に直面している。

このため、鉄鋼業における革新的な技術発展が不可欠となっており、本会としては、学会部門と生産技術部門の連携をより強化し、鉄鋼の学術・技術をさらに活性化するための活動を進める。

これらを踏まえ、2026年度の本会活動としては、以下の項目等の実施に重点をおいた事業活動を展開する。

具体的な施策

1.協会基本方針に基づく事業推進

第5期中期計画の基本方針に基づき、鉄鋼科学・技術の基盤強化と競争力強化に向けた産学連携活動を実施する。特に本会活動の基本指標に関連する会員、講演大会、論文誌については、以下の通り推進する。

  • 学会部門、生産技術部門および各委員会等の連携・協調のもと、各種大会、会議、セミナー等をより多くの参加者を得て開催するとともに、各事業の特色に応じWeb講演会などWeb/ハイブリッドの長所を活かした活動も進め、協会基本活動の強化・充実を図り、会員数の維持・増加を図る。
  • 第191回春季講演大会は3月11-13日に千葉工業大学新習志野キャンパスにて開催、第192回秋季講演大会は9月23-25日に秋田大学にて開催する。講演大会のさらなる活性化を図るとともに収支均衡を目指す。
  • 論文誌「鉄と鋼」、「ISIJ Int.」は、完全オープンアクセスの学術誌として、国際的学術レベルの維持・向上を図るとともに収支均衡を目指す。

2.鉄鋼の学術・技術の活性化

  • 学会部門と生産技術部門との連携強化をベースとして、新しい研究課題の発掘・発信を図る。
  • 学会部門ではフォーラム活動や研究会の充実、理学等も含めた新たな学術シーズの取り込みを進める。
  • 生産技術部門では部会間の情報交流促進を図り各部会活動の活性化に資する。各部会共通的な活動に加え、各部会の状況に応じ若手対象企画、産学連携、海外との交流等の活動を進める。
  • 研究会Iを13件(うち新規5件)、研究会II4件(うち新規1件)・FS1件、鉄鋼協会研究プロジェクト2件を実施する。鉄鋼研究振興助成を34件、鉄鋼カーボンニュートラル研究助成を10件給付する。

3.人材育成

  • 学生育成事業については、「修士学生向け鉄鋼工学概論セミナー」、「学部学生向け最先端鉄鋼体験セミナー」、「企業経営幹部による大学特別講義」、「製鉄所見学の交通費支給」、「高校・高専生対象事業」等の実施・更なる充実を図る。
  • 企業人材育成については、「鉄鋼工学セミナー」「同専科」、「鉄鋼工学アドバンストセミナー」の実施・更なる充実を図る。
  • 西山記念技術講座・白石記念講座はニーズを踏まえたタイムリーな企画を進め、内容充実を図る。
  • 会員向けWeb講演会は選り抜きの企画に重点化して実施する。
  • JABEE(日本技術者教育認定機構)と連携し、高等教育機関等の教育プログラムの改善・向上に貢献する。

4.戦略・連携強化

日本金属学会等の学術団体との協力を推進する。さらに日本鉄鋼連盟をはじめ、金属系材料研究開発センター、鉄鋼環境基金、鐵鋼スラグ協会、日本鋼構造協会等の関係団体と研究助成、人材育成等の面での連携を継続・強化する。特に地球温暖化問題については、鉄鋼カーボンニュートラル検討会議下のWG活動や助成事業等を他学会及び他業界との連携を強化し進める。また、産学連携活性化TT等において産学連携強化の検討を進める。

5.内外への情報発信力の強化等

  • 2026年4月に日独北欧合同シンポジウム(於:宮城)、10月に第2回 鉄鉱石塊成鉱に関するシンポジウム(SynOre2026)(於:富山)、高温酸化・高温腐食国際シンポジウム2026(ISHOC2026)(於:新潟)を開催する。
  • 会報誌「ふぇらむ」について、更なる内容充実を図る。
  • 協会に蓄積する各種研究・技術情報の電子化及び利用を更に推進する。

6.人材開発センター事業の実施

2026年4月1日に鉄鋼学園より人材開発センター事業を譲り受け、鉄鋼協会の事業として実施する。